注意しよう てんかんと妊娠について

妊婦がてんかん持ちの場合、それはリスクなので、どうやってリスクを減らすかを学ぶことが必要不可欠です。
注意しよう てんかんと妊娠について

最後の更新: 09 1月, 2021

てんかんを持っている妊婦は、1,000件に3件の割合だそうです。すごく一般的な状況というわけではありませんが、ご覧のように、多くの人が思っているより一般的なものです。

幸いなことに、妊娠はてんかん発作のリスクを高めることはありません。また、てんかんを持つ母親から生まれたほとんどの赤ちゃんは、てんかんを持たないことが判明しています。実際には、てんかんを持つ妊婦の最大96%が、合併症もなく正常な出産を経験すると言われています。

てんかんを持つ女性は、妊娠中に何が起こっているの?

てんかんとは、ニューロンの過剰な活動による神経学的疾患を指します。つまり、脳の大部分の神経細胞(ニューロン)が同時に電気的活動をしている状態です。

これが発作を引き起こす場合もあれば、そうでない場合もあります。さて、てんかん発作とけいれん発作は違うということをはっきりさせておかなければなりません。どちらも同じことだと一般的に思われがちなのですが、実は違うのです。どのような場合であれ、ニューロンが発する電気的なショックは常に、多くの場合、小さな局所的な動きとして現れます。

妊娠中は、ホルモン、特にプロゲステロンの作用により、女性の体に変化が起こります。一般的には、生殖器、心臓、軟部組織に変化が見られ、ある意味では、ほぼすべての細胞が影響を受けているとも言えるでしょう。

ただし、妊娠中に発作が増加する傾向があるのか、はたまた減少する傾向があるのかを示すデータはありません。この点に関する疫学研究では、胎児の影響はあまりないと結論づけられています。

実際、妊娠中のトラブルの最大の原因の1つは、睡眠不足であるという研究結果が出ています。このことは、てんかんと妊娠の関係に変化をもたらします。というのも、一般的には、妊娠後期に十分な睡眠をとらないと発作が増加するからです。しかし、これが実際に休養不足やストレスによるものなのか、ホルモンの変化によるものなのか、はっきりとしたことは誰にもわかっていません。

しかしながら、てんかんの治療に使われる薬には問題があります。てんかんを治すためには薬を服用する必要がありますが、妊娠中の投薬は、妊娠自体が循環血液の総量だけでなく、体の組織内の血液の分布を変えるため、最も健康的な方法ではありません。

エコー てんかんと妊娠について

てんかんと妊娠:抗てんかん薬の投与について

抗けいれん薬の主な副作用の1つに先天性奇形があります。この副作用が、てんかんを持つ妊婦のケアとモニタリングををする際のジレンマになります。

研究者たちにより、てんかんの母親から生まれた子供と、てんかんのない母親から生まれた子供の先天性奇形の発生率が比較されてきました。そこには顕著な違いが見られたと言っても過言ではないでしょう。一般的なケースでの先天性欠損症は 100回の出産に1件の割合で発生します。しかし、抗てんかん薬を服用している人では、先天性欠損症のリスクは3倍にもなります。

母親が複数の処方薬を服用していると、難産になる確率が高くなります。これは、通常の治療方法ではうまく効果が出ないてんかん患者によく見られる状況です。その結果、医師は発作を抑えるために異なる用量の薬を組み合わせることになります。

さらに、妊婦がバルプロ酸塩やカルバマゼピンなどの薬を服用すると、胎児に欠陥が生じる可能性が高くなることが研究で明らかになっています。この場合、胎児の最も影響を受ける部位は中枢神経系です。

医師が通常提案するのは、妊娠中の抗てんかん薬の投与量を減らすことです。9ヶ月以上発作のない状態が続いている場合は、1つの薬をごく少量ずつ服用することができます。

いずれにしても、この減量を決めるには、医療従事者や専門家の判断が必要です。患者も親族も、専門知識を持たない人も、この決定をすることはできません。そうでなければ、母体と胎児の両方に深刻な結果をもたらす可能性があります。

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妊娠中の発作のリスクはあるのか

統計では妊娠中の発作の増減は明確に報告されていませんが、実際には発作は起こります。患者が頻繁に発作を起こす傾向がある場合、妊娠中も発作が続く可能性があるのです。

発作状態は母体と胎児の両方にリスクをもたらします。最大の問題の1つは、低酸素症(体内の酸素が不足している状態)です。十分な酸素が胎盤に達しないと、胎児の臓器の機能と成長に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、発作の合併症として外傷ができることも挙げられます。もちろん、妊婦の場合はこれは非常に問題です。発作の間に意識を失うことで転倒し、頭蓋骨や妊娠で大きく膨らんだ腹部などの繊細な部分に怪我をする可能性があります。

てんかん妊婦の死亡率は、他の妊婦よりも高いのが現状です。その多くは、1,000人に1人程度と推定されるてんかんの突然死(SUDEP)によるものです。

SUDEPとは、てんかん患者の原因不明の死亡のことを指します。原因不明というのは、窒息や外傷がないということです。原因は未だ解明されていませんが、発生の可能性を減らすために注視できるリスクはわかっています。

基本的には、妊娠中のてんかんの女性は、絶対に一人で寝たり、うつ伏せで寝たりしてはいけませんまた、家族や友人は、妊婦を助ける必要がある場合に備えて、応急処置について学ぶ必要があります。

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横たわる妊婦 てんかんと妊娠について

妊娠とてんかんについて覚えておくべきこと

このように、てんかんと妊娠は複雑な関係にありますが、無事出産することは十分可能です。しかし、担当医は、診察するたびにしっかり観察する必要があります。その上で、妊婦がリスクを軽減するために様々な予防措置を取る必要があるのです。

また、専門家から指示があった場合にのみ、薬を続けることができるということを覚えておきましょう。医師が、血液中の薬の濃度の投与量を確認することがあります。これは量を適切に保つためなので、自己判断で薬の服用を中断したり、量を変更したりすることは絶対にいけません。

分娩は、専門的な場所で、そしてその分野で経験を積んだ医療チームのもとで、事前に予定を立てておくべきです。帝王切開も選択肢の1つで、産婦人科医と真摯に話し合って決断するのが良いでしょう。

産婦人科医とのコミュニケーションが活発であればあるほど、妊娠はより健康的で楽な期間になることをお忘れなく。


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