J&J、ベビーパウダー使用によるがん患者に455億円の賠償義務
455億円! これは、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が63歳の原告女性に賠償しなくてはならない金額です。
原告のエバ・エチェベリア氏は、卵巣がんにかかった原因が性器へのベビーパウダーの使用であったとしています。
彼女は、11歳の時にジョンソン・ベビーパウダーの使用を始めたそうです。
そして10年前の2007年、ある腫瘍摘出の際に卵巣がんと診断された時には、残念なことにすでに末期でした。
陪審は、同社に対し、賠償金80億円に加え懲罰的損害賠償金375億円の支払い義務があると認定しました。
原告側弁護士マーク・ロビンソン氏は評決に感謝していると表明、また、同社はこの件を何年も隠していたと主張しています。
エバ・エチェベリアさんは裁判で、1982年に研究者ダニエル・W・クレイマー氏の指揮で実施された研究に言及しました。
その研究では、性器にベビーパウダーを使用していた女性は、卵巣がんにかかるリスクが92%増加したとのことで、その時点で、J&Jに対し消費者にそのリスクについて警告するよう勧告されたにも関わらず、同社は何の対応もしなかったというのです。
いずれにしてもこの件は、ニュージャージー州に本社をもつJ&Jに対する初めての訴訟ではありません。日刊紙『ロサンゼルス・タイムズ』によると、カリフォルニア州だけで300件が訴訟中であるとのことです。
アメリカ合衆国全体の4500件以上と比較すれば少ないものです。何千人もの女性たちが、膣の匂いを消すためにベビーパウダーを使って卵巣がんが発生したと訴えているのです。
同社はすでに、ミズーリ州での5件の訴訟のうち4件で約340億円を失いました。それにも拘らず同社は、控訴し、当該製品の品質と安全を証明するとしています。
ここで疑問となるのは、本当にベビーパウダーの使用は安全なのかということです。この製品が卵巣がんにかかるリスクを疑われるのは、新しいニュースではありません。
前述の多くの訴訟とは関連なく、国際がん研究機関(IARC)は、ベビーパウダーの性器への使用を「発がん性の恐れがある」と分類しています。
一方、イギリスの卵巣がん患者支援組織(OVACOME)は、ベビーパウダーの使用がこの病気を発症するリスクを増加させると断定するだけの十分な証拠はないとしています。もしもリスクがあるなら、3人に1人の女性が卵巣がんを発症していることでしょう。
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ベビーパウダーの何が問題なのか?
ベビーパウダーの原材料に含まれる物質が問題であるようです。主成分はケイ酸マグネシウムであり、これはアスベストを含む鉱物です。
アスベストは、重大な呼吸器疾患を引き起こすだけでなく、1971年から研究されてきた発がん性物質でもあります。そのため法令で、ベビーパウダーの主原料をコーンスターチ(トウモロコシのデンプン)に置き換えるよう定めています。
ベビーパウダーは、70年代から乳児に使用されてきました。しかし、研究が十分でないのではないかという疑問が残っています。なぜなら「人々が使用したと記憶している製品の量に基づいた研究」であって、厳密ではないからです。
ベビーパウダーと卵巣がんの間には関連性がないと結論づけている研究も数多くあります。
これは、タバコを吸えば吸うほど肺がんのリスクが高まるという例と類似しています。しかし、ベビーパウダーの場合は、その証明はなされていません。
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どうすれば予防できるのか?
ベビーパウダーは化粧品検査の対象であるということに注意すべきです。そのため、アメリカ食品医薬品局(FDA)の厳しい検査は受けません。
美容の観点のみで検査され、健康にはよくない製品が、何百万と市場に出回っているのです。いずれにせよ一番良いのは、毒性の少ない天然原料の製品を使用することです。
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Cramer, D. W., Vitonis, A. F., Terry, K. L., Welch, W. R., & Titus, L. J. (2016). The Association Between Talc Use and Ovarian Cancer: A Retrospective Case-Control Study in Two US States. Epidemiology (Cambridge, Mass.), 27(3), 334-46.