ご用心!/お金にはこんな細菌がついてくる!
近頃クレジットカードやデビットカードを使うケースが増えているとはいえ、私たちのほとんどは、日常的に紙幣や硬貨を取り扱っています。これはつまり、毎日、お金についているさまざまな細菌に触れているということを意味します。もし個人衛生に気をつけていなければ、お金についている細菌が、私たちの健康を蝕む結果となりかねません。
第一にやらねばならないことは、言うまでもなく、こまめに手を洗うこと。この単純な方法で、数多くの病気を防ぐことが可能です。紙幣や硬貨に触ることで細菌が手にうつり、その手で口や目に触ると、細菌が体内に侵入する恐れがあります。
米国とコロンビアで行われた研究によると、紙幣には、感染症を引き起こす可能性がある細菌が大量に付着しているほか、身体の免疫システムが抵抗できない病気を引き起こす微生物も見つかるケースがあるそうです。また、紙幣だけでなく、硬貨にも最高7種の細菌が見つかったと報告されています。
私たちは知らないうちに、いったいどんな細菌に触れているのでしょうね?
表皮ブドウ球菌
表皮ブドウ球菌は、身体のさまざまな部分で感染症を引き起こします。その症状には次のものが含まれます:発熱・疲労感・激痛・呼吸と動悸が速くなる・過剰な発汗など。
バチルス(桿菌)
バチルスの中には、無症状のものもありますが、人間にも動物にも病原体をつくり出すタイプのものがあります。この細菌にはさまざまなタイプがあり、接触してから5〜10時間以内に嘔吐および下痢を引き起こす可能性があります。
連鎖球菌
連鎖球菌は、髄膜炎・細菌性肺炎・咽頭炎など、さまざまな重篤な病気を引き起こします。ただし、病原体ではないタイプのものもあります。
こちらの記事もご覧ください:髄膜炎とはいったいどんな病気?
大腸菌
この伝染性の細菌が引き起こす症状には、下痢(血便となる場合が多い)を伴う激しい腹痛のほか、嘔吐・吐き気・微熱も見られます。症状は、感染後3~4日間続きます。
手洗いを忘れずに!
これらの細菌は、わたしたちの周囲の環境の中に見つかるものが多く、感染しやすいのはそのためです。これらの微生物は接触によって感染しますから、用心して食事の前に手を洗うようにしなければ、病気にかかってしまう可能性があります。私たちがさらされている細菌の多くは、通常は軽度の病気しか引き起こさないものですが、中には胃腸炎を引き起こしたり、最悪のケースでは死さえ招きかねないものがあることを覚えておきましょう。
お金と、お金に付着している細菌とに触らないようにすることは不可能です。でも、お金を触った後や食事の前・身体の他の部分を触る前・赤ちゃんをだっこする前などに、用心して手をよく洗うことはできます。この単純な習慣が、健康上の問題を避ける手助けをしてくれるのです。
こちらの記事もご覧ください:人体に害を及ぼす危険な細菌9種
覚えておきましょう……
硬貨にも、紙幣にみつかる細菌と似ているものを含めて、最高2400個の細菌が付着しているといいます。しかし、紙幣にたまった微生物は、手から手へと感染する間にも成長します。ある病人が持っていた細菌が紙幣に付着し、その感染した紙幣に触ることで、知らないうちに他の人にうつってしまう可能性があります。
紙幣と硬貨は、世界中の人たちの間に細菌をうつすのにうってつけの方法であることを覚えておきましょう! この理由から、小さい子供たちには紙幣も硬貨も触らせないことをおすすめします。お金に触った後は、なるべく口や目や身体のその他の部分に触らないようにしましょう。そして、いつも清潔な手を保つことをお忘れなく!
引用された全ての情報源は、品質、信頼性、時代性、および妥当性を確保するために、私たちのチームによって綿密に審査されました。この記事の参考文献は、学術的または科学的に正確で信頼性があると考えられています。
- Cecchini, E. (2001). Infectología y enfermedades infecciosas. Madrid: Journal.
- Kumate, J. (1998). Manual de Infectología. Chichuahua: Méndez.
- Wilson, W. R. et al. (2001). Diagnóstico y tratamiento de enfermedades infecciosas. México, DF: Manual Moderno.
- Gedik, H., Voss, T., Voss, A. (2013). Money and transmission of bacteria. Antimicrobial Resistance & Infection Control. 2(1). DOI:10.1186/2047-2994-2-22
- Kuria, J., Wahome, R., Jobalamin, M., Kariuki, s. (2009). Profile Of Bacteria And Fungi On Money Coins. East African medical journal. 86(4):151-5. DOI:10.4314/eamj.v86i4.46943.
- Vriesekoop F., Chen J., Oldaker J., et al. (2016). Dirty Money: A Matter of Bacterial Survival, Adherence, and Toxicity. Microorganisms. 4(4): 42. doi: 10.3390/microorganisms4040042. PMID: 27886085; PMCID: PMC5192525.
- Otto, M. (2009). Staphylococcus epidermidis — the ‘accidental’ pathogen. Nat Rev Microbiol 7, 555–567. https://doi.org/10.1038/nrmicro2182