毒家族とその特徴
毒のある家族、つまり毒家族は、家族間での言い争いや相手への強い命令などが見られるため、衝突や強い命令などの負の要素で満たされた小さな孤島のようなものです。
日常的に使われる「毒」という単語は、誰かに対して害を及ぼす「有害」という意味でつかわれますが、この単語がパートナーとの関係、職場での同僚との関係、そして家族にも使われるようになりました。例えば、「私には毒のあるパートナーがいる」「私は毒親に育てられた」などです。
しかし、「毒」という単語を人間関係に使うのは、医学的な臨床記述では対応していませんし、心理学的な定義や、この単語に関連する病理学用語や疾患はありません。
多くの人に普及した「毒」という単語の使用法は、「毒性」または「有害」という通常の使い方と似ています。
私たちの人格、行動、コミュニケーションスタイルにより、相手の自尊心を傷つける人や、他人を怒らせたり暴力を加えるなど、身体的または精神的に相手または自分自身を傷つける人も存在します。
基本的に私たちは、家族と呼ぶ小さく密接した小さな社会集団の中で起こっていることを、友人や同僚などの他の社会的集団に話すことはほとんどありません。それは家族という場所は愛と快適さ、そしてサポートを得る場所だと社会的に認識されているからです。
ただしすべての家族がこのように本来の家族として機能しているわけではないため、家庭内で何か問題が起こった時には、周りのサポートを得られず、心を閉ざしてしまう傾向があります。
本記事では、毒家族とそのタイプ、そして特徴について詳しくご説明します。
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毒家族のタイプ
心理学の専門家や家族力学の専門家は、毒家族に焦点を当てるのではなく「毒親」と呼ばれる毒性のある親について議論をすべきだというスタンスを取っています。
家庭内では、父と母の両方が家族の中で権力的な地位を占めており、 両親の人格は子供や祖父母のような高齢者を含む家庭内の人々に、大きな影響を与えます。
さらに、「毒」の対象や毒を持つ人そのものは、ただ一人の家族だけに限りません。
時には、父親と母親という夫婦の関係が家庭環境に悪影響を与えることもあり、夫婦の関係が原因の表面的な感情の対立や高レベルの不安感や緊張感が家庭内で作り出されます。
ここからは毒家族をタイプ別にご説明します。
支配的でナルシストな忍耐力のない家族
家族が家族として機能していない原因が、支配的で忍耐力のない家族である場合があります。
このタイプの人物は、支配力を行使して家族の自由を制限したり、相手への敬意を欠き、寛大さをほとんど示さないことが一般的です。
しかしこのような状況で生活を送るのは非常にリスクが高く、子供達の自尊心や他人への敬意が正常に発達しない傾向があります。これらの親や家族によって育てられた子供は、家族からの毒に反抗しようとしますが、自尊心が低くなる場合と、逆に相手に対して挑発的な態度を取る場合があります。
大人になりきれない親と子供
毒を持つ家族のタイプの一つに、両親または親の一方が非常に未熟であるケースが挙げられます。
子供への関心の欠如、不注意、また衝動的な行動を適切に抑制できないなど、責任感のない信頼できない親が存在します。
この場合、子供たちは非常に早い段階で大人としての責任を自分で引き受けることになりますが、これは子供の発達段階において健全なことではありません。
子供たちは自分のペースでゆっくりと段階に応じて成長する存在ですが、親が未熟な場合は子供が早く成長するように強要する状況が生まれます。
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子供に八つ当たりをする親
誰かを犠牲者にしてまで、自分のイライラをぶつける八つ当たりほどひどい心理的な攻撃はありません。 自分の子供やパートナーに、自分が抱える罪悪感や恐怖心、また自分の失敗によるイライラした気持ちをぶつける不満ばかりの親は、心身ともに疲れていることがほとんどです。
このような家庭内の力関係は、被害を受けた側の心に大きな痕跡を残します。両親の夢を叶えることを強要されることや親の不満を解消するための八つ当たりの対象にされることほど、子供が疲れてしまうことはありません。
配偶者に反論するために子供を利用する親
母親や父親が、パートナーとの争いにおける「武器」として子供を使うことがあります。
離婚手続中などによく起こる状況ですが、それ以外の日常生活においても夫婦のどちらかが何かを得るために子供を利用するケースが見られます。
これらの家族間の力関係は、脅迫関係によって支配されているため、子供の精神状態や心の発達に破壊的なダメージを与えることがあります。
毒のある家族とその原因
毒家族が家族として機能していない原因を知るためには、状況に変化を与えながら対処法を考え、家族間の調和を大切にすることがその第一歩です。
もちろんこれは容易なことではありませんし、実行する際の精神的な負担が高い方法です。
その上、家族の状況を変化させることはすぐに達成できることではありませんし、これまで家族が行ってきたコミュニケーション手段などを根本から変える必要も生まれます。
しかし全ての努力は、両親、子供、そしてその他の家族の共存、尊厳、そして幸せを生み出します。
毒家族が生まれるその原因をご紹介します:
- 心理的な障害または何かの中毒症状がある家族
- 家庭内において虐待的な力や権威の濫用
- 親としての責任を放棄した父親、または母親の不在
- 愛情の欠如または愛着関係がほとんどない
- 身体的または精神的な虐待や不当な扱い
- 経験や能力不足、無関心、人格の欠如によるコミュニケーション力の欠落
- 片親であることが原因の生活や家庭における矛盾または信頼の欠如
- 自尊心の低い父親または母親。
- 両親からの過剰に高い期待と裏切ることのできない状況
今回ご紹介した毒家族の特徴を自分の家族に当てはめた時、何か気になることはありましたか?
また自分が毒親になる可能性がある行動をとっている場合は、今すぐそれを改善し、できる限り良い家庭環境と家族との関係を築くために努力し、自分の役割をしっかりと果たすことが大切です。
ただし、毒家族との関係が私たちに及ぼすダメージが大きい場合や、明らかに負のダメージを与える場合は、自分の感情のバランスを保ちながら自分の尊厳を維持するために、家族の「状況を改善する」のではなく、別の決断を下さなくてはならない場合もあるでしょう。