パートナーが双極性障害だったら?
双極性障害は感情に影響を与える疾患であるため、人間関係、特に恋愛関係や結婚生活の妨げになることがよくあります。双極性障害を患うパートナーは、ポジティブになったりネガティブになったりを繰り返します。
あなたのパートナーが双極性障害の場合、どうサポートして行くのかという自分の役割を理解することが大切です。
最も大切なのは、忍耐力を身につけ、感情面でパートナーが安定した状態を保てるようにサポートすることです。まず双極性障害の人は、自分の意志に反する行動パターンをとることがあるとご理解ください。
双極性障害とは?
躁うつ病とも呼ばれる双極性障害は、精神疾患の中でも気分障害と分類される疾患のひとつで、躁状態の病相とうつ状態の病相を繰り返します。これらの病相は慢性化することが多いため、双極性障害に苦しむ人々は、生涯を通じて医学的治療を行う必要があります。
また双極性障害の発症の原因の一つとして遺伝的要因があげられますが、発症要因の遺伝子はまだ見つかっていません。また双極性障害の原因もはっきりしていませんが、様々な神経生物学的要因と、社会心理学的要素が関わっていると考えられています。
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わたしたちが双極性障害のパートナーにできること
パートナーが双極性障害だからといって、自分の生活を後回しにしてパートナーの世話を自分1人で行う必要はありません。自分の生活や時間を大切にしながらパートナーにしてあげられることはたくさんあります。
パートナーが症状を自覚する手助けをすることが大切
いつも彼らの近くにいるあなただからこそ、彼らの症状を理解しパートナーがその症状を自覚するための手助けができます。少しずつ経験を積みながら、危機的状況や再発に気づくことができます。症状に気づくことで、危険な状態を未然に防ぐこともできます。
医師との連携
パートナーの症状がどう改善されているか、また普段はどのような状態なのかを医師に伝えるのにあなたは適任です。医師との連携がうまくいけば、毎回の診察でも最大の効果が得られます。詳しい症状など、詳細を隠さずに伝え、気になることや大切だと感じることは書き出し、診察のときに医師に質問することをお勧めします。
パートナーを必要以上に守ろうとしないこと
パートナーを必要以上に守ろうとしても、二人にとってよい結果を生み出しません。双極性障害の患者は「自分は病気じゃなかったら普通の生活が送れるのに」と考えて過ごしています。
パートナーに躁またはうつの病相が現れたときには、できる限り近くにいるように心がけてください。自傷行為などを防ぐ効果があります。
批判しないこと
気づかないうちに双極性障害のパートナーを批判していることがあるかもしれませんが、双極性障害の患者であるパートナーにとって、あなたは最も信頼できる人のひとりなのです。パートナーの症状は偽の症状ではありませんし「これ以上この病気で苦しみたくない」と治す努力しているのも患者自身なのです。
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パートナーが薬を飲んでるか確認すること
パートナーが決められた薬を正しく飲んでいるかを確認することが大切です。気分がよくなったからと、患者が自己判断で薬を飲むのをやめてしまうケースが見られます。
医師の診断を受けずに薬を飲むのをやめるのは症状を悪化させる危険があります。
パートナーが双極性障害に苦しむとき:あなたのためのセルフケア
誰かの世話で忙しく過ごしていると、ついつい自分のことが後回しになりますが、自分のためだけに使う時間を必ず作りましょう。双極性障害を完治する治療法は現時点では見つかっていないことを忘れてはいけません。
また、パートナーの世話と自分自身のための時間をきちんと分け、必要ならば家族や友人にサポートをお願いしてください。すべてを一人で背負うのはやめましょう。
つらいと感じたり、パートナーにひどく当たってしまうなどの悩みがある方は、セラピストのカウンセリングをお勧めします。
罪の意識を感じてはいけません。双極性障害の患者と一緒に暮らすのが無理な人もいます。自分一人で抱え込まず、様々な機関や団体のサポートを探すことも必要です。
パートナーが危機的状況に陥ったときの対処法
パートナーが自分自身や周りの人を傷つけようとしていないか、常に注意を払うことが非常に大切です。
自分の力では対処できない状況に陥ったときは、すぐにほかの人の助けを借りてください。危機的状況にあるパートナーを1人にするのは避け、直ちに医師に連絡してください。
専門医や専門家に相談する際には、いつでも彼らと連絡がとれる連絡手段、携帯電話番号などを教えてもらうと良いでしょう。
双極性障害の症状のうち1つ以上当てはまる場合は、すぐに医師の診察を受けて治療を開始してください。パートナーにとってだけではなくあなたにとってもとても大切なことです。
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