壊血病の症状と治療
壊血病は、「ビタミン欠乏症」と呼ばれる病気の一種です。 この病気のグループには、体の機能を正常に発達させるために必要なビタミンの一部が欠乏する疾患が含まれます。今回の記事では、壊血病の症状と治療についてお伝えします。
壊血病の人は、アスコルビン酸としても知られる ビタミンCが不足しています。今の時代はフルーツを手に入れることが良いになったので、不足するのは非常に稀です。そのため、この病気は最近はあまり一般的ではありません。
しかし、歴史上、壊血病などの栄養不足に悩まされることは多々ありました。たとえば、長い船旅の間、新鮮な果物はありませんでした。さらに、収穫地での長期にわたる干ばつが壊血病に繋がりました。
現在、難民キャンプの人が壊血病にかかっていることがあります。これは、難民が晒されている劣悪な生活条件の結果です。作物が唯一の収入源である世界中の他の貧しい地域でも壊血病が見られます。下記で、壊血病の症状と治療法について見てみましょう。
ビタミンCの機能とは
ビタミンCの欠乏は壊血病を引き起こす原因になります。では、なぜビタミンCが人間にとってそれほど重要なのでしょう? その理由は、酵素のアジュバント因子としての役割にあります。
コラーゲンを合成するには、プロピルリシル水酸化酵素という酵素を活性化する必要がありますが、ビタミンCがないとその酵素が働かないのです。長期的に見て、コラーゲンが生成されないと、皮膚から骨に至るまで、さまざまな組織が影響を受けます。
さらに、コルチコステロイドやアルドステロンなどのホルモンを合成するにも、ビタミンCが必要です。また、消化器系では、鉄はアスコルビン酸の助けを借りて腸粘膜に浸透します。 したがって、人体は鉄欠乏性貧血を避けるためにビタミンCを必要とします。
また、ビタミンCは天然の抗酸化物質で、細胞の新陳代謝が作り出すフリーラジカルの悪影響をブロックします。それにより、体の老化を防止するのに役立ちます。
ビタミンCを体内で生成することはできないので、食品から摂取する必要があります。柑橘系の果物は最もアスコルビン酸を含んでいます。また、ベリーや緑の葉野菜からも十分な量を得ることができます。
体が正しく機能するためには、体内で1,500ミリグラムのビタミンC量を保つことが必要です。 1日あたり少なくとも60ミリグラムのアスコルビン酸を摂取することで、この量を維持することができます。一般的な食事を取ることができていれば、通常はこの最小値を満たしています。
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壊血病の症状
壊血病を患っているとき、主な症状はコラーゲン産生に関係しています。例えば、一般的な兆候は歯茎の炎症です。 また、口に触れたり歯を磨いたりするときに出血する傾向があります。
壊血病は、コラーゲンに影響を与えるので肌にも影響を及ぼします。肌が乾燥してひび割れ、出血してしまいます。また、ストレッチマークが現れることもあります。さらに、爪の下の皮膚に症状が見られる場合があります。
その他の壊血病の症状は、鉄の吸収が不足していることが原因の貧血です。これはゆっくりと進行する症状で、多くの場合気づくのに何年もかかります。貧血は、倦怠感、脱力感、皮膚の乾燥、および認知障害につながります。
さらに、壊血病患者の傷は傷は治癒に時間がかかります。これは貧血と関係があり、皮膚を修復するのに十分なコラーゲンがないためです。
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壊血病の治療
ご想像のとおり、壊血病の治療は、体に不足しているアスコルビン酸を十分に摂取することです。意識的に摂取することで、欠乏分を補うことができます。ただし、腸粘膜に損傷がある可能性があるため、食品からでは必ずしも簡単に摂取が追いつかない場合もあります。
通常、医師による治療は、静脈内または経口製剤のいずれかで行われ、ビタミンCを投与することから始めます。開始用量は、最大2週間、1日1,000ミリグラムの範囲内が通常です。
体が安定したら、アスコルビン酸が機能するのに十分な量に達するまで、少量ずつの服用を続けます。一般的に回復は迅速であり、治療による合併症はごく稀です。
また、壊血病が単独で現れることは珍しいという点に注意する必要があります。他の栄養不足も同時に見られることが多いのです。医師は、さまざまなビタミンとミネラルの欠乏を同時に検査する傾向があります。結果に従い、完全な治療を適用します。
まとめ
壊血病はまだ存在する病気であることに注意しましょう。数世紀〜数十年前ほど一般的ではないにしろ、未だ発症している病気です。
重要なのは、壊血病の症状と治療法を理解し、患者の状態を評価することです。通常、壊血病はビタミンCなどを含む栄養不足が原因で発症します。
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