”秘書の災難”/手根管症候群を癒す方法
手首の骨(手根管)に起こる手根管症候群は、一般的に、キーボードやマウスを使う仕事に就いている人々にこの症状が多いことから、”秘書の災難”と呼ばれることもあります。
今日は手根管症候群について詳しく見ていきましょう。
”秘書の災難”ー手根管症候群とは
医学的な観点から言うと、手根管症候群とは「手や手首の反復的・継続的な動きによって起こる蓄積外傷疾患」で、日常的に毎日同じ動作を繰り返していると、手根管症候群になる可能性があるということです。
また、体や枕の下に手を入れて眠る癖のある人や、テニス、ウェイトリフティングなどのスポーツを行う人も手根管症候群になる可能性があります。
手根管症候群は腱の炎症や手首の中心、手首の骨と指の靭帯の間にある神経右部分の圧迫を引き起こします。
公益社団法人日本整形外科学会では、「初期には示指、中指がしびれ、痛みがでますが、最終的には母指(親指)から環指の母指側の3本半の指がしびれます(正中神経の支配領域)。急性期には、このしびれ、痛みは明け方に強く、目を覚ますと手がしびれ、痛みます。」と説明しています。
手根管症候群の主な症状には次のようなものがあります。
- 親指、人差し指、中指がしびれる
- 手や手首がチクチク疼く
- 手や手首の痛み
- 夜になると手がしびれる
- 物を握るのが辛い
- 指が燃えるように熱い
- 手から肘にかけて熱を持ったような痛み
- 指のしびれや指の協調問題
- 手が常に冷たい
手根管症候群に苦しむ人は40代〜60代の女性に多いようです。
手根管症候群を予防するオススメ方法
上記の症状が一つでもある方は、手根管症候群の原因となるような習慣を変え、症状が重くならないようにしなくてはいけません。
もちろん、仕事を辞めるわけにはいかないでしょうし、手を使うのを止めるわけにもいきませんが、以下のような事柄に気をつければ、きっと症状は改善できるでしょう。
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手や手首を真っ直ぐに保つ
手や手首は伸ばした状態が理想的です。
パソコンを使うなら、肘から手までの前腕が休められ、手首を曲げずにすむ場所にキーボードが位置していなくてはいけません。
これに気をつけると、腕、肩、首、背中のトラブルなども軽減されるでしょう。
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物を持つ時は手全体を使う
何かに手を伸ばす時、持ち上げる時、栓を外す時など、1本や2本の指だけで動作を行わないようにしましょう。親指と人差し指だけを使うと、手首により圧力がかかってしまいます。指ではなく、手全体を使うようにし、右手、左手を交互に使いましょう。
健康的なライフスタイルを維持する
血液が健康的に体内を循環し、静脈が良い状態であることが大切です。そうすれば、血液が滞ることなく正常に手に流れ込みます。
十分な睡眠をとること、日常的にエクササイズをすること、禁煙、規則正しいアクティブな生活を送ること、バランスのとれた食事を摂ることなどが、静脈の状態を改善するに当たって大切となります。
エルゴノミック(人間工学に基づいた)デザインを選ぶ
手や手首に優しいデザインで作られた商品は数多くあります。
例えば、パソコンのキーボードやマウスパッドです。こういったデザインの商品を使うことで、手や手首に掛かる圧力を抑えることができます。
もし、勤務している会社でこのようなエルゴノミックデザインと呼ばれる人間工学に基づいた商品を使用していない場合は、自分で購入して使うことをお勧めします。
簡単なエクササイズを行う
手首のエクササイズなんてない?そんなことはありません。手根管症候群は予防することが最も大切なのです。
- 手首を回す。手のひらを下、外側にし、両方の手首を右側に5回、左側に5回ねじりましょう。
- 指を伸ばす。指をできるだけ遠くにまっすぐ伸ばし、そのまま10秒間維持します。これを1日3回は行いましょう。
- 親指をそらす。反対側の手で親指を掴み、後ろにそらします。ゆっくりとした動きで、無理のない程度に行ないましょう。あまりに急にきつく行うと骨がずれる場合があります。
- 手に力を込める。手でしっかりと握りこぶしを作ります。ストレスボールやゴム製の小さいボールを使っても構いません。握り締めて緩める動作を10回行なったら、反対側の手も同じように行ないましょう。
- 少し重い物を持ち上げる。2kg以下の小さめのウエイトを使いましょう。購入してもいいですし、空のペットボトルに砂や土を入れたものでも構いません。
- デスクやテーブルに座る。机の上で前腕を支え、手の力を抜きます。手首をシーソーのように上げ下げしましょう。これを10回繰り返し、反対側の手も同じように行ないます。
これらのエクササイズは電話中、映画を観ている時、電車の中などちょっとした時間を使っても行うことができます。
手根管症候群に効く自然療法
手根管症候群の症状を和らげる効果がある天然のジュースもあります。どのようなジュースが良いか見てみましょう。
パイナップル、オレンジ、グレープフルーツジュース
パソコンに向かうことが多い方や単調な手の動きが多い方は、このジュースは3日に1回飲むと良いでしょう。
すでに手根管症候群の症状が出ている方は、毎日飲みましょう。
材料
- パイナップル 1切れ
- オレンジ 1個
- グレープフルーツ 1個
作り方
- オレンジとグレープフルーツを絞りジュースにします。パイナップルは一口大に切ります。
- 材料を全てブレンダーにかけます。お好みで氷をいれてもいいでしょう。
キャベツ、青リンゴ、ライムジュース
手根管症候群の症状を和らげるジュースのレシピをもう一つご紹介しましょう。
材料
- キャベツの葉 1枚
- 青リンゴ 2個
- 水 少々
作り方
- 青リンゴの皮をむき、スライスします。
- スライスした青リンゴ、キャベツ、水をブランダーに入れます。
- ブレンダーにかけたら、漉して毎日飲みましょう。
引用された全ての情報源は、品質、信頼性、時代性、および妥当性を確保するために、私たちのチームによって綿密に審査されました。この記事の参考文献は、学術的または科学的に正確で信頼性があると考えられています。
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