学習性無力感とは? 治療は可能なの?

09 2月, 2021
嫌な状況に直面したとき、状況が改善されるように対処することは、正常で健全なことです。しかし中には、人生の出来事は自分のコントロールが及ばないことだと信じて、受動的で諦めたままになる人もいます。

学習性無力感とは、不快な状況に対して受動的で服従的な反応を示すことです。この学習性無力感を持つ人は、不快感や苦難の原因となる刺激を取り除く意思が持てないのです。

通常、学習性無力感は、過去に嫌な状態を回避しようとして失敗した、というトラウマ的な経験の後に発生します。つまり、痛みを伴う状況を終わらせるためにできることは何もないと思っている状態です。

学習性無力感の定義

アメリカ心理学会(APA)によると、学習性無力感とは、ストレス要因に繰り返しさらされることに端を発する現象と定義されています。これらのストレス要因がコントロールできないとき、自分が持つ選択肢を使って出来事をコントロールしようという気力が起きない原因となります。

このため、何かが起こってもその環境の出来事をコントロールすることができないことを学びます。中期的には、この「学習」は変化を起こそうとするモチベーションを壊してしまいます。

言い換えれば、苦しみを引き起こす状況に対応することができないことにつながる心理状態です。過去に不快な出来事に直面して、その対処に失敗した結果として起こります。そのため、苦しみを我慢することを学び、不快な刺激を避けるためにできることは何もないと考えるようになるのです。

学習性無力感の定義 トラウマ
幼少期のトラウマは、学習性無気力につながることがあります。

学習性無力感の原因

学習性無力感の原因はすべて、人生の出来事をコントロールできないと考える偏見に関係しています。このような考え方が、特定の状況を打開する方法を模索しないことにつながります。学習性無気力に陥ると、自分の運命はすでに決まっていて、状況を変えるためにできることは何もできないと信じてしまいます。

最も一般的な原因は以下の通りです。

幼少期のトラウマ的な経験

この心理状態が起こる要因の1つは、幼少期の経験です。この時期に不快な経験をしていて、何らかの助けや慰め、肯定的な反応を受けられなかった場合、また同じような状況に直面したときに受け身な姿勢をとるようになる可能性が高いのです。

服従的・受動的な役割の学習

幼少期に受ける教育も、この状態の発達に影響を与える要因の1つです。受動性と依存性の社会的役割を促すような状況があると、将来的に無防備になりがちです。

一方で、幼少期に受けたメッセージは、行動を起こさなくなる大きな原因になり得ます。例えば、「お前は無能だ」「お前は何も知らない」と言われ続けて育った子供は、「自分は無力だ」と思う大人へと育つ可能性があります。

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過度に支配された家庭

過度に支配が及んでいる家庭もあります。親や養育者が周りで起こることをすべてコントロールし、子供が自分の行動の結果から学ぶ経験を奪うような環境にいると、この状態に陥りやすくなります。

罪悪感

他にも、責任感や罪悪感などの内的要因が、学習性無力感の発達に影響を与えることがあります。つまり、不快な出来事に対して罪悪感を感じ、将来起こるかもしれない状況を変えたり止めたりすることはできないと考えるようになります。

このようにして、諦めと自己正当化に陥り、自尊心と尊厳にマイナスの影響を与えます。これは、罪悪感を促すような教育の仕方と関係している可能性があります。

学習性無力感の結果

学習性無力感は、下記の事項に悪影響を及ぼします。

  • モチベーション。自分のコントロールは及ばないと認識すると、モチベーションの低下をもたらします。したがって、新しい状況に対応しようとする試みが減少します。
  • 認知力。肯定的な結果をもたらす行動を学ぶことに苦労します。さらには、問題がある状態でも、それがごく普通のものとして認識するかもしれません。
  • 感情面。抑うつ、不安、フラストレーションなどの否定的な感情状態が起こるのはよくあることです。自尊心の著しい欠如も見られます。この状態は、本人が状況をコントロールできるようになるまで続きます。
  • 身体面。摂食障害や免疫系の変化は、身体的な影響の例です。

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学習性無力感の治療

この現象を治療する最善の方法は、治療的介入です。このアプローチは、与えられた状況にどのように対応するかを教えることを目的としています。バルベルデとロレンテによる研究では、この治療的介入は、次のように構成されています。

  • 患者が起こす行動によって生まれる否定的な状況を変更する。単純なタスクの実行を通じて、患者が何かアクションを実行した後に、肯定的な結果を意図的に起こす。患者はまた、失敗は自分の責任ではないことを学ぶことができる。
  • 肯定的な気持ちの誘導。自尊心を強化する。そうすることで、自分の環境は変えることができると感じるようになる。

また、治療的介入は、過去のトラウマとなる出来事への対処から構成されることもあります。目的は、過去の経験に別の意味を与えることによって克服することです。そうやって、将来の状況においては、より機能的でポジティブな反応を示すようになります。

学習性無力感の治療 セラピー
学習性無力感を、セラピストによるテクニックを通した心理療法で治療することは可能です。

後天的な問題

「学習性」との名の通りこれは後天的な状態です。つまり、生まれつき持っているものではなく、一般的に、子供の頃から確立される心理状態なのです。さらに、この状態は幸福を害するような、時には深刻な一連の負の影響を伴います。ですから治療しなければならない状態と言えるでしょう。

最良の治療法は心理療法であり、自分が自分の人生を大きくコントロールできること学ぶのに役立ちます。そういった考え方ができるようになると、感情的、物理的、認知的なすべてのレベルで肯定的な変化を経験すること間違いなしです。

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