海洋性コラーゲンと牛由来コラーゲンの違い
近年、コラーゲンを使った食品が販売されるようになり、海洋性コラーゲンと牛由来コラーゲンのどちらが良いのかが気にされるようになりました。これについてはさまざまな議論や研究があります。海洋性コラーゲンと牛由来コラーゲンの主な違いをご存知ですか?
コラーゲンは人間の体に最も多く存在するタンパク質です。また、他の動物の体内にもあります。『Journal of Cosmetic Dermatology』誌に掲載された論文によると、皮膚、骨、関節、血管などを構成する主要な成分のひとつだそうです。
現在では、健康に良いとされる栄養補助食品として人気があります。老化を遅らせる効果があるとされ、化粧品業界でも人気があります。
では、専門家はどのようなコラーゲンを推奨しているのでしょうか?
海洋性コラーゲンと牛由来のコラーゲン
コラーゲンを使ったサプリメントはいくつかありますが、中でも海洋性コラーゲンと牛由来コラーゲンが注目されています。どちらのコラーゲンも、皮膚や関節の健康維持に役立つなど、さまざまな効果が期待されています。しかし、それを裏付ける研究結果がある一方で、どのタイプが最も優れているかという議論もあります。
「海洋性コラーゲンは、牛のコラーゲンよりも消化が良い」という宣伝文句をよく目にします。また、専門家の間では、奇跡的ともいえる健康効果があると言われています。
しかし、コラーゲンはどれも似たようなもので、消化されても体はその違いにほとんど気づかないということを知っておく必要があります。
つまり、海洋性コラーゲンが牛由来コラーゲンよりも生物学的価値や消化性、特性が優れているということはありません。どちらも重要なのは、体に吸収されるための加水分解の度合いです。
加水分解のプロセスは「断片化」や「前消化」とも呼ばれ、脂肪や不要物を排除して、(体が使う)アミノ酸だけを得ることで成り立っています。加水分解が十分に行われたコラーゲンは、原料の種類にかかわらず、栄養素として利用される組織に到達することができます。
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海洋性コラーゲンと牛由来コラーゲンの違い
この2つのコラーゲンサプリメントの大きな違いは、その原料です。海洋性コラーゲンは魚の皮や骨、ウロコなどを原料としているのに対し、牛由来のコラーゲンは牛やバイソン、バッファローなどの骨や皮を原料としています。
また、海のものと陸のものとでは、原料の環境が異なるのも特徴の一つです。専門家は、動物の生息環境がサプリメントの品質に影響を与えると考えています。まだ多くのエビデンスが必要ですが、いくつかの研究ではこのように結論づけられています。
例えば、医学誌『Marine Drugs』に掲載された研究によると、海洋性コラーゲンは体内のコラーゲンI型とII型を増加させることがわかっています。そのため、皮膚や軟骨の健康に有益です。
一方、『Nutrients』誌に掲載された研究では、牛コラーゲンがコラーゲンI型とIII型を増やすことが示されています。これらは、シワの防止、弾力性の促進、肌の水分量の増加などに役立つと考えられます。また、一部の研究では、関節にも効果があるとされています。
大きな違いは価格
この2種類のコラーゲンの違いで特筆すべきは、価格です。先に述べたように、海洋性コラーゲンのサプリメントの効果の方が高く見える背景には、マーケティングがあり、これが価格にも影響しています。
海洋性コラーゲンは比較的新しい製品であり、いくつかの研究結果が発表されているため、牛のコラーゲンよりも価格が高くなっています。実際に、安価な種から採取されたものであっても、非常に高価な価格帯で提供している会社もあります。
しかし、前述のように、原産地(海洋性か陸の動物由来か)を超えて、重要なのは、体が消化できるように加水分解されているかどうかです。したがって、これらのサプリメントを購入する場合には、その加水分解度を確認してから判断する必要があります。
植物性コラーゲンは存在しない
コラーゲンは、動物や人間に含まれるタンパク質です。一部の植物に含まれているというのは事実ではなく、少量すら含まれていません。それなのに、海藻などの食品からコラーゲンを摂取できるという考えが広まっています。
植物はコラーゲンを必要としないため、コラーゲンを含んでいません。その代わり、ゼリー状の、(コラーゲンと似た)繊維構造があり、これが「植物性コラーゲン」と謳われるものです。しかし、タンパク質の特性は含まれていません。
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海洋性コラーゲンと牛由来コラーゲンの注意点
海洋性コラーゲンと牛由来コラーゲンのサプリメントは、その健康上の利点から、専門家によって幅広く研究されています。特に、皮膚や関節の健康に有益であると結論づけられています。しかし、どちらのタイプが優れていると断言できるほどの証拠はありません。
一般的には、コラーゲンタンパクはその原料に関わらず、同じアミノ酸を同じ割合で含んでいます。重要なのは、消化とバイオアベイラビリティ(生物学的利用能)を確保するために、コラーゲンが加水分解されていることを確認することです。
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