ブラックシードの治癒力
ニゲラ・サティヴァ、または「ブラックシード」や「ブラッククミン」という別称で知られるこの植物は、20〜90cmの体長まで育つ一年生植物で、白・黄・ピンク・青・紫色などの美しい花を咲かせます。
古来より世界中で、先住民文化や宗教的・医療的慣習がこの植物を使い続けてきました。この植物が持つ多様な作用がその理由です。
ブラックシードは南ヨーロッパ・北アフリカ・南西アジア原産です。
しかし、インド・シリア・パキスタン・トルコ・サウジアラビア・南ヨーロッパ諸国・地中海地方諸国など、世界中の国々で栽培されてきました。
種もオイルもそれぞれ民間伝承の歴史があり、例えば、栽培と使用における最古の記録はエジプトまで遡り、3000年以上前に古代ファラオのツタンカーメンの墓で発見されています。
使用用途は?
従来、ブラックシードは特に呼吸器官系・免疫系・消化系・心臓血管系関連の疾患治療に使用されてきました。
例えば、ヒンドゥーおよびアラブの文化では、ブラックシードとそのオイルは食用と医療の両方に使われていました。一方で、南西アジアや中東諸国では、リウマチ・炎症疾患・気管支炎・喘息などの病気の治療に使用されていたのです。
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使い方は?
ブラックシードの使用用途は多岐に渡ります。
水に浸す
染色過程を通して、有効成分が種から溶け出します。
- このタイプのブラックシードが有効なのは、消化不良・食欲不振・下痢・月経困難症・無月経・浮腫・発疹です。
オイル
この場合、オイルは消毒剤および鎮痛剤として使えます。
種
ニゲラ・サティヴァの種を炒ったものを摂取すると、吐き気がおさまります。
ブラックシードの作用
ブラックシードは昨今最も研究されている薬草の1つです。そして、ブラックシードの用途についての研究は山ほど存在します。
なので、ブラックシードをバランスよく摂取すれば健康改善に繋がると実証する科学実験は数多くあります。
- シードに含まれる主要治癒作用の中でも、エッセンシャルオイルの主要生体活性成分であるチモキノンが特に有効です。
- また、ブラックシードにはα‐ヘデリンが含まれます。こちらは抗発がん物質として働く可能性のある水溶性物質です。
ニゲラ・サティヴァには、タンパク質・脂質・炭水化物・食物繊維のほかにも、様々なビタミンとミネラルを多量に含みます。例えば、カリウム・リン・鉄分などがその一部です。
同様に、種には不飽和酸・主としてリノール酸(50〜60%)・オレイン酸(20%)が含まれます。また、比較的少量(30%以下)ながら不飽和脂肪酸も含まれます。
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ブラックシードの種の薬理効果は例えば下記の通りです。
- 抗糖尿病
- 抗菌
- 抗炎症
- 抗痙攣
- 気管支拡張
- 肝臓保護
- 胃保護
ご注意
もうお気づきかもしれませんが、ブラックシードには栄養面・医療面で素晴らしい可能性があるのです。
しかし、ブラックシードの摂取はすごい効果を伴う一方、副作用もあるということをご留意ください。
妊娠
ブラックシードが正常の子宮収縮に影響を及ぼす可能性があるため、妊婦の摂取は禁止されています。
アレルギー反応
場合によっては、ブラックシードによりアナフィラキシーが起こることがあります。アナフィラキシーとは気管支の炎症につながるアレルギー反応のことです。
唇・舌・口など、顔の一部のアレルギー反応が出ることもあり、蕁麻疹・めまい・吐き気などの症状を伴うことがほとんどです。
このような反応が出た場合、直ちに対処しないと命に関わります。ですので、ブラックシードを摂取する場合は十分気をつけて、副作用について知っておきましょう。
負の相互作用
ブラックシードの抗酸化物質によって、通常のがん治療薬の効果を抑えてしまうことがあります。放射線治療や化学療法などです。
そのような治療中の場合、ブラックシードを摂取する前に専門家に相談してください。
皮膚炎
一部の例では、ブラックシードに触れると発疹が出たり肌が痒くなることがあります。また、ブラックシードに触れた部位に水疱ができたり、傷んだり、圧痛が出たりすることもあります。
血圧が下がる
ブラックシードの作用として、血圧の低下と呼吸数の増加があります。
ですので、低血圧症の方にはお勧めしません。ブラックシードの摂取が低血圧症の症状を悪化させ、失血や重篤感染、酷い時は心臓発作に繋がることがあります。
まとめると、ブラックシードは奇跡の植物と考えられていて、そう思われるのに十分な理由があります。しかし、どんなものも過剰な摂取は健康によくないとご留意ください。
これからも「みんな健康」ではいつでも皆さんにベストの情報をお伝えしていくので参考にしてみてください。
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