食物アレルギーを起こしやすい食品とその代替食品
原因食物を摂取した後に不利益な症状が起こることを食物アレルギーと言います。この疾患は、食物に含まれるたんぱく質に免疫機能が過剰に反応して起こります。この反応には、皮膚のかゆみや赤みなどの軽い症状が出る場合もあれば、アナフィラキシーショックのような重篤な症状となる場合もあります。
食物アレルギーは、生後数年の間に発症することが多く、その進行は原因食物や現れるアレルギー症状によって異なります。
アレルゲンと原因食物
アレルゲンとは、その物質に敏感な人の免疫機能に異常な反応を起こす物質です。原因食物とは、特定のアレルゲンを含む食品や食材のことで、その食物にアレルギーを持つ人に重い反応を引き起こすこともあります。
一般的な原因食物
現在、160種以上の原因食物が存在しますが、アメリカ合衆国の「食物アレルゲン表示および消費者保護法(FALCPA)」によると、もっとも一般的な原因食物は以下の通りです。
- 牛乳…牛乳に含まれるたんぱく質に対するアレルギーは、最もよくあるアレルギーで、特に乳児によく見られますが、大半は3歳までに症状がなくなります。
- 卵…卵は、数分の間に全身および臓器に害を与えるアナフィラキシーのような重篤な反応を引き起こすこともあります。
- 魚介類…甲殻類を含む製品も強い反応を引き起こすことがあります。中には調理中の蒸気を吸うだけで症状が現れる人もいます。
- ナッツ類…ごく少量で強いアレルギー反応が出ることもあり、大人になっても耐性を獲得しない人が多いです。
- 落花生(ピーナッツ)…最もアナフィラキシーを起こしやすい食物の一つです。
- 小麦と大豆…頻繁にではありませんが、穀物に対するアレルギーは花粉症と合併することもあります。
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食物アレルギーの症状
一般に食物アレルギーの症状は、原因食物を口にして数分後または2時間後までに現れます。主な症状は、
- 蕁麻疹
- 皮膚の赤み
- しびれ
- 口のかゆみ
- 顔の腫れ
- 嘔吐または下痢
- 腹部のけいれん
- 咳または呼吸困難
- めまいまたは失神
- 喉の炎症
- 胸の圧迫感
- 意識障害
食物アレルギーの原因
食物アレルギーが起こるようになるには、それまでに少なくとも一度はその食物を摂ったことがあるはずです。原因食物が身体に2度目に入った時にアレルギーが現れます。
この時、アレルゲンに対して患者の抗体が反応し、主にヒスタミンという症状を引き起こす物質を放出させます。食物アレルギーを起こす要因は一つではありません。
- 遺伝的要素
- アレルゲンへの暴露
- 消化管の透過性の異常
- 環境要因
原因食物の代替食品
食生活から原因食物を除くと、たんぱく質不足の原因となることがあります。こうしたエネルギーの不均衡や栄養不足が起こらないよう代替食品を摂ることが必要です。以下、主な原因食物の代替食品をご紹介します。
1. 牛乳の代替食品
牛乳にアレルギーがある方も、心配は必要ありません。他にもカルシウム豊富な食品があります。例えば、
- 濃い緑色の葉野菜
- パスタ
- 豆類
- ナッツ類
- 魚類
また、各種ビタミンを含む植物性ミルクがあります。例えば、
- 豆乳…たんぱく質の量は牛乳より少ないですが、コレステロールは含みません。普通牛乳より脂質が50%低いです。
- アーモンドミルク…ビタミンEとB12が豊富です。
- ライスミルク…ビタミンB12、鉄分、カルシウムを含みます。
- ヘーゼルナッツミルク…カルシウム、リン、マグネシウム、カリウムを含み、抗酸化成分も豊富です。
- ココナツミルク…カルシウム、リン、カリウム、セレン、葉酸を含みます。
- キヌアミルク…マグネシウム、鉄分、亜鉛、ビタミンE 、B1、B2、B6を含みます。
2. 卵の代替食品
卵黄は、多種類のビタミンやミネラルを含む栄養価の非常に高い食物です。ビタミンA、E、D、B12、B6、B2、B1、葉酸が含まれており、また鉄分、リン、カリウム、マグネシウムも豊富です。卵の代わりとして食べると良い食品は以下の通りです。
- 肉類
- 豆類
- 魚類
- 緑の葉の野菜
- カボチャ
- ニンジン
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3. 魚の代替食品
魚類には、たんぱく質の他にナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、ヨウ素、鉄分、ビタミンB群が含まれています。また、多価不飽和脂肪酸も豊富です。魚類の不足を補うには、以下の食品を摂りましょう。
- 乳製品
- 肉類
- 卵
- 甲殻類、貝類
- 穀物
- 豆類
- ナッツ類
4. ナッツ類の代替食品
ナッツ類には、たんぱく質、水溶性食物繊維、カリウム、不飽和脂肪酸、マグネシウム、リン、ビタミンE、カルシウムなどが含まれています。ナッツ類の代わりに摂ると良い食品は以下の通りです。
- 肉類
- 魚類
- 卵
- 豆類
- ヒヨコ豆
- オリーブオイル
- オリーブの実
- アボカド
食物アレルギーは非常に注意が必要な疾患ですから、市販の薬を自分の判断で服用してはいけません。思わぬ時にアレルゲンが変化し、薬の作用が逆効果になってしまうこともあるからです。
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