高リン血症〜リン酸塩のバランスの乱れ

高リン血症は、血液中のリン酸塩の値が上昇してしまっている状態です。とても稀な状況で、他の病気を伴うことが多いでしょう。今日の記事では、高リン血症の一般的な治療と原因について見ていきましょう。
高リン血症〜リン酸塩のバランスの乱れ

最後の更新: 31 10月, 2020

高リン血症とは、血液のリン酸塩の値(無機リン)が通常よりも高い状態です。通常のリン酸塩の値は、2.5〜4.5mg/dLです。血液検査をしてこの値が4.5mg/dLを超えている時、高リン血症だと診断されるでしょう。

リン酸は、私たちの体内の様々な重要な機能を助けます。リン酸は、人間の体が特定の代謝機能を働かせるために必要とするマクロミネラルなのです。

私たちの体のリン酸の多くは、骨格系に含まれています。残りは組織細胞にあり、エネルギーを生成します。

想像しやすいかと思いますが、リン酸が不足している時、逆に蓄積されすぎている時に一番影響を受ける部分は、骨や歯です。リン酸はカルシウムを助け、高リン血症の時には、腎臓の変化に繋がってしまいます。

一般的に、人間は食べ物からリン酸を摂取します。通常の状態であれば、過剰なリン酸は、排便や排尿を通して排出される必要はありません。リン酸がもっとも多く摂れる食品は、赤身や白身の肉、そしてアーモンドなどのナッツ類です。牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品にもリン酸は多く含まれています。特定の食品にはリン酸を添加することを義務付けた国もあります。

高リン血症の原因とは

高リン血症は、年々多くなってきている病気です。腎不全が主な原因だからです。これは若い人よりも高齢者に見られる病気です。その他の高リン血症の原因を見てみましょう。

  • 副甲状腺機能低下症:副甲状腺ホルモンがリン酸とカルシウムの代謝を正常に保つ時。副甲状腺機能低下症の場合、このホルモンの生成が全くないかとても少なく、結果として血中のカルシウムが減少し、リン酸が増える。
  • 高ビタミンD症:この場合、ビタミンDとカルシウム、リン酸の制御が関係します。副甲状腺の機能不全がビタミンDを変えてしまうため、または血中の値が他の理由で高いためです。これにより血中のリン酸値が上昇します。
  • 高リン摂取:このタイプの高リン血症は稀です。体が正常に機能している場合、便や尿を通して除去することができますので、蓄積されることはありません。
  • 長時間の運動:筋肉にダメージを与えるような激しく長時間の運動をすると、筋肉細胞から血液にリン酸が放出されます。
  • 化学療法:がん治療として化学療法を行っている時、急激に死んでいく細胞が内部のリン酸を血液中に放出し、高リン血症へと繋がります。これは、腫瘍崩壊症候群と言われ、化学療法の結果からくる症状です。
女性の腎臓

高リン血症の症状

血液中のリン酸値が高いかどうかは、一般的な血液検査で確認することができます。血液中にリン酸が多いからといって、ほとんど症状がないことが一般的です。ですが、高リン血症からくる腎臓や筋肉の問題が発見されることはよくあります。

普通、血中のリン酸の値が上昇すると、カルシウムの値が減り、低カルシウム血症へとつながります。この場合、筋肉のコリが頻繁に起こり、痙攣を起こすこともあります。

長期的に見ると、動脈壁の変化も起こりうると考えられます。血管壁にリン酸が過剰に蓄積されるかもしれず、カルシウムとの組み合わせから動脈硬化症へとつながることもあるでしょう。深刻な心臓の病気になるリスクが上がるかもしれません。

膝を押さえる男性

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高リン血症の治療

高リン血症の原因が、腎不全や副甲状腺機能低下症である場合、治療が進められるでしょう。過剰なリン酸を治療するには以下の3つの方法があります。

  • リン酸の少ない食事:1日あたりのリン酸摂取量が1000mgを超えない食事をする方法です。自己流でせず、専門医や栄養士の指導の元行いましょう。
  • 透析:腎臓の機能を助ける人工血液
  • キレート剤:食事で体内に入るリン酸と結合できる薬剤。腸が吸収するのを防ぐ。リンは血流に到達せずに戻ることができる。

どの方法が良いのかは主治医と相談しましょう。血液検査の結果、高リン血症だと診断されても、あまり恐れないようにし、心配なことがある場合は主治医に確認しましょう。


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