排便するのに正しい方法がある?
便器:「贅沢な」物
トイレの習慣は、1591年にサー・ジョン・ハリントンが便器を発明して以来、それまでのものとは全く変わったものになりました。
便器は、初めは「贅沢な」物として考えられており、誰もが便器を使えたわけではなく、ただ王族のみが許されたのです。
障害者も使えることがありましたが、それは稀な場合のみにおいてでした。
配管が発達するにつれ、便器は大量生産され、民間人にもかつては裕福者層にしか許されていなかった同じ「特権」が与えられるようになりました。
更に、水を流す仕組みが以前のしゃがむトイレの習慣を変え、結果として、大をする方法も変えたのです。
科学的論争:しゃがむ方が良い
1964年の「消化器病学(Gastroenterology)」という本の中で、ヘンリー・L・ボッカス博士は、理想的な排便には太ももがお腹に当たっている状態でしゃがむことが必要な姿勢であると結論づけています。
同様に、アレクサンダー・キラ博士も1966年の「The Bathroom―バス・トイレ空間の人間科学」という本の中で、しゃがむことは排便するのに必要な努力を軽減することから、自然の要求への返答として人間の本質が必要としているものだと述べています。
更には、2003年にはダヴ・シキロフ博士が排便中に座ることで適用される力としゃがむことで適用される力を比べた研究を発表しました。その研究結果によると、腸が空になる感覚はしゃがむ姿勢の方が満足のいくものであることが分かりました。座る姿勢だと過度に押し出す努力が必要であり、しゃがむ姿勢に比べてより時間がかかるのです。
排便するとどうなるのか?
「排便」という語は消化された最後の産物が除去される過程であると定義されています。
この過程で、腸管神経系と副交感神経系がいくつかの働きを行います。
例えば、結腸内で便の蓄積をコントロールしたり、外括約筋や恥骨直腸筋を緩めたりです。後者は、直腸の調節が腹腔内圧を生み出し、排泄物を押し出すようにします。
しゃがむ姿勢
指摘すべき点として、しゃがんだ姿勢でトイレに行くには、足が体に対して35度の角度になっている必要があることが重要です。そうすることで、筋肉が腹部を押す形になります。
この動作は結腸の内部空洞に気圧を生み、肛門道を開いたり調節したりして、排泄へと導きます。これによって、より早く簡単で完全な腸の排泄ができるのです。
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座る姿勢
座る時は、しゃがむ場合とは逆です。
この姿勢は、お腹が太ももを押し当てているような状態で足が90度の角度です。この姿勢では、直腸や肛門の調節が適度にできません。
更に、結腸や腹部に対して足からの圧力がありません。その結果、排便するのに押し出す努力が必要となるのです。
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トイレを使う際にしゃがむ姿勢を採用することの利点
この姿勢には以下のような利点があります。
- より早く簡単な便の排泄を可能にします。
- 結腸と小腸の間に物が通り抜けるのを防ぎます。これにより、小腸を汚染する可能性を軽減します。
- 排便に必要な部位の緊張を防ぐことでヘルニアを防ぎ、憩室症やその他の問題を防ぎます。
- 痔の非侵襲的治療の一部を形成します。
- 妊娠中の女性の場合、この姿勢は子宮に圧力がかかることを防ぎます。事実、この姿勢は自然分娩の準備をするのに役に立ちます。
- 便の蓄積を防ぎます。この状態は虫垂炎や炎症性大腸炎の主な要因の一つです。
また、90度の角度でトイレの姿勢を取ることが大腸がん(CRC)になる確率と関係があることは特筆に値します。しかし、その仮説はサハンド・ソラビによる研究ではまだ確定したものとは言えないことが分かっています。
この情報をどう適用すればよいのか?
トイレ家具のデザインの世界において、しゃがむ姿勢を考慮した画期的な製品は多くありません。
もちろん日本の伝統的な和式はしゃがむ姿勢になりますが、多くの生活スタイルに洋式が採用され、また立ち上がるときの負担から座る姿勢のトイレが現在の日本では大勢を占めるでしょう。
しかし、普通の洋式のトイレも、足をのせる台を使うことで、便器を適応させることができます。一定の高さである必要はありませんが、35度の角度の姿勢になれるような高さである必要があります。
人によっては、便器に足を置くことでこの姿勢を取る人もいます。しかし、そうすることは便器が壊れたり、便器から落ちたりするため危険な可能性があります。おすすめは間違いなくできません。
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