鬱に苦しむ人に決して言ってはいけないこと
鬱に苦しむ人をサポートするということは大変難しいことです。うっかりと間違ったことをしたり、傷つけるようなことを言ってしまう前に、鬱の人との間に距離を置いた方が良い場合もあります。
普通は良い意味の言葉が、鬱の人には違う意味で捉えられることがあるということを忘れないようにしましょう。鬱に苦しむ人が一番されたくないことは、気持ちの状態を間違って受け取られることです。
ですので今日は、鬱の人に決して言ってはいけないことを挙げましょう。
「どうして幸せでいられないの?」
鬱になると、世界に対する見方が変わります。すべてのことが悲しく、ネガティブに見えるのです。幸福について話すことによって、鬱に苦しむ人はより希望が見えなくなるのです。
鬱に即効く薬はありません。すぐに状態を良くさせようとすること、期待することは、落ち込みや挫折感を与えかねません。
「鬱に効く薬やセラピーがあるよ」
精神的な病気を患っているという汚名をかけられたくないために、助けてほしいと人に頼むのが怖いと思う人もいます。私たちが生きる社会は、世に貢献できる人だけが貴重だと考えられがちなため、どのように感じているかを他の人に知られたくないと思う人もいるでしょう。
また薬はストレスの主な原因となり得ます。先入観や依存や副作用が起こるかもしれないという考えがあるからです。こういった気持ちは全て自分自身を失うのではないかという恐れに取って代わります。
セラピーを受けるという選択肢を挙げても良いのです。しかし、必ずそうしなければならないなどと強制するようなことは止めましょう。
セラピーを受けるようになるまでには人それぞれ時間が必要なのです。
「鬱を回復するように頑張ったら?」
鬱でない人は、精神的、身体的なエネルギーの低下を感じていませんが、鬱の人はこれらのエネルギーの低下をよく感じるでしょう。
鬱を抱えている人に、立ち上がって外出をする、旅行に行く、ちょっと楽しいことをするなど気分が良くなるようなことをすることを提案しようと思うかもしれません。
もちろんこれは、悪いことではありません。しかし、鬱に苦しむ人は、絶望感で溢れているのです。誰も絶望感なんて感じたくないのは当たり前なのですが、鬱になると、どうすれば絶望感を取り払えるかがわからないのです。
鬱の人の気分や考え、行動はその人のコントロールの範囲を超えてしまっているのです。
「もっと大変な人もいるんだから、鬱はそれほど悪くないよ」
戦場で飢えている子供や死が間近に迫った病気に苦しむ人と比べられたい人はいません。どうしてそんな風に比べさせようとするのでしょうか?世界の辛く苦しむ人と自分自身を比べることで本当に鬱の人の気分がよくなると思うのでしょうか?
鬱に苦しむ人は、妄想に取り付かれたり精神病になるのではないかという考えを持つことが多いようです。他の人たちと比べる例として挙げたりすると、彼らの気分はどんどん落ち込んでしまい、嫌な気持ちにさせてしまうでしょう。
「明日には気分が良くなるよ」
鬱は一晩寝れば良くなるというものではありません。このように間違った期待を与えると、鬱の人をより落ち込ませることになります。その痛み、苦しみ、希望の見えない様子がどのようなものであるかは、実際に鬱になった人にしかわからないのです。
鬱を克服するには特定の薬が必要になります。しかし、薬を使った療法も時間がかかるのです。明日には良くなるなどと軽々しく言うと、余計に不快な気分にさせてしまうでしょう。
「自分のせいじゃない?」
人間は常に誰かや何かを批判しますが、これは大変な間違いです。なぜなら、自分自身の考えや価値観、情報の不足、無知などによって引き起こされることが多いからです。
鬱の状態は神の教えに反した罰だと考えられてきました。だから、今でも鬱だと聞くと罪や罰に関連していると考える人がいます。
これは鬱の人に対してネガティブな結果しか生み出しません。鬱に苦しむ人の状態をさらに悪化させるだけなのです。
「そんなに後ろ向きにならなくてもいいんじゃない」
鬱状態の人の近くにいることはとても難しいことです。落ち込んだ様子や物静かな態度があなたの気持ちまでを落ち込ませるかもしれません。だから、鬱の人のそばには寄らないようにしようとする人がたくさんいるのです。
確かに、鬱の人の落ち込んだ様子があなたの気持ちを上げてくれることはないでしょう。しかし、それを鬱の人に言ってしまうと、孤独感を味あわせることになりますし、余計にネガティブな気持ちが溢れでるでしょう。
一番の方法は、ただそばにいてサポートすることです。
鬱は深刻な課題です。
鬱は、ただ単に精神的なものなのではなく、また、決まった期間で治るというものでもありません。鬱になる理由すら必要でないこともあるのです。
鬱の状態でいるということは、人生の意味が見出せなくなるということです。家族の問題、愛する人の死、仕事での失敗など様々な要因が原因となっているからです。
鬱でいるということは、日々の生活を送るために奮闘しているということではないのです。このことを心に留め、今日ご紹介したような言葉は鬱で苦しむ人の前では控えましょう。