【あなたの友達は大丈夫?】うつ病サインに気づくには

21世紀、爆発的に広がっていると言われているうつ病は、自分だけでなく友達や身近な人にも襲いかかるかもしれません。だからこそ、うつ病にかかったときの兆候を知っておきましょう。
【あなたの友達は大丈夫?】うつ病サインに気づくには

最後の更新: 15 8月, 2020

もし友達がうつ病になったらあなたは気づけますか? 世界保健機関(WHO)のデータでは、うつ病は世界的にもよく見られる病気とされています。事実、3億人以上の人が罹患しており、2020年までには先進国で疾患する病気の第一位になると言われていました。

世界的に蔓延していることを考えると、うつ病が私たちの身近にあるのは不思議なことではありません。若年層の死因としては2番目に多いので、その特徴をよく知っておくことが大切です。自分自身の体調管理だけでなく、友達や知人が患ったときに気がつけるようにするためにも必要な知識と言えるでしょう。

確かに、心の病気には効果的な治療法がありますが、実際に困っている人が助けを求めたり得られたりしているのはごく少数です。それがスティグマ化、偏見、無知、または専門家の不足によるものであるかどうかにかかわらず、うつ病は、たとえ苦しんでいてもめったに発見されません。

多くの場合、うつ病の人は自分が問題を抱えていることに気づかず、不快感を感じているにもかかわらず、助けが必要だとは思っていません。そのため、多くの人に、うつ病とは何か、そしてそのサインを認識してもらう必要があります。

そうすることで、うつ病の人たちが理解され、より早く、効果的な方法で助けられるようになります。手を貸すこと、助けを提供すること、忍耐を持つこと、そして特定の行動をうつ病の人の「元々の性格の悪さ」と誤解しないこと…こういった行動は、うつ病を正しく認識しているからこそ取ることができる措置なのです。

様々な形で現れるうつ病

友達やパートナー、家族のうつ病の発見方法を説明する前に、うつ病タイプはたった一つではなく、多くのタイプがあることを覚えておく必要があります。今回はその中の一つである「大うつ病性障害」について説明します。

その他にも、月経前不快気分障害や持続性抑うつ障害などの気分障害があることを覚えておいてください。それらについては別の記事で説明したいと思います。

友達のうつ病に気づくには

うつ病に悩まされているかもしれない人に見られる一連の症状や特徴を見ていきましょう。これらの症状の中には、中枢的なもの、二次的なものなど、人によって程度の差があるものもあれば、そうでないものもあります。

過度に一般化し、漠然・拡散した記憶

うつ病の人は、自伝的記憶を変化させていることが非常に典型的です。人がある出来事を思い出すときには、具体的に(時間と場所がわかる)思い出すか、または過剰に一般化された形で(漠然としていて拡散的)思い出します。

後者の思い出し方は、自閉症スペクトラム障害やPTSDを持つ人によく見られるもので、うつ病でも非常に典型的に見られます。そうでない人に比べて、記憶をより一般化し、内容を歪める傾向があります。

悪いことは自分にばかり起こると思う

うつ病のサイン 悪いこと

うつ病の人は、自分に起こる悪いことは全部自分のせいにする傾向があります。それに、ネガティブなことはいつまでも続くと考えています。

ネガティブな出来事が起こる原因は、いつでもどこでも1つだと思い込んでしまいます。つまり、何事も起こることはすべて、自分のせいだと思ってしまうのです。さらに、悪いことはずっと続くとも思ってしまう傾向があることです。

この理由は、逆に良いことは他の人にしか起こらないと考えているためで、たとえ自分に起こっても、それは一時的なものであり、続きやしないと考えるのです。このような思考回路に陥っている場合、うつ病を疑ってみましょう。しかし、この考えは自閉症スペクトラム障害を持つ人にも現れることがあるとご留意ください。

気分に現れる症状

もし友達がうつ病になったら、不機嫌や不安定性などの、気分の症状として現れることもあります。また、多幸感とは逆のこの不快感は、自分の感情の不一致によって起こる嫌な感情です。

気分の不快感はうつ病だけではなく、統合失調症や身体醜形障害、全般性不安障害などにも現れます。身体醜形障害では、障害そのものの結果として現れることもあり、悲しくなったり泣いてしまうような感情が特徴です。

このような気分に陥っている人は、とても悲しそうな顔をしていたり、申し訳なさそうな顔をしていたり、落ち込んでいたりしているので分かりやすいかもしれません。また、うつ病の人の多くは、前は楽しかったことが楽しむことができないという無気力感に悩まされています。

友達が、散歩や食事、飲み会などのアクティビティを以前ほど楽しんでいるように見えない場合は、もしかしたらうつ病になっているかもしれません。

また、この症状はかなり持続性があるため、倦怠感にも関係しています。したがって、うつ病の人は常に疲れていることがあります。さらに、性的、社会的、冒険的なアクティビティで喜びではなく無気力さを感じる場合もあります。

身体的症状から気づく

友達 うつ病   身体的症状

うつ病は、精神的な症状に加えて、身体的な症状として現れることもあります。こういいた症状は器質的な原因を持っている可能性があるので、うつ病の身体的症状を評価することは重要です。

特定できるようなハッキリとした原因がないにもかかわらず、うつ病に悩まされる人は、心理的な問題の結果として身体的な症状を経験します。ですので、もし友達が以下のような症状に苦しみ始めたら警戒しましょう。

  • 頭痛
  • 睡眠障害
  • 便秘
  • 消化不良
  • 体重減少
  • 頻脈

上記の症状は、何かがおかしいと判断するための鍵となります。しかし、うつ病と診断するためには、上記の症状に明確な他も原因がないことを確認する必要があります。

こちらもお読みください:うつに効く健康的な間食5選

行動過多とコミュニケーション

うつ病の人は、過剰に「褒められたことでない」ことをする傾向があります。たとえば、お金、仕事、友人、家族などの様々な問題について過剰な不満を口にする場合、うつ病を疑って良いでしょう。その時の会話のテーマに関係なく、絶えず文句を言っているような状態です。

この場合は、不平不満が、単に注目を集めたいという軽薄な欲求や、波風を立ててやろうという欲求に起因しているとは限らないので、うつ病の可能性があります。

うつ病の人とは、摩擦が生じることが多々あります。自分のうつ状態を認識しておらず、ただ自分が悪い、弱い、もしくは受け身すぎるのだと思っているためです。「別にうつ病じゃなくてただ愚痴を言うのが好きなんでしょう」と周りは思うかもしれませんが、これは完全に間違った考え方で、非常に危険で、うつ病に間違ったイメージを植え付ける恐れがあります。過剰に不満を言ってしまう理由として、下記が挙げられます。

過剰な行動の中には、泣くことや優柔不断であることに対して、周りの人に罪悪感を抱くこともあります。

行動障害

友達 うつ病   行動障害

友達や親族として、自分の身近な人が日常生活のことで急にできなくなったことがあるか、注視しなければなりません。それがうつ病を発見する良い鍵になるからです。

行動障害の検出は、決まったパターンがあるわけではないので、先ほどの過剰行動よりは難易度が上がります。しかし、うつ病かもしれない人の以前の性格を知っていれば、何が変わったのかに気づくことができるかもしれません。

うつ病の人は、通常、人との集まりを避けがちで、これまでのルーティンを送ることができません。仕事や家事などの、いつもの活動を行うことが非常に難しいのです。そのため、だらしなさや清潔感の欠如として現れることもあります。

同様に、精神運動の抑制もあります。うつ病の人は、話すスピードが遅くなったり、口数が減ったり単調になったりします。また、うつ病に特徴的な行動障害として、喜びの欠如があります。

これらの症状はどれも、友達のうつ病のサインかもしれません。しかし、無気力感を感じている人全員がうつ病になるわけではありませんし、上記の症状がすべてのうつ病の人に現れるというわけでもありません。

それでも、もしあなたの身近な人に何かが起こっているのではないかと思ったら、その人の行動を見て、うつ病の可能性があるかどうかを判断してみてください。

もちろん、診断を下すことができるのは専門家だけですが、あなたの気づきが、問題が悪化する前に治療を受けようとする動機付けや治療の開始に役立ちます。


引用された全ての情報源は、品質、信頼性、時代性、および妥当性を確保するために、私たちのチームによって綿密に審査されました。この記事の参考文献は、学術的または科学的に正確で信頼性があると考えられています。


  • Goldberg D. The detection and treatment of depression in the physically ill. World Psychiatry. 2010;9(1):16–20.
  • Gilbody SM, Whitty PM, Grimshaw JM, Thomas RE. Improving the detection and management of depression in primary care. Qual Saf Health Care. 2003;12(2):149–155. doi:10.1136/qhc.12.2.149
  • Kessler D, Bennewith O, Lewis G, Sharp D. Detection of depression and anxiety in primary care: follow up study. BMJ. 2002;325(7371):1016–1017. doi:10.1136/bmj.325.7371.1016
  • Ng CW, How CH, Ng YP. Major depression in primary care: making the diagnosis. Singapore Med J. 2016;57(11):591–597. doi:10.11622/smedj.2016174
  • Recognizing and Treating the Physical Symptoms of Depression in Primary Care. Prim Care Companion J Clin Psychiatry. 2004;6(4):168–177.

このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。