食べ物や飲み物に関する新型コロナウイルスのデマ
新型コロナウイルス関連の、食べ物や飲み物のデマが多数オンライン上で共有されています。これらのデマのほとんどは、ある特定の食べ物、飲み物、または生活習慣が、新型コロナウイルスの発症や蔓延を防ぐことができると私たちを信じさせようとするものでした。
この問題で最も重要なのは、現段階で、私たちは新型コロナウイルスの発症に食品が及ぼす影響についてほとんど知らないという点です。
最近発表されたいくつかの科学論文は、COVID-19との戦いにおけるビタミンCとDの利点を示しています。一部の専門家は、肺の合併症を予防し、同時に免疫システムを強化するために、抗炎症効果のある食品を摂取することを推奨しています。
残念ながら、これが現時点で有効なアドバイスであるという科学的根拠はほとんどありません。
今回の記事では、多くの人に知られている食べ物と飲み物に関する新型コロナウイルスのデマと、それを鵜呑みにするべきではない理由について説明します。
新型コロナウイルスに関するデマ
お湯を飲むと感染を防ぐことができますか?
アメリカの国立生物工学情報センターの発表は、新型コロナウイルスが紫外線と熱に敏感である可能性を示唆しています。この同じ声明に対して、何人かの専門家が数回コメントをしています。この報告が行われた結果、最大の(そして最も危険な)新型コロナウイルスのデマの1つが発生しました。それは、熱い食べ物や飲み物を食べると、新型コロナウイルスの感染が止まる可能性があるというデマです。
なぜこのデマが危険なのですか?
それは、私たちを誤った安心感に陥らせる可能性があるからです。
まず、この主張は完全に間違っています。高温に対するウイルスの低い耐性について、専門家のコメントはありましたが、熱い食べ物や飲み物が新型コロナウイルスの蔓延を止めることができるとは限りません。
また、毎日サウナに入ることで、病気の発症を防ぐことができるということもあり得ません。そして、これらの理論を立証する科学論文はありません。
新型コロナウイルスは寒い気候と暖かい気候の国の両方で、世界的に広まっているという事実があります。専門家は現在、夏の季節が到来したときに、新型コロナウイルスがどのように活動を始めるかについて予測できる立場にありません。このような理由から、論理的な視点で考えた時に、新型コロナウイルスを倒すためにお湯を飲むことは無意味であると推測できます。
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アルコールが新型コロナウイルスを殺す
SNSで現在広まっている理論の一つが、アルコール飲料を摂取すると新型コロナウイルスへの感染を予防することができるというものです。この理論の背後にある原則は、アルコールがRNA型のウイルスの複製を妨げる可能性があるということです。ただし、この主張には確固たる科学的根拠はありません。
現段階で確実にわかっていることは、アルコールが炎症プロセスを促進するという点とは別に、免疫システムの効率を低下させることです。実際に科学文献は、アルコールの摂取は、私たちの体の自然な免疫力を不活性化し、有害な外部からの微生物に対する反応を弱めると主張しています。
塩と酢を使ったうがいの効果
科学文献に示されているように、塩と酢の持つ消毒特性はよく知られています。塩や酢は、細菌や真菌の増殖を防ぐことができます。私たちの口を、塩や酢ですすぐことで、細菌の増殖を抑え、口臭を防ぐことができます。
ただし、塩と酢が新型コロナウイルス感染に対して、保護的な役割を果たすことを示す科学的根拠はありません。このため、新型コロナウイルスの予防や治療に関して、塩や酢の使用の利点が役立つことはありません。
ニンニクの摂取や、ニンニクを使ってうがいをすることで、新型コロナウイルスに対する保護的な働きが生まれる可能性を主張する人がいますが、この理論を裏付ける研究もありません。ニンニクは特定の肺の感染症の症状を改善する可能性がありますが、新型コロナウイルスによって引き起こされる病気とニンニクを関連付ける特定の研究はありません。このため、この主張に対して科学的な結論を出すことはできません。
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新型コロナウイルスの食品に関するデマ:本当に何を信じるべきですか?
新型コロナウイルスの増殖やその機能に関する知識が得られていない現在の状況においては、専門家が確認できることは大きく制限されています。そのため、特定の製品の摂取やCOVID-19に関する食事のアドバイスを確立することはできません。
現時点で免疫系について知られていることの中で私たちが重視するべきなのは、バランスの取れたバラエティー豊かな食生活が、体内の生理学的メカニズムを助けるということです。
ビタミンとミネラルを正しく体内に供給することで、私たちの持つ自然免疫のメカニズムを改善し、一般的に病気のリスクを減らすことができると言われています。
その一方で、アルコール摂取などの有害な生活習慣を避けなければなりません。 アルコールは、全身性の炎症を引き起こすことに加えて、体内の免疫反応が正しく機能するのを妨げます。 そのため、外部からの病原性微生物を拒絶する効果を低下させる原因になります。
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- Coleman LG Jr., Crews FT., Innate immune signaling and alcohol use disorders. Handb Exp Pharmacol, 2018. 248: 369-396.
- Yagnik D., Serafin V., J Shah A., Antimicrobial activity of apple cider vinegar against escherichia coli, staphylococcus aureus and candida albicans; downregulating cytokine and microbial protein expression. Sci Rep, 2018. 8 (1): 1732.