新型コロナウイルス治療薬の開発動向

現在、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、多くの製薬企業が治療薬(およびワクチン)の開発を進めています。中国は、2020年4月にワクチンの臨床試験を始め、特定の条件のもとで緊急的にワクチンを使用することもあるとしています。
新型コロナウイルス治療薬の開発動向

最後の更新: 25 5月, 2020

国際製薬団体連合会(IFPMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、韓国製薬バイオ協会(KRPIA)の4団体の代表たちは、新型コロナウイルスの予防と治療のため、抗ウイルス薬30種類の試験を実施していると報告しました。同様に、治療薬の有効性を確認したことを明らかにしています。 新型コロナウイルス のためのワクチンの開発方法も見つかるかもしれません。

さらに、製薬業界がそれぞれに協力し合い、業界自体を団結に導くように動いているとも付け加えました。ただし、保健当局、保健機関、学者、研究者の協力も必要です。これは、共同研究開発を通じて治療薬の開発を進めたいためです。

既存薬の転用

初めに、HIV感染症やエボラ出血熱のような病気に対して効果がある抗ウイルス薬の研究が実施されました。現在、これらの治療薬に関する文献的考察と合わせ、臨床試験がすでに実施されています。

別の研究ラインは、新型コロナウイルスに対するアセチルコリンエステラーゼ阻害剤の作用の分析を目的としています。この阻害剤は、コロナウイルスに対して良好な結果を示しています。

現時点では、米国のバイオ医療品企業のアッヴィ社は2つの抗ウイルス薬、ロピナビルとリトナビルの配合剤を使用して臨床試験を実施しています。ロシュ社、メルク社、バイエル薬品はインターフェロンの研究を実施しています。グラクソ・スミスクライン社(GSK)はザナミビルの可能性を調査しており、ギリアド社はレムデシビルを研究しています。

新型コロナウイルスの治療薬

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新薬の開発

武田薬品工業は新薬の開発に着手しています。そのうちの1つは血漿を原料としており、ハイリスク患者の治療を目的としています。

ファイザー社は、今回のパンデミック前に開発していた抗ウイルス性化合物のなかから新型コロナウイルスを抑制する可能性のある化合物の検査を進めています。そして、新型コロナウイルスとは異なるコロナウイルスでは、抑制効果があったことを明らかにしました。そのため、近いうちに成果が明らかになることが期待されています。

リジェネロン・ファーマシューティカルズ社は、アメリカ合衆国保健福祉省(HHS)と連携して、新型コロナウイルスの治療薬や治療法の開発を進めることを発表しました。

ワクチン

薬のみならず、ワクチンの開発も進められています。ジョンソン・エンド・ジョンソン社(J&J)の子会社であるヤンセン社は、ワクチンの開発に着手すると発表しました。また、グラクソ・スミスクライン社(GSK)でもワクチンの開発が進められています。

これらの製薬企業では、一時的に効果があるものや永続的な効果があるものなど、同時に数種類のワクチンに取り組んでいます。

一部の北米紙では、アメリカ国立衛生研究所(NIH)がワクチン開発の最前線であると報じました。実際、非臨床試験では有効性が確認されており、若く、健康な成人を対象に臨床試験が始まっています。

一方中国では、2020年4月にワクチンの臨床試験を始め、特定の条件のもとで緊急的にワクチンを使用することもあるとしています。

新型コロナウイルスの治療薬

ピーター・ダザック氏の懸念

疾病生態学者であり、エコヘルス・アライアンスの一員であるピーター・ダザック氏は、私たちは感染病の流行に対して誤った対応をしていると言います。新型コロナウイルスのためのワクチンを開発できたとしたも、別の感染病の流行を阻止することはできないからです。

例えば、重症急性呼吸器症候群(SARS)のワクチンの開発ができたとしても、単に多くある感染病の1つの予防にすぎません。さらに、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)については、このウイルスが発生してからすでに何年も経過しているにもかかわらず、いまだにワクチンは開発されておらず、治療薬のみ使用されています。

ダザック氏は、ヒトが世界に与えている影響を変えることこそが正しい対応であると指摘しています。特に、野生の動物との接触は制限される必要があります。これは、これらのウイルスのほとんどが、森林伐採、道路建設、密猟などの間に動物からヒトに感染しているためです。

最後に

現時点では、新型コロナウイルスの治療薬は開発中です。製薬企業は、抗ウイルス薬やワクチンの開発に最善を尽くしていますが、実際のところまだ試験段階であるということです。


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  • Lissardy, G., & BBC. (2020, 9 marzo). “Estamos encarando epidemias como el covid-19 de forma equivocada”: entrevista con el ecólogo de enfermedades Peter Daszak. Recuperado 10 marzo, 2020, de https://www.bbc.com/mundo/noticias-internacional-51796442
  • Ahmed, Syed Faraz, Ahmed A. Quadeer, and Matthew R. McKay. “Preliminary identification of potential vaccine targets for the COVID-19 coronavirus (SARS-CoV-2) based on SARS-CoV immunological studies.” Viruses 12.3 (2020): 254.
  • Dhama, Kuldeep, et al. “Coronavirus Disease 2019–COVID-19.” (2020).

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