背中に脂肪の塊ができた! 原因は何?
背中にできた脂肪の塊の発見は、どうしても心配になってしまうものです。時には、塊は1つではなく、他にも小さなしこりを伴っている場合もあり、そんな時はさらに心配になります。
いずれにしても、病変をきちんと診断することが重要です。つまり、一見ただの脂肪の塊のように見えても、皮脂腺嚢胞や腫れ物などの別の病理である可能性があるということです。
確かに脂肪が原因であることは間違いありませんが、本当の原因を探るためにも、医師の診察を受けてみましょう。さらなる検査をしなくても、初見だけで原因を特定できることもあります。
具体的には、皮膚に脂肪が蓄積したものを脂肪腫と呼びます。脂肪細胞で構成されていることからこの名前が付けられています。
脂肪腫は悪性ではなく、一般的には体の構造に影響を与えない大きさにしかなりません。しかし、巨大な脂肪腫や内臓脂肪腫は、他の臓器の機能に支障をきたすほどの予期せぬ合併症を引き起こす可能性があります。
脂肪腫の鑑別診断
上述したように、背中に脂肪のしこりがあるということは、鑑別診断が必要です。脂肪腫なのか、似たような症状を持つ別の皮膚病変なのかを診断しなければなりません。下記で、最も一般的な3つのものを詳細に説明します。
1. 脂肪腫
これは典型的な脂肪のしこりです。ゆっくりと徐々に成長していき、違和感が出て初めて発見されるか、時には偶然見つかることもあります。痛みはなく、例外を除いて、ある一定の大きさになれば成長が止まります。小さい場合は、医師は何もしないことを勧めることが多いです。しかし、大きい場合や審美的に厄介な場合は、局所的な手術で取り除くことができます。
2. 癤(せつ)
癤とは、毛包の感染症のことです。背中、特に髪の毛が多い下の部分に現れることがあります。痛みを伴うこともあれば、痛くないこともあります。痛みは通常、感染症に伴うものです。
そのような合併症がある場合は、膿が出てきて、膿が出ようとして圧がかかります。この点が、分泌物のない脂肪腫とは異なります。癤の治療は、感染があれば抗生物質、膿があればドレナージ、傷口の消毒薬による洗浄が行われます。
3. 脂腺嚢腫
この病変は、脂肪を含んでいることもあり、脂肪腫とよく似ています。しかし、組織学的な違いとしては、嚢胞の被膜と内部に液体があることです。皮脂腺嚢胞はほとんど痛むことはありませんが、腫れ物のように膿んでしまうことがあります。
触れば動き、圧力をかけると少し沈んでしまうこともあります。治療は、脂肪腫と同じように、その大きさや不快感の程度に応じて行います。切除する場合は、局所的な手術が必要になります。
症状とリスク要因
脂肪の塊や脂肪腫は、背中によくできます。また、上肢や首に現れることもあり、下肢に現れることは一般的ではありません。
脂肪腫を触ると、少し動き、柔らかい感じがします。圧力をかけると沈むことがありますが、嚢胞のように液体ではありません。そのため、触診のときにハッキリとした感触があります。これらの特徴から、通常、医師がそれらを識別するのは簡単です。
ほとんどの脂肪の塊は3〜5cmを超えません。大きい場合、それはおそらく大きい1つの脂肪腫でしょう。そうなると、より深い構造を貫通し、他のケースのように、除去することは容易ではないので、別のアプローチを必要とします。
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専門家にも脂肪腫の正確な原因はまだわかっていません。脂肪の塊は、この傾向を持つ家族の間で繰り返しできるので、何らかの遺伝的なつながりがあると考えられています。しかし、未だ決定的な研究はありません。
年齢については、最も影響を受けるのは30歳から60歳までの成人です。また、なぜ成人に多いのかについても、はっきりとした情報はありません。
背中に脂肪の塊がある場合に受診するタイミング
背中に脂肪の塊があることに気づいたら、鑑別診断のために医師の診察を受けましょう。医療専門家は、それが脂肪腫か別のものであるかどうかをすぐに区別することができます。同様に、深刻度によって必要ならば補完的な方法を紹介してくれるはずです。
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下記の症状は、すぐに医師に相談する必要性を警告しています。
- 脂肪の塊が大きくなった場合
- 膿の存在
- 脂肪腫らしきものの硬化。可動性と柔らかさの損失。
- 患部付近の腫れた腺
脂肪の塊に注意
脂肪腫は良性ですが、注意が必要です。疑ったままでいるよりも、鑑別診断のために医師の診察を受けるのが最善です。症状から感染症、隣接構造の圧迫、サイズの拡大を疑う場合はなおさらです。
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