【スコラ哲学】その意味と歴史的重要性

スコラ哲学は、中世の思想で優勢だった神学的・哲学的な潮流で、その目的は、信仰と理性の統合でした。

スコラ哲学は、中世の哲学・神学の潮流で、理性と信仰を統合し、より後者に重きを置いた哲学です。その始まりは9世紀にさかのぼり、16世紀まで西洋文化の主要な思想の教義でした。

スコラ哲学が思想史にもたらした最も重要な貢献のひとつは、その教授法であり、それは今日でも残っていますが、近現代に変化も加わりました。以下で、この知的運動の特徴とその歴史的重要性を紹介します。

スコラ哲学とは？

スコラ哲学の語源は、ラテン語のschasticusで「学者」「学問的な」という意味です。また、「自由な時間を学問に捧げる」という意味のギリシャ語scholastikosからもきている。

中世の神学・哲学の主流であり、信仰と理性の統合を基礎としたものでしたが、そこでは常に理性が信仰に明確に従属した関係性でした。

スコラ哲学の始まりは9世紀に遡り、キリスト教神学と古典哲学（特にアリストテレスやプラトンの哲学）との調和を図ろうとしたものです。しかし、その形成にはアラビア哲学やユダヤ教など、他の哲学の流れも含まれていました。

主な論者としては、カンタベリーのアンセルム（スコラ学の父とされる）、ピーター・アベラール、ヘールズのアレクサンダー、アルベルト大王、ジョン・ドゥンス・スコトゥス、オッカムのウィリアム、トマス・アクィナスなどがいます。

段階

この運動が周期的に拡大し、様々な立場が生まれたことから、通常、3つの段階に分けられます。

1. 9 世紀初頭から 12 世紀末まで。普遍性をめぐる論争を特徴とし、実在論、名辞論、概念論の説明と解釈の対立を引き起こした。
2. 12 世紀から 13 世紀の終わりまで。スコラ哲学の最盛期であり、アリストテレスのテキストが哲学の議論に登場するのが特徴である。また、哲学は神学と区別されるようになる。
3. 14世紀。スコラ哲学の衰退期が始まる。この時期、スコラ哲学の思想は、一方では神秘主義へ、他方では自然科学へ派生していく。また、信仰と理性の調和を崩す新たな潮流も生まれた。

スコラ哲学の特徴

スコラ哲学の本質的な特徴は、次のように要約できます。

• スコラ哲学の主な目的は、理性とキリスト教の啓示によって別々に存在する知識を統合することであった。
• すべての思想は権威の原則に従うべきであり、教育は古典的なテキスト、特に聖書（知識の主要な源）の繰り返しに限定されうるものだった。しかし、スコラ哲学は、反論にさらされ、弁明を準備することができる構造化された言説のスキームを必要とすることで、推論と思索を奨励した。
• この意味で、スコラ哲学は弁証法的な推論、つまり結論や総合を求めて議論と反論を交わすことに基づく教育方法を奨励した。その目的は、疑問に答えること、あるいは矛盾を解決することであった。
• 研究すべき各テーマは、古典の読解と公開討論を通じて、細心の注意と献身をもって扱われた。
• 実証的なアプローチや科学的な方法からは遠ざかっていた。そのため、スコラ学は硬直した思考構造の中で発展したと言われている。

キリスト教にとって、スコラ哲学は信仰を理解するための道具でした。この哲学の流れは、15 世紀と 16 世紀の ヒューマニズムによって覆い隠され、厳格で形式主義的で時代遅れの哲学のやり方と見なされるようになりました。

スコラ学の歴史的重要性

スコラ哲学に対する批判はあるものの、この学派が近代学問の出現に重要な要素であったことは認識しておくとよいでしょう。

今日、私たちが「学校」として知っているものは、この知的運動に負うところが大きいのです。特に、文章の読解、説明、対比の厳密な方法は、今でも教育機関で有効な方法です。

スコラ哲学は、理性（哲学）と信仰（神学）を明確に区別し、後にルネサンス思想に影響を与えることになりました。また、この2つの概念の分離は、間接的に国家と教会のヒエラルキーの分離を促進した。

要するに、スコラ哲学の本質は、理性によって生み出された知識と、聖典やキリスト教会が定めた戒律との調停にあるのです。