妊娠中&出産後の物忘れ
妊娠中に物忘れがひどくなった、と言う女性はたくさんいます。でも、母親になる女性に見られるこの「物忘れ」は、実際にあることなのでしょうか?それともただの思い込み?
母親になる女性の脳の変化を指摘するさまざまな研究がされてきました。この脳内の変化は妊娠中に始まり、出産後2年経っても見られます。
妊娠中は「物忘れ」がひどくなるっていうのはは本当でしょうか?
物忘れは本当に起こる
妊娠中の女性の多くは、普段より忘れっぽくなったと感じます。妊娠中期〜後期に物忘れが多くなるのは一般的と言われています。これには、スマホや鍵がなくなったり、やろうと思っていたことを忘れたり、料理をするのを忘れていたり、予定を忘れたりすることが含まれます。
まあでも、物忘れなんて誰にでもあることですよね? 物忘れが妊娠によるものだって証明されているのでしょうか?
英語では「momnesia」とお母さん(mom)と記憶喪失(amnesia)を合わせた造語も使われることが多くなりましたが、科学的な用語ではありません。
また、妊娠中や出産後に一時的に記憶を失う可能性を認める医師も中にはいます。これは、ホルモンの変化に関連している可能性があるそうです。もしかしたら、妊娠中はいろんなことに心配になってしまうので、記憶が曖昧になってしまうのかもしれません。
他にも、出産後の疲弊が物忘れと関係があるかもしれません。
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出産後の母親に見られる灰白質の減少
オーストラリアの医学雑誌に掲載された、オーストラリアのディーキン大学の研究によると、妊娠中の認知機能障害は間違いなく認められています。研究者らにより、709人の妊婦と521人の妊娠していない女性の認知機能を比較した研究20件がレビューされました。その結果、妊娠中の女性は、妊娠していない女性よりも認知機能と記憶機能が低いと判断されました。
いずれにせよ、妊娠中および出産後の物忘れの背後には科学的根拠がある、と主張する前に、さらに多くの研究が必要でしょう。
出産後の物忘れ
妊娠中および出産後の物忘れを確かめるにはさらなる研究が必要ですが、2010年の研究では、ホルモンの変化が母親の記憶力の低下の原因である可能性が示唆されています。
このホルモン変化は、母親が子どもを健康に保つためのニーズに適応するのに役立ちます。子育てにあまり関係ない記憶を選択し、それを排除することで、本当に重要なこと、つまり子どもとの感情的なつながりと子どものニーズへの対応に集中しようとするのです。
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この物忘れとは正確には何?
お読みいただいた通り、原則として、妊婦や出産後の母親の記憶力が低下すると主張する決定的な科学的証拠はありません。しかし、多くの女性はこの物忘れは本当だと言います。
別の研究によるデータは、妊娠が特定のタスクを実行する能力に影響を与えるという仮説を裏付けています。具体的には、空間記憶に関連するタスクです。そのような物忘れは、母親になる女性の体内の、高レベルのプロラクチンとプロゲステロンと関係があるかもしれません。
物忘れに苦しむ人々に通常起こる一般的な症状を見てみましょう。これらは、前述の空間記憶に関するタスクの実行に関連していることがあります。
- 洗濯機に衣服を入れたまま、取り出すのを忘れる。
- ドアを開けたあと、鍵をドアに入れっぱなしにする。
- スーパーに行ったはいいが、着いたときに一体何を買いに来たのか覚えていない。
- オーブンで調理していることを忘れてしまい、焦げた臭いで慌てて思い出す。
- 何かをするために立ち上がって、途中で何をしようと思っていたのかを忘れる。
出産後の物忘れの対処方法
妊娠してから忘れっぽくなった、と感じても心配しないで!これは多くの女性に起こることです。対処法としては、次のことをお勧めします。
- やることリストを作成し、買い物に持参する。
- 周囲の助けを求めて、一人で全部やろうとしない。
- 休息をとる(赤ちゃんが家にいるときはそうそう休めないかもですが…)。母親の健康は家をピカピカに保つよりも重要であることを忘れないでください。可能であれば、赤ちゃんが寝たら寝ましょう。
- 自分の時間を楽しむ。リラックスできるように、大切な人や友人、家族にも赤ちゃんの世話を頼みましょう。自分自身の楽しみに集中する時間を設けましょう。
- 運動する。
- パズルや記憶力ゲームをする。
- バランスの取れた食事をする。脳が適切に機能するための栄養素が必要です。
上記は試していただけそうでしょうか?
前述した症状に当てはまるなら、おそらくあなたにも物忘れが起こっているかもしれません!科学ではまだ立証されおらず、データは決定的でない可能性がありますが、多くの女性が経験することです。
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