肉とがんに関するWHOの調査結果
発がん性の疾患の75%から80%は体に影響をもたらす外部要因によって引き起こされることをご存知でしょうか。食習慣もこの原因のひとつにあげられます。そこで今回は、世界保健機関(WHO)の肉とがんに関する見解について解説していきます。
残念ながら、科学者たちもなぜ一部の人たちが特定のがんになりやすいのか、未だに解明できていません。しかし、さまざまな科学的調査により、遺伝子や特定の環境、行動的要素が細胞に変化をもたらす主な要素であると言われています。
もし両親や家系内に乳がんや大腸がんのような特定のがんになった経験がある場合、それらのがんになりやすい体を受け継ぐ可能性があります。しかし、はっきりさせておかないといけないことは、遺伝子ががんの罹患に影響を及ぼすとはいえ、必ずしも誰もががんになるわけではありません。
また環境や行動的な要因によっても細胞のがん化が起こります。
例えば、タバコやアルコールへの依存、タバコの煙などの化学物質や太陽からの紫外線などにさらされることがあげられます。
アメリカがん国立研究所(NCI)によると、がんは関連した疾患の集まりであると定義づけています。これらの疾患にかかると、がん細胞が体で成長し増殖しはじめてしまい、これをコントロールすることも止めることもできなくなります。そしてこれが固まりとなると腫瘍と呼ばれます。
赤肉と加工された肉とがん
WHOは赤肉を以下の哺乳類の筋肉組織と分類しています。
- 雌牛
- 雄牛
- 子牛
- 豚
- ヒツジ
- ヤギ
- 馬
一方で加工された肉とは、動物の体からはぎとられ、以下のようなプロセスを加えられたものです。
- 塩漬け
- キュアリング処理
- 発酵
- スモーク
加工された肉の多くは牛や豚を使ったものが多いです。しかし鳥であったり、血液やジブレット、他の赤肉といった肉副産物も使われます。
これには以下のようなものがあげられます。
- ソーセージ
- ハム
- 肉の缶詰
- パッケージ化された肉
- 乾燥や塩漬けされた肉
- 肉ベースのソース
肉とがんに関するWHOの調査
WHOの調査により、肉とがんの関係について興味深い情報が明らかにされました。赤肉の消費量は大腸がんの発生に影響を与えるという根拠は限定的だといいます。しかし、赤肉は「ヒトに対しておそらく発がん性がある」とされるグループ2Aの発がん性物質を含んでいます。
またWHOは赤肉の大量消費はがんを発生させるとも伝えています。その結果、赤肉は「ヒトに対する発がん性が認められている」とされるグループ1の発がん性物質を含んでいるともいうことができます。
またレポートでは、「この分類は疫学調査により示された加工された肉が大腸がんを進行させるという十分なデータをもとに行われている」としています。
ここで明確にしておくべきことは、長期にわたり、継続され消費される加工された肉がグループ1に分類されるということです。
大腸がんに関してはこちらも参考に:大腸がんについて知っておきたい事
食肉のリスク
疫病負担研究の概算により、WHOは加工された肉を多く含む食事によって年間約34,000人ががん関連で死亡しているとしています。
加えて、加工された肉の摂取は大腸がんの原因の一つとし、胃がんとも関連性があると認めています。
しかしながら、これが必ずしも絶対ではないということも明記されています。
総合的に見て、1日に50グラムの加工された肉を食べることで大腸がんが発生する可能性が約18%増加することが示されています。
何事もほどほどに
肉とがんの関係に対抗するための答えとして、WHOの2002年の勧告があります。そこには、大腸がんのリスクを軽減するためには、加工された肉の消費量を減らし適度なものにするべきとあります。
これは国際がん研究センター(ICCR)による科学的根拠に基づくもので、10カ国22名の専門家が800を超える人のがんの調査を分析しています。
そのうちいくつかの研究では、赤肉と加工された肉の両方のデータが提供されており、700の疫学分析では赤身、400を超える分析では加工された肉のデータが提供されています。
こういった情報を見ていく中で、最も推奨されることはこれらの肉の消費量を制限することです。そうしたことからも、体に必要なすべての栄養を摂ることができるバランスのとれた食事をすることが重要であるといえます。
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もし疑問があれば、栄養学の専門家に相談してみましょう。
そうすることで、体に合った個々のニーズに応える食事をすることができるようになるでしょう。
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