右の脇腹が痛む10の原因
右の脇腹の痛みは、さまざまなことが原因となって現れる症状です。何でもないこともあれば、早急に医師の治療が必要となる場合もあります。だからこそ、医師の診察を受けて正確な診断を下してもらうことが大切です。
私たちの身体のこの部分には、消化や泌尿に欠かせない臓器が位置していることを忘れてはいけません。そのため、痛みがこれらの臓器の異常と関係している可能性を無視するべきではありません。いずれにせよ、右脇腹に痛みが現れた際には、熱、下痢、長時間続く激しい痛みといった別の症状にも気を付けましょう。
このような場合、できるだけ早く専門家の診察を受けるべきなのです。自己判断で薬を飲んだり、医療的に認められていない自然療法を試すべきではありません。症状が悪化してしまうことすらあります。では、右の横腹の痛みのよくある原因には、どのようなものがあるのでしょうか。
右の横腹の痛みの原因となり得るもの
「American Academy of Family Physicians」に掲載された研究によると、腹痛は、無害の症状から手術が必要なものまで、様々な病気の現れである可能性があります。この意味で、上の研究でも述べられているように、患者がどこに痛みを感じているかが、医師にとって診断のとても有効な情報となります。
ここまで述べたように、右の横腹の痛みは、その周辺の臓器と関係のある病気の疑いがある、ということを覚えておきましょう。そのため、一度痛みが確認されたら、医師がさらに詳しく検査していく必要があります。次に、その痛みの原因を見ていきましょう。
1. 骨の損傷
胸郭と肋骨部分の骨の損傷は、頻繁な右脇腹の痛みの主な原因の一つです。脇腹の打ち身は非常に痛みが強いもので、呼吸する時に胸郭が開くと痛み、この部分の痛みの解消には時間がかかります。
2. 肺炎
まれですが肺炎も原因の可能性があります。この場合鋭く刺すような痛みで、深く息を吸ったり咳をしたりすると更に痛みます。この病気の場合は、咳、黄色い鼻水、発熱、寒気、呼吸困難などの症状が伴います。
3. 胆のう
メイヨークリニックが発表した研究にも見られるように、右の脇腹の痛みは、胆石などの胆のうの異常が原因かもしれません。胆石のある患者は皮膚が黄色っぽくなり発熱があります。更に、痛みは腹部上部の右側か中央に現れる傾向があります。
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4. ガス
おなかにガスがたまっていることが原因になることもあります。この場合、消化が正しく行われない、または便秘によって右脇腹が痛むことが一般的です。 メイヨークリニックの別の記事によると、ガスが抜けなかったり、消化器官の中を上手く移動できない時に痛みが現れることがあります。
5. 盲腸炎
盲腸炎は、盲腸が起こす炎症です。「National Center for Biotechnology Information」に掲載された研究で示されているように、右側の下腹部の痛みの原因として最も一般的なものです。
年齢に関係なく起こりますが、10歳から30歳の人により頻繁に発生します。症状は、腹部中央部または上部の痛みから始まることがあります。その後、右の下腹部に移動します。痛い部分を抑えたり離したりすると鋭い痛みを感じます。
盲腸炎の場合には、吐き気、嘔吐、食欲不振、下痢などを伴うことがあります。この場合は救急診療を受けてください。
6. 膵炎
膵臓は、肝臓の下、胃の後ろ側に位置しています。膵臓がんや膵炎などの膵臓の病気は、腹部の右上部に痛みが起こることがあります。
7. 腹部のヘルニア
腹部のヘルニアの外科手術は頻繁に実施されているもので、絞扼性(こうやくせい)ヘルニアを防ぐために行われます。その位置次第で、ヘルニアも右脇腹の痛みをもたらす可能性があります。特にその部位を触ると痛みます。吐き気や嘔吐を伴うことも多いです。
8. 腎臓
膀胱または尿管のどこかに感染症がある場合、炎症や痛みが腎臓にまで広がって痛むことがあります。この場合は右の下腹部の痛みとなります。後に背中の方に痛みが広がることもあります。
9. 大腸
上行結腸は、腹部右側に位置する消化管の最後の部分です。何らかの腸の炎症、例えば大腸炎(結腸炎)、過敏性腸症候群、クローン病などにより痛みが出ている可能性があります。
10. 卵巣嚢胞
卵巣嚢胞とは、卵巣の表面または内部に発生する小さな袋状の病変です。大抵の場合は良性であるものの、大きかったりつぶれたりすると痛みの原因となります。
診断
上で見てきた通り、右の脇腹の痛みには、様々な原因が可能性として考えられます。だからこそ、自分で原因を推測するのではなく、医師の診察を受けることが必須です。 「International Journal of General Medicine」の情報によれば、医師は痛みの原因の診断のために以下の要素を考慮します。
- いつから痛みがあるか
- 他にどのような症状があるか
- 痛みの部分
- 痛みの続く期間と、痛みの変化
- 肋骨に痛みがあるなら、咳や発熱があるか、その部分に打ち身があったか、呼吸が苦しくないか、皮膚症状があるかを確認。
- 過去の医療経歴と手術経験の有無
これらの診断のために、上記の研究では以下のような検査が必要であるとしています。
- 視診、聴診、打診
- 腹膜炎の検査
- 直腸検査
- 更に特化した腹部検査
もちろん、この部分の痛みの治療は、原因が何かによって大きく変わります。生活習慣を変えることで解決する場合もあれば、薬や手術が必要な場合もあるでしょう。
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