慢性および急性の下痢:原因と治療法
下痢とは、普段の排便とは異なる突然の便の状態や頻度など変化と定義されることが一般的です。
今回の記事では、慢性および急性の下痢のについて説明します。
また、下痢が慢性か急性かによってもその治療法は大きく異なります。
最も一般的な下痢である急性の下痢は、持続期間が2週間未満とされますが、慢性の下痢は14日以上続くだけでなく、多因子性の原因が考えられます。
慢性の下痢
慢性の下痢は、かかりつけ医の診察を受ける必要がありますし、場合によっては専門医による治療が必要となります。
下痢は一般的に腸の活動がの著しく変動し、通常の排便と比べて量や頻度、そして硬さなどに変化が現れます。
原因
次に説明する急性の下痢とは異なり、慢性の下痢は日常生活に支障をきたすだけでなく、健康上の問題を引き起こすリスクが高まります。
慢性の下痢は一般的に、腸内の水の移動に変化が起きていることを示しています。つまり、水がわずか1%減少するだけでも、慢性の下痢を引き起こします。
また、何らか免疫不全を発症している患者に起こる慢性的な症状や感染症の原因となる寄生虫によって、慢性の下痢が起こることもあります。
慢性の下痢がある特定の病気の症状である可能性についてご紹介します:
- 結腸がん
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
- 糖尿病
- 医薬品の副作用
- アジソン病
治療法
慢性の下痢の治療には、下痢を発症した原因そのものの治療を含みます。
たとえば、セリアック病が下痢の原因の場合は、患者はグルテンを含まない食生活を実践する必要がありますし、何らかの感染性腸炎の場合は、抗生物質の投与が必要です。
次の3つの状況に当てはまるケースにおいては、医師は包括的な治療を実施します。
- 正しい診断を受けるまでの初期または一時的な治療を行う場合
- いくつかの検査を受けたが、確定診断ができない場合
- 正確な診断はあるが、具体的または効果的な治療法がない場合
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急性の下痢
世界保健機関(WHO)によると、急性の下痢とは、24時間で3回以上液体状または半液体状の便が見られることを指します。乳児の場合は、健康に問題がない場合でも液体状の便をすることもあるため、実際は心配をする必要がないケースもあります。
急性感染性が原因で起こる下痢の中には、腸の炎症または機能不全が原因のものもあり、微生物または毒素が原因とされています。
急性の下痢は、下痢の症状が一般的に14日未満続き、1日の排便が3回以上の場合を指します。
これらも下痢は、通常よりも柔らかく、吐き気、嘔吐、腹痛、発熱などの他の症状を併発する場合があります。
急性感染性が原因の下痢は、多くの発展途上国における第一または第二と言われる主要な死因で、脱水症状が原因で、主に子供が発症します。
慢性の下痢とは異なり、急性の下痢は身体の防御メカニズムによることがほとんどであるため、下痢自体は有害ではありません。
なぜなら、急性の下痢が起こる目的が、感染を「治療する」ことだからです。
原因
急性の下痢の主な原因は感染症で、感染源となる食品または飲み物が体内に入ることで下痢が起こります。
ほとんどの急性の下痢は自然と止まりますが、感染症が原因で起こる下痢の症状は、患者の年齢や健康状態によっても異なるため、何か気になることがある場合は、必ず医師に相談してください。
急性の下痢が起こる一般的な原因をいくつかご紹介します。
- ロタウイルス(子供)
- アデノウイルス
- エロモナス
- カンピロバクター感染症
- 大腸菌
- サルモネラ菌
- ジアルジア症
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治療法
急性の下痢を治療するときには、脱水症状を予防し、すでに脱水が起こっている場合には脱水症状を改善し、感染をコントロールすることが大切です。
症状が深刻な場合、医師が経口または点滴にて水分を補給します。
プロバイオティクスの摂取もお勧めです。
これは、体内に良い健康的な菌を増やすことで、感染症の病原体そのものを体外に排出するのに役立ちます。
下痢止め薬であるロペラミドなどは、排便の頻度を減らすことで、水分と電解質が体内から失われるのを予防します。
これらの下痢止めは腸の動きを緩やかにしますが、下痢止めは体が自然に病原体などを体外に排出する機能を妨げるため、推奨されないケースもあります。
必ず医師に相談の上、服用してください。
抗生物質による下痢の治療には、現段階では議論の余地があります。
一般論として、 急性感染性が原因で起こる下痢の症例のほとんどは、軽度で自発的に症状が止まるため、抗生物質は必要ないと考えられます。
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