ヒトパピローマウイルス
ヒトパピローマウイルス (HPV)は、最も一般的な性感染症の一つです。パピローマウイルス科に属するウイルスで、性行為のあらゆる段階で感染する可能性があります。
ほとんどの場合は無害で発症しませんが、正しく治療しない場合、長期的に見て深刻な被害をもたらすこともあります
次により詳しく見ていきましょう。
ヒトパピローマウイルスは何種類あるのか
現在までに200種類以上のヒトパピローマウイルスが確認されています。この多くが、性行為によって簡単に感染します。
その種類の多さから、発がん性の高さによって複数のカテゴリーに分類されています。アメリカがん協会の情報によると、ハイリスク型HPVとローリスク型HPVもここで分類されています。
誰が、どのように感染するのか
ヒトパピローマウイルスは、大多数の人々が人生で一度は感染するほどありふれたものです。
一つの例が、子供に良く見られる手のひらや指、足の裏のウイルス性のイボです。プールや更衣室などの水周りで感染するとされています。
その一方で、性器や中咽頭(のどの奥)の感染は、基本的に性行為によって感染します。実際、ヒトパピローマウイルスは現代の性感染症の中でも最も一般的なものだと考えられています。
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HPVの病状
メイヨークリニックの専門家たちは、パピローマウイルスの症状として以下を挙げています。
1.皮膚の感染症
HPVが皮膚に感染すると、イボができます。身体のどの部位にイボができるかは、感染したウイルスの種類によって変わってきます。
灰色がかった、または汚れた白っぽい色で、多くの場合内側に黒い点が見られます。これらの黒い点が活性ウイルスです。
尋常性疣贅(ゆうぜい)
基本的に手指や手のひらにできるイボですが、ひじや膝などにもできることがあります。
イボに接触することで感染するので、爪やその周りの皮膚を噛んだりする子供たちには特に注意しなければなりません。普通痛みはありません。ヒトパピローマウイルス2型、7型が原因です。
足底疣贅
その名の通り足の裏にできます。このイボは特にプールや更衣室のシャワールームなどで感染します。足の裏にできるため、体重がかかると非常に痛むこともあります。ヒトパピローマウイルス1型、2型、4型、27型、57型が原因です。
扁平疣贅
扁平疣贅は、複数のイボが合わさってできたように見え、表面的で痛みはありません。ヒトパピローマウイルス3型が原因です。
疣贅状表皮発育異常症
疣贅状表皮発育異常症は遺伝性の皮膚疾患です。免疫系がパピローマウイルスによる感染症に抵抗することもコントロールすることもできなくなります。
症状は、色素性病変(斑)と木の皮のようなイボ (丘疹)が主に手のひらや手指に大量に現れます。ヒトパピローマウイルス5型、8型と関連があるとされています。
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2.性器外の粘膜感染
この場合、その多くが性行為による感染です。実際、主な感染経路は性行為、具体的にはオーラルセックスであると考えられています。
喉頭乳頭腫
ヒトパピローマウイルスによって口の中の粘膜や喉頭にイボが現れることがあります。ゴツゴツした汚れた色の水疱のようなものです。
ウイルスの中には高リスク型であるものもあり、がんを引き起こす可能性が高いものです。これらは基本的に舌の後ろ側、扁桃、のどの入り口の部分などに現れます。
3.性器の粘膜感染
性器にイボが発生する場合もあり、これはヒトパピローマウイルス6型と11型が関連しています。不快なものですが痛みはなく、がんに変化する危険もありません。
問題は、基本的に高リスク型の16型と18型の場合です。この二つの型が最も頻繁にがんを引き起こすと言われ、これらのウイルスは10種類以上存在するとされています。
診断
- パップテスト…子宮頸がんの診断に使われます。がんの疑いのある細胞を検知するための、膣の細胞検査です。
- HPV検査…ヒトパピローマウイルスの遺伝子を検出するための分子生物学技術を使った検査で、高リスク型のウイルスに感染しているかどうかを判定するのに使われます。
予防
- HPVワクチンの接種…高リスク型のウイルス感染を予防するものです。12、13歳の女子を対象に接種が行われます。
- コンドーム…男性用・女性用共に、100%予防できるわけではないものの、感染の可能性を下げることが出来ます。
HPVに感染したらどうすればいい?
産婦人科医や泌尿器科医次第で、凍結療法が使用される場合があります。これはイボに液状窒素を塗るという方法です。この治療の後は、完全にイボが消えるまでサリチル酸のパッチや液を塗ることが勧められます。
シェルダン・モリス博士は「視認できる性器疣贅はレーザーや凍結(凍結療法)または手術で取り除くことが多く、ときには薬を塗る治療も行われます。」と記述しています。
しかし、もっとも大切なのは専門の医師の診察を受けることです。正しい診断を下すことができ、各人に最適な治療を提供できるのは医師だけです。
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