注意! 糖尿病は骨折のリスクを高めることが判明

糖尿病患者は骨折のリスクが高くなります。この記事では、最も糖尿病の影響を受けやすい骨についてと、その予防法についてご紹介します。
注意! 糖尿病は骨折のリスクを高めることが判明

最後の更新: 22 12月, 2020

糖尿病に伴う合併症の中でも、骨折のリスクの増加は最も多く見られるものの1つです。糖尿病は代謝性疾患ですが、血液中の物質に影響を与えるだけではないのです。糖尿病では、血糖値だけでなく、他の病態を持つ可能性も一緒に増加します。

血糖値の増加が骨組織に影響を与えるのにはいくつかの原因があります。とはいえ予防措置を取ることは可能です。下記で詳しく説明します。

糖尿病患者の代謝

前述したように、糖尿病は代謝性の病気です。糖尿病の主なサインは、血糖値の濃度が上昇することです。これは通常、空腹時、何かを食べる前に顕著に現れます。

代謝疾患としての糖尿病は、血糖値だけでなく、脂質やタンパク質、ミネラルのバランスをも変化させます。このときに影響を受けるホルモンであるインスリンは、体の多くの機能に影響を及ぼします。

さて、糖尿病のよく知られている合併症は、心臓と腎臓に関係するものです。しかし、骨組織への影響も考慮すべきです。骨は、カルシウムのレベルと骨細胞の能力の両方に依存しています。

糖尿病の骨折の原因

糖尿病の男性も女性も性別に関係なく骨折のリスクが高くなります。ホルモンの変化、炎症、そして一部の薬もこの合併症に関係しています。他に考えられる誘因ははなんでしょう?

神経障害

長期的な高血糖は、神経細胞の脂肪被覆にダメージを与えます。神経、特に下肢の神経は、非効率に神経インパルスを送信し始めます。また、糖尿病性神経障害はバランスを乱し、転倒をする傾向が高くなります。

自律神経失調症

神経系、特に自律神経の働きが悪いことを指します。自律神経とは、直接、意識的な命令を必要としないすべての機能を調節し、制御する神経の部分です。

このように、糖尿病性自律神経失調症になると立っているときに血圧を維持することが困難になります。その結果、失神したりめまいを感じたりして、転倒したり骨折したりすることが多くなるのです。

骨粗鬆症

骨粗鬆症は、糖尿病患者の間でより多く見られます。インスリンは組織の製造を促す同化ホルモンですが、それが思うように作られないので、骨の修復が遅くなるからです。

網膜症

網膜症も糖尿病の大きな合併症の1つです。網膜にある小さな動脈が固まることができずに破れてしまい、結果として視力に影響を与えます。もちろん、視力に障害があれば、転倒して何かを骨折する可能性も高くなります。

糖尿病患者ではどのような骨折が最も多いのか

糖尿病患者で行われたいくつかの研究では、糖尿病患者の骨折の相対的な頻度が明らかになっています。体のどの部分が最も頻繁に骨折しているかの目安になるので、これは役に立ちます。

まず1型糖尿病の場合、体内に十分なインスリンがないので、不足分を外部から人工的に摂取する必要があります。1型糖尿病の人は、骨粗鬆症だけでなく、視覚の問題を抱える傾向があります。

一日の内、薬の適切な用量を間違えることで起こりやすくなる低血糖症もまた、骨折しやすくなる原因の1つ。もうご存知だと思いますが、低血糖症に陥るとめまいが起こりやすくなり、事故につながる可能性があります。

さて、1型糖尿病が原因で起こる最も一般的な骨折は、股関節と背骨の骨折です。これは、特に心血管と腎臓の合併症から起こるものです。

一方、2型糖尿病では、前腕と股関節の骨折が最も多く見られます。このタイプの患者の骨密度はその他の人とあまり変わりませんが、専門家は、糖が骨の力に影響を与えるのではないかと考えているそうです。

糖尿病は骨折のリスクを高める 血糖値

糖尿病による骨折リスクを防ぐ方法

糖尿病患者の骨折リスクの増加が統計で示されていますが、予防方法は(血糖値のコントロール以外にも)あります。

前述したように、ここで最も重要なことは、専門医に相談し常にフォローアップしてもらうことです。心血管や腎臓の問題が起こらないように、厳格な食生活を守り薬を服用して血糖値を正常範囲内に保ちましょう。

さらに、身体活動が非常に重要です。ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、糖尿病は座りがちな生活をしていて筋肉量が少ない人の骨折のリスクを高めます。スポーツをすることで糖分が筋肉に入りやすくなり、骨組織が強化されます。

ビタミンDを体内に取り入れることの重要性にも触れておきます。ほとんどの人は、頻繁に太陽の光を浴びることで、ビタミンDを摂取しています。ただし、ビタミンDの値が非常に低い場合や、年間の日照が少ない寒い地域に住んでいる場合は、薬で人工的に補うことができます。

こちらもお読みください:骨を強化する5つのエクササイズ

緑の葉野菜や乳製品は、ビタミンやカルシウムを取り入れるのに適しています。これらの食品を定期的に摂取することは、骨の再生と内部密度の維持に役立ち、結果骨折しにくい体につながります。

糖尿病による骨折リスクを防ぐ方法 血糖値

デンシトメトリー(密度検査)が重要

糖尿病の患者は、予防対策に加えてデンシトメトリー(密度検査)を受けるべきです。この検査は骨の濃度を測定するもので、組織が弱って骨折のリスクが高くなっているかどうかを知ることができます。

糖尿病をコントロールし、セルフケアで対策を施すことはできますが、骨折のリスクを減らすためには専門家のフォローアップと必要な予防策を講じることの重要性を忘れないことが大切です。


引用された全ての情報源は、品質、信頼性、時代性、および妥当性を確保するために、私たちのチームによって綿密に審査されました。この記事の参考文献は、学術的または科学的に正確で信頼性があると考えられています。


  • Avogaro, Angelo, et al. “Continued efforts to translate diabetes cardiovascular outcome trials into clinical practice.” Cardiovascular Diabetology 15.1 (2016): 111.
  • Velasco, M. Botas, et al. “Actualización en el diagnóstico, tratamiento y prevención de la neuropatía diabética periférica.” Angiología 69.3 (2017): 174-181.
  • Moreno, Luis, and Mayra Guerrero. “Características de la neuropatía autonómica cardiovascular en pacientes con Diabetes Mellitus tipo 2.” Boletín Médico de Postgrado 35.1 (2019): 48-53.
  • Romero-Aroca, Pedro, and R. Sagarra. “La retinopatía diabética e hipertensiva.” Revista COMCORDOBA 14.7 (2018): 382-393.
  • Martínez, Sonsoles Botella, et al. “La paradoja diabética: densidad mineral ósea y fractura en la diabetes tipo 2.” Endocrinología y Nutrición 63.9 (2016): 495-501.
  • Formiga, Francesc, María Daniela Freitez Ferreira, and Abelardo Montero. “Diabetes mellitus y riesgo de fractura de cadera. Revisión sistemática.” Revista Española de Geriatría y Gerontología 55.1 (2020): 34-41.
  • Martínez Laguna, Daniel. Efecto de la diabetes mellitus tipo 2 sobre la incidencia de fractura osteoporótica. 2017.
  • Navarro Despaigne, Daysi Antonia, and Alina Acosta Cedeño. “Osteoporosis y tratamiento para la diabetes mellitus.” Revista Cubana de Endocrinología 30.1 (2019): 50-53.
  • de Endocrinología Diabetes, Asociación Colombiana. “Metabolismo Óseo.” Revista Colombiana de Endocrinología, Diabetes & Metabolismo 4.2 (2017): 89-90.
  • Duran-Agüero, Samuel, Leslie Landaeta-Díaz, and Lilia Yadira Cortes. “Consumo de lacteos y asociacion con diabetes e hipertensión.” Revista chilena de nutrición 46.6 (2019): 776-782.

このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。