ヴィーガンが摂るべきサプリメント7つ
ヴィーガンダイエットは完璧に健康的な食生活だと固く信じる人はたくさんいます。果物や野菜を食べる利点はいろんな研究で証明されているので、完全に間違っている考えではありません。しかし、食事内容によっては、多かれ少なかれ栄養不足に陥る可能性があります。そのため、ヴィーガンの方が摂取すべきサプリメントがいくつかあるのです。
ヴィーガンの食事とベジタリアンの食事は同じではないことを覚えておくことが大切です。ベジタリアンは、肉や肉製品を摂取しませんが、卵や乳製品は摂取することができたり(ラクト・オボ・ベジタリアン)、乳製品のみを摂取することができます(ラクトベジタリアン)。一方、ヴィーガンは、動物由来のあらゆる種類の食品を食事から排除する食事法です。
つまり、ヴィーガンの食事で摂ることができる栄養の範囲は、植物から得ることができるものに限ります。ヴィーガンは植物性食品からしか最適な量の栄養素を得ることができないため、サプリメントに頼らなければなりません。
そこで今回は、ヴィーガンの方が摂るべき7つのサプリメントについてお伝えします。
ヴィーガンの食事で不足しがちな栄養
ギブソン氏は、The American Journal of Clinical Nutrition誌に掲載された論文の中で、ヴィーガンの食事では、ミネラルなどの特定の栄養素の摂取を向上させるために、サプリメントを活用すべきだと強調しています。最も重要な栄養素は以下の通りです。
- オメガ3脂肪酸
- 鉄分
- 亜鉛
- カルシウム
- ヨウ素
- ビタミンD
- ビタミンB12
野菜では、フィチン酸やタンニンがミネラルを閉じ込めて吸収を妨げてしまいます。カルシウム不足は骨の密度に影響を与える可能性があります。栄養士のロハス・アレンデは、ヴィーガンの人の骨密度(BMD)が、ヴィーガンでもベジタリアンでもない人に比べて低いことを指摘しています。これは、ヴィーガン主義者の骨折のリスクを10%増加させます。
ヴィーガンが陥りやすいもう1つの欠乏症はビタミンB12不足です。Chilean Journal of Nutrition誌によると、ヴィーガン主義者のさまざまな年齢層の間で40%から90%の人が、ビタミンB12不足だそうです。B12 の低摂取量は、血管、皮膚、粘膜、さらには神経系に影響を及ぼします。
イギリスで行われた研究では、主に魚から摂ることができるビタミン D もヴィーガンの食事では不足しがちだと発表されました。
ヴィーガンが摂るべきサプリメント7種
ヴィーガン食では、必要に応じて摂取すべき重要な栄養素があります。これらの栄養素をきちんと摂ることで、栄養不足や健康上のリスクを回避することができます。
また、野菜から摂ることができる栄養素を最大限に摂取できるように、考慮に入れるべきヒントもいくつかあります。最も重要なのはどの栄養素でしょうか? どのようにして摂ることができるのでしょうか? 詳しく見ていきましょう。
1. ビタミンB12
ビタミンB12は骨髄や赤血球の生成に欠かせません。また、中枢神経系の代謝やDNAの合成にも関与しています。
ヴィーガン食では、穀物や有機肥料で育てた野菜、漬物、細菌や酵母で作った発酵食品などの食品からビタミンB12を摂取することができます。
1日の必要量は成人で2.4mcgです。医師からサプリメントを処方してもらう場合は、スペインベジタリアン連合によると、少なくとも毎日10 mcgまたは週に2000 mcgを取る必要があります。現在に至るまで、さまざまな医学協会が、ヴィーガンはサプリメントを摂るように、と推奨しています。
2. ビタミンD
ビタミンDはホルモンのような働きをし、カルシウムの代謝に影響を与えます。骨のカルシウム吸収を良くすることで、大人の骨粗鬆症や子供のくる病を予防することができます。成人の1日における必要量は5mcgで、70歳以上では15mcgとされます。
フィッシュオイルに含まれるコレカルシフェロールやD3、または植物性食品からD2として摂ることができます。後者の場合は、1日あたり1000 mcgをが必要です。また、少なくとも週に3回、太陽の光を浴びてビタミンDを合成することができます。
できるだけ肌に直接光が当たるようにし、日焼け止めを塗らないことが大切です。日光が不十分な場合や、ヴィーガンの食事をしている場合は、サプリメントを摂取する必要があります。
3. カルシウム
カルシウムは、骨や歯や代謝など構造的な機能を果たし、神経系や心拍数の健康を維持します。成人の1日における必要量は、1日あたり1000 mcgです。
ヴィーガン食では、フィチン酸塩やシュウ酸塩などの非吸収性複合体がカルシウムの吸収を妨げます。
野菜、特に豆類や穀類の調理法を変えることで、カルシウムの吸収性を高めることができます。
豆類や穀類は8時間以上水に浸して調理したり、発芽させたものを食べたり、酵母による自然発酵をさせたものを選ぶことで、フィターゼ酵素を活性化することができます。フィチン酸と一緒に閉じ込められたカルシウムを放出し、カルシウム吸収を改善します。
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4. オメガ3脂肪酸
オメガ3は、心血管疾患、糖尿病、免疫系疾患の予防の補助になります。野菜にはドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)は含まれていませんが、オメガ3系のα-リノレン酸(ALA)は含まれています。この脂肪酸の約10%をDHAやEPAに体内で変換することができます。そのため、ヴィーガンの食事では、これらの脂肪酸の 摂取量を多くする必要があります。
また、トウモロコシ、ヒマワリ、綿花油などの過剰な使用を避けることが推奨されています。なぜなら、これらの油にはオメガ6が含まれており、α-リノレン酸からの変換を邪魔してしまい、EPAやDHAの合成を低下させてしまうからです。オリーブオイルは、オメガ6が豊富に含まれている油の代わりとして使えます。
ALAの必要量をカバーするためには、粉末の亜麻仁を小さじ1と1/2杯、または生の亜麻仁油小さじ1杯を食事に取り入れましょう。ALAの変換率は低いため、微細藻類から得られるEPAとDHAのサプリメントを使用する必要があります。
ノリス氏とメッシーナ氏による研究では、2~3日ごとに藻類から200~300mgのDHAを摂取する必要があると発表されました。
5. 鉄分
鉄分欠乏症は、最も一般的な栄養不足です。鉄分は、組織内の酸素の輸送と貯蔵に関与し、神経系やエネルギー代謝に作用します。
野菜には非血液性の鉄分が含まれており、3%から8%が体内で吸収されます。ヴィーガン主義者の摂取推奨量は、非ヴィーガン主義者の1.8倍です。
- バイオアベイラビリティを向上させるために、穀物や豆類をパン酵母で発芽させたり、調理前に水に浸したり、発酵させたりすることが推奨されています。
- タンニンが鉄分の吸収を妨げるので、食後のコーヒーや紅茶は避けましょう。
- ビタミンCが豊富な果物や飲み物を利用すると、鉄分の吸収が6倍になります。
6. 亜鉛
亜鉛の食事摂取量は、年齢と性別に応じて3~10mgです。亜鉛は、タンパク質とコラーゲンの合成に関与しています。そのため、傷の治癒のプロセスに影響を与え、ビタミンAの吸収を促進し、免疫反応を改善します。
ラクト・オボ・ベジタリアンなどのベジタリアンとは対照的に、亜鉛不足はヴィーガン主義者で最も見られます。亜鉛はまた、野菜に含まれるフィチンによって捕捉されているので、発芽、発酵、浸漬などの調理方法を活用したり、皮をむくことでフィチン酸が変換され、亜鉛の腸内吸収が改善されます。
7. ヨウ素
ヨウ素は甲状腺ホルモンT3とT4を合成する役割を果たします。これらは、エネルギー代謝を調整し、細胞の酸素化を増加させる働きを持っています。妊娠中や授乳中は1日に175 〜200 mcgの摂取が推奨されますが、一般的な成人の摂取量は、1日150 mcgとされています。
主な供給源は魚、軟体動物、甲殻類、および藻類です。ヴィーガンの場合、摂取量を増やすための良い方法は、昆布や海苔などの藻類を、週に3、4回食べることです。1日に小さじ半分のヨウ素強化塩(iodized salt)でも、ヨウ素の必要量をカバーできます。
一方、キャベツや豆類などの特定の野菜に注意が必要です。生で食べると、食事のヨウ素の吸収を防ぐことに繋がります。
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栄養不足を避けるために
栄養不足のリスクがあるため、ヴィーガン食は賢く計画することが非常に重要です。そのため、できるだけ栄養学の専門家に相談するのがベストです。野菜は非常に健康的ですが、必要な栄養のすべてをカバーすることはできないのも事実です。
健康的な食事のために、計画的にバランスを考え、不足分を補うためのサプリメントを利用することが大切です。そうすることで、健康を危険にさらすことなく、ヴィーガンのライフスタイルを送ることが可能になります。
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