翼状片(よくじょうへん)って何?

翼状片とは、角膜まで侵攻することもある、目の結膜部分の血管新生病変のことです。乱視を引き起こしたり、視力が落ちることもあります。
翼状片(よくじょうへん)って何?
Iván Losada

によって書かれ、確認されています。 カイロプラクター Iván Losada.

最後の更新: 06 12月, 2022

翼状片とは、角膜まで侵攻することもある、目の結膜部分の血管新生病変のことです。乱視を引き起こしたり、視力が落ちることもあります。翼状片を表す英語、pterygiumという言葉は、ギリシャ語のpterysから来ており、これは、”小さな翼”や”ヒレ”という意味を持ちます。

この”ヒレ”は、目の真ん中、下まぶたと上まぶたの間のスペースに現れます。魚のヒレという名の通り、三角形をしていて、側頭側よりも鼻側に現れることが多いでしょう。片目だけでなく両目に影響を与えることもあります。

翼状片は、熱帯気候や亜熱帯気候など暖かい地域に住む人に起こりやすく、寒い地域の人にはほとんど見られません。また、保護やフィルターなしに紫外線を目に浴びることとの関連性もあります。

農家で働く人や屋外で働く人などは、そうでない人と比べ、埃に触れたり紫外線を浴びることが多いでしょう。化学物質や溶剤に接触することとの関連性もあるようです。

涙を蒸発させやすい乾燥した環境や風なども、翼状片を引き起こす原因となり得るでしょう。また、遺伝性成分もあり、自己免疫疾患とのつながりもあります。

翼状片は、20〜50歳の人の間で起こりやすく、都市部よりも農村環境で起こりやすいでしょう。性別に関わらず、アフリカ系アメリカ人によくある病変です。また、日光の強いエリアで起こりやすいでしょう。

翼状片

翼状片の症状(結膜)

翼状片の症状は、その大きさや活動性、場所によって異なります。

活動性翼状片

活動性翼状片は、炎症を伴って肥厚した病変です。充血(過剰な血液を含む)しており、三角形の頂点に白い部分があります。

活動性翼状片の症状には、以下のようなものがあります。

  • 痛み
  • 掻痒(そうよう:かゆみ)
  • 異物反応
  • 羞明(しゅうめい)
  • 視界が狭くなる
  • 二重に見える

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非活動性翼状片

このタイプの翼状片は、温帯気候の国々でより一般的で、その発症率も低いでしょう。ゆっくりと進行し、症状もわかりにくいことが多いようです。主として、炎症や血管新生を伴わない平坦病変で、進行のサインも現れないでしょう。

人の目

このタイプの翼状片の症状は、ほとんどないか、あっても少しでしょう。翼状片の大きさは、その症状に直接正比例します。つまり、大きなものはより角膜の表面を広く締めますので、より大きな影響を視力に与えてしまうのです。

場所にもよりますが、角膜視野周辺部に影響を与える翼状片は、よりはっきりとした症状を伴います。つまり、翼状片が目の周辺だけを覆っているケースでは、ほとんど気がつかないということもあるのです。

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翼状片の治療

予防治療

  • 保護指数が90〜100%のUVフィルター付きのメガネやサングラス。特に、子どもや影響を受けやすい人は必ずかける。
  • つばの広い帽子
  • 医療的治療

無症候性のケースでは:

  • 人口涙液
  • 潤いを与えるための目薬
  • 炎症している場合は、低濃度の外用コルチステロイド薬
目薬を注す男性
  • 手術での治療

症候性の症例では、手術が唯一の治療法となるでしょう。一般的に、翼状片は大きくなりますので、取り除かなければ症状は悪化するでしょう。手術には以下のような方法があります。

  • 単純切除:この手術では、翼状片を切除し、自然に回復するのを待ちます。この方法では、40〜80%のケースで翼状片が再発するため、推奨されていません。
  • 単純な結膜の閉鎖:この方法では、結膜の端を切り、融合します。残念ながら、この手術では45〜70%のケースで翼状片が再発します。従って、再発率の低い高齢者にのみ推奨されています。
  • 輪部結膜自家移植:再発率が低いため推奨されている手術方法です。快復期も短く、再発率が低いのが特徴です。縫合の代わりに、生体適合性のある合成接着剤を使います。そのため、炎症はほとんど見られないか、あっても少なく、異物反応や死を招くこともほとんどないでしょう。また、生分解性があります。
  • 遊離結膜自家移植:この手術では、翼状片の頭部と体部の切除を行います。次に、患者から取り除いた結膜を伴う露出した強膜を覆います。この手術では、輪部結膜自家移植ほどではないにせよ、良い結果が出ています。

翼状片の補助治療

この方法は、外科手術の補足治療で、再発のリスクを最小限に抑えることができるでしょう。

  • 抗有糸分裂薬:抗有糸分裂薬は、細部の複製を予防し、翼状片組織の成長を遅らせたり、ストップさせます。ですが、たとえ翼状片の再発リスクを下げられたとしても、この薬には有毒な作用があり、合併症の危険がありますので、使用が推奨されないこともあります。最もよく使われているのは、マイトマイシンCでしょう。
  • 血管形成:翼状片の成長を促す栄養を供給する血管増殖を予防するのに良いでしょう。また、角膜への広がりを予防します。角膜へ広がると見えにくくなります。現在、topical bevacizumabは実験的臨床使用です。
  • β療法:この方法は再発率を減らすためにβ線を用いた翼状片の術後放射線治療です。細胞の有糸分裂を阻害し再発を防止します。その効果はマイトマイシンに似ていますが、比べると副作用が少ないでしょう。

翼状片は、角膜にまで進行する可能性のある目の結膜の血管病変です。乱視や視力の低下に繋がることもあります。もし目の異常に気がついたら、すぐに眼科医を受診しましょう。


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