ソーシャルメディアのメリットとデメリット
ソーシャルメディアのプラットフォームはさまざまなものがありますが、共通しているのは、これが人、ブランド、組織が集い、交流するデジタルスペースだということです。
哲学者のアリストテレスが言ったように、人間はもともと社会的な存在であることを考えれば、つながりを構築するためのツールが作られたのは当然のことでしょう。しかし、その影響は従来のコミュニケーションを超えています。
Facebook、Twitter、Instagramなどのプラットフォームは、友人と写真や動画を共有するだけでなく、従来のビジネスモデルを変え、イベントのプロモーションに最適なチャネルと考えられています。しかし、いいこと尽くし…というわけではありません。
この記事では、ソーシャルメディアの長所と短所をご紹介します。そうすることで、ソーシャルメディアをより賢く活用し、起こりうるリスクを察知することができるでしょう。
ソーシャルメディアの利点
「ソーシャルメディアは人類を滅ぼす」と考える人もいます。この意見は、ある時点ではまとを得ているかもしれません。
しかし、ソーシャルメディアには良い面もあるという事実は否定できません。ここではそのいくつかを紹介します。
1. 健康増進を促してくれる
インスタグラムにアップされている美しいサラダの写真やレシピ、ダイエットのためのエクササイズ動画、インフルエンサーの投稿などは、多くの人にとって健康増進のためのインスピレーションの源となっています。
この利点は一線を画していますが、事実、ソーシャルメディアはサポートを提供し、皆が考えを議論できるプラットフォームとなっています。このような環境は、明確な目標を持ったコミュニティのようなものを生み出します。
Health and Social Behavior誌の研究によると、社会的なつながりは、健康増進のための大きな精神的サポートとなる可能性があります。
2. 世界中の人たちとつながることができる
多くの人は、家族や友人との連絡を取ったり、昔の知り合いを探すためにソーシャルメディアを利用していますが、インターネットに接続できる環境があれば、誰でも世界中の人々と交流したり、話したりすることができます。
ソーシャルメディアでは、数回クリックするだけで、聞いたこともないような国の人と友達になったり、フォローしたりすることができます。
3. 瞬時にコミュニケーションがとれる
ソーシャルメディアの登場により、固定電話や手紙は使われなくなりました。相手の投稿にコメントを残すだけで、相手からの返信がすぐに届きます。
実際、メッセージ機能のないプラットフォームには、ほとんどの場合、ダイレクトメッセージ機能がついています。このように、スマートフォンやパソコン、ラップトップを使うだけで、世界中の人とメッセージをやり取りすることができるのです。
4. リアルタイムでニュースを提供してくれる
インターネット時代になってからは、メディアだけでなく、誰もが出来事を即座に報道できるようになりました。今では、誰もがニュースを広めて、他の人に時事問題を知らせることが仕事になっているようです。
以前は、ニュースを読むのに翌日まで待たなければならなかったり、テレビでニュースが流れるのを待たなければならなかったことが信じられないほどです。しかし、今ではそんなに待つ必要はありません。ソーシャルメディアで検索するだけで、必要な情報はすべて得られます。
5. 法を執行するためのツールになっている
ソーシャルメディアは、法執行機関にとって、ネット上で犯罪を自慢する人たちを追跡し、逮捕するためのツールとなっています。その内容は、単に不適切な行為から憎悪犯罪まで多岐にわたります。
実際、米国では73%の警察官が、ソーシャルメディアを利用することで犯罪をより早く解決できると回答しています。同様に、スペインでは85%の警察署が犯罪の捜査と解決にソーシャルメディアを利用していると専門家は推定しています。
6. ブランドの認知度が高まる
そのブランドが個人的なものであるか、広くビジネスを行っているかに関わらず、ソーシャルメディアは新規顧客や継続的な顧客とつながるのに便利です。最近では、製品を展示・販売するための窓口となるデジタルスペースが増えており、お客をソーシャルメディアからウェブサイトに誘導することができます。
また、ソーシャルメディアは、フリーランサーや起業家、小規模な企業にとって最大の味方となっており、これらのチャンネルがなければ今日とは違うビジネスの仕方になっているはずです。
7. 学校の成績を上げることができる
Grunwald Associates LLC.がThe National School Boards Associationと共同で行った調査によると、ソーシャルメディアを利用する学生の60%が教育問題について議論するために利用しています。また、専門家によると、50%が宿題について話すために利用していることがわかっています。
また、生徒を巻き込んだソーシャルメディアの教育プログラムは、成績を50%向上させ、学校の欠席率を大幅に減少させることがわかっています。
8. 内気な人や孤立した人が周りとつながる助けになる
Common Sense Media誌に掲載された研究によると、10代の若者の29%が、ソーシャルメディアを利用することで、内気でなくなり、より積極的になったと感じています。同様に、20%の人が、ソーシャルメディアを利用することで、自信、人気度、他人への理解が向上すると答えています。
専門家によると、これらの結果は、ソーシャルメディアが提供する匿名性に起因しているそうです。人と関わるのが苦手な子どもや10代の若者たちは、ソーシャルメディアのおかげで、話したり交流したりすることに抵抗がなくなり、自信を持てるようになるのです。
9. 知識を共有し、学ぶことができる
ソーシャルメディアは、知識や学習のプラットフォームでもあります。科学的な記事やビデオ、講座、バーチャルクラスなどを通じて、自分の知識を共有したり、同じような経験をした人から学んだりすることができます。
10. 革新性と多様性を提供する
ソーシャルメディアは、その誕生以来、大きく変化してきました。友人や家族と写真やビデオを共有するために作られたプラットフォームは、製品やサービスの売買にも利用できる多目的プラットフォームへと進化しました。
ソーシャルメディアのデメリット
ソーシャルメディアには、気をつけなければならない「悪」も存在します。
以下では、そのいくつかを詳しく説明します。
1. プライバシーが危険にさらされる
ソーシャルメディアでデータが共有されればされるほど、プライバシーは失われていきます。ユーザー契約の中には、プラットフォームがあなたのコンテンツを使用することを許可しているものもあります。
同様に、プライバシーに関わるデータの取り扱いにも注意が必要です。住所や未成年者の写真などを共有すると、安全性が脅かされます。
2. ネットいじめ、小児性愛障害者による詐欺、セクスティングの対象になる
主に小さい子供や10代、20代の若者が被害に遭いがちですが、誰もが陥る可能性のある 「悪 」です。
場合によっては、これらの行為は以下のことを引き起こします。
- ストレスや不安
- うつ病
- 性的暴行
- 自殺
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3. 誤った情報や信頼性の低い情報を拡散する
ソーシャルメディアのもう一つのデメリットは、誤った情報が広がるスピードです。大流行しているフェイクニュースの目的は、人々に誤った情報を与え、危害を加えることです。
そのため、複数の情報源を確認することはもちろん、自分が読んでいるニュースが本物か偽物かを見極めることも大切です。
4. 対面でのコミュニケーションが減る
スクリーン上やクリックによるコミュニケーションが容易になったことで、対面での会話などの基本的な行動が減少しています。
信じがたいことですが、デジタルプラットフォームの外で必要とされる社会的スキルを身につけることができないため、長期的に影響が出てきます。この点について、「ソーシャルメディアは反社会的な行動を助長する」と断言する専門家もいます。
5. 睡眠サイクルを阻害する
ソーシャルメディアは中毒性があり、休息時間に影響を与えます。携帯電話が発するブルーライトと睡眠サイクルの乱れには関係があると言われており、これは、休息よりも会話や交流、ナビゲーションをついつい優先するためです。
6. 座りっぱなしの生活になる
ソーシャルメディアで活躍するためには、実生活でも座りっぱなしでなければなりません。ソーシャルメディアでは、人と会ったり、交流したり、話をしたりするために、長時間一カ所に座っていることになります。
悪いことに、毎日70分以上座っていると、体に悪影響が出て、ほとんど座りっぱなしのライフスタイルになってしまいます。
7. 頻繁に使用すると学校の成績に悪影響を与える
教育問題を議論するためにソーシャルメディアを利用する学生は成績が良い傾向にありますが、Educational Psychology Reviewに掲載された研究によると、勉強や宿題をしているときにInstagramを利用する人は成績が悪くなる傾向にあることがわかりました。
また、ソーシャルメディアにログインしたり、メッセージや写真を頻繁に投稿したり、一般的にSNSに多くの時間を費やしている人も同様の傾向があります。
この結果は決定的なものではありませんが、専門家は親が子供のソーシャルメディアの使用に関心を持ち、介入することを勧めています。
8. 精神障害のリスクを高める可能性がある
American Journal of Health Behavior誌に掲載された研究によると、ソーシャルメディアの利用は、うつ病や不安症の可能性を高めることがわかりました。同様に、専門家は、その中毒性により、自己愛的、多動的、反抗的な行動を引き起こす可能性があると推定しています。
9. 生産性を低下させる
ソーシャルメディアを上手に使うと生産性が向上するのと同様に、不適切な使い方をすれば多くの時間を浪費してしまいます。
2018年、成人は1日あたり平均142分をソーシャルメディアに費やしていました。2019年にはこれが2時間半に、2020年には3時間に増加しました。このように、テレビを見たり、スポーツをしたり、買い物をしたりといった他の活動よりも、ソーシャルメディアに多くの時間を費やしています。
10. 詐欺や個人情報の盗難に遭いやすい
ソーシャルメディアを利用した詐欺は非常に多いです。そのため、賞品や割引券、仕事の依頼、ビジネスチャンス、アンケート、寄付などを装ったものに注意する必要があります。同様に、「プラットフォームの色やスタイルの変更が可能になる」と謳う特別機能のオファーにも注意してください。
ソーシャルメディアにおけるもう一つの問題は、個人情報の盗難です。利益を得るためにこのような行為を行う人がおり、詐欺などの犯罪に関連しています。被害者になった場合は、すぐに通報しましょう。
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ソーシャルメディアのメリット・デメリットは使い方次第
今世紀初頭に登場して以来、ソーシャルメディアはコミュニケーションに革命をもたらしました。人生におけるあらゆるものと同様に、それらにはメリットとデメリットがあります。意識的に利用することで、そのメリットを最大限に引き出し、デメリットに陥らないようにすることが大切です。
最も重要なメリットとしては、「世界中の人々とつながることができる」「即時性のあるメディアである」「リアルタイムでニュースを提供する」「健康増進のためのインスピレーションの源となる」「革新性と多様性を提供する」などが挙げられます。
一方、デメリットとしては、「プライバシーが危険にさらされる」、「ネットいじめ、小児性愛障害者による詐欺、セクスティングなどの被害に遭う可能性が高まる」、「睡眠サイクルが妨げられる」、「座りっぱなしのライフスタイルを助長する」、「詐欺や個人情報の盗難に遭う可能性がある」などが挙げられます。
引用された全ての情報源は、品質、信頼性、時代性、および妥当性を確保するために、私たちのチームによって綿密に審査されました。この記事の参考文献は、学術的または科学的に正確で信頼性があると考えられています。
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