妊娠中の坐骨神経痛:原因、症状、治療法
妊娠中に坐骨神経痛に苦しんでいませんか?
坐骨神経痛とは、腰から足にかけて伸びている坐骨神経への刺激や炎症が、腰から脚の裏側に沿ってかかとにまで走る激しい痛みを引き起こす状態です。
坐骨神経痛は、妊婦の半数以上が発症すると言われており、一般的には妊娠の6ヶ月頃から始まる傾向があります。
ここからは、坐骨神経痛の原因と症状、およびそれをコントロールするための適切な治療法について説明します。
妊娠中の坐骨神経痛
原因
妊娠中には様々な原因にって坐骨神経が圧迫されますが、それぞれの原因は「胎児が子宮内で発達するにつれて母親に起こる解剖学的な変化とホルモンの変化」に起因していると考えられます。
腹腔内にある子宮の成長により、坐骨神経を傷つける可能性のある特定の臓器が変位します。
子宮と胎児の位置により、母親はバランスを保つために骨盤を前に押し出す姿勢を取る傾向があり、その結果、母親の重心が変わり、足が離れて背中が過剰に湾曲することで、坐骨神経を圧迫する姿勢となります。
妊娠後期になると、リラキシンというホルモンが増加し、子宮全体の靭帯がより弾力的になることで子宮の膨張が増加し、多くの関節がより不安定になり、関節可動域が制限される拘縮がより頻繁になります。
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妊娠中の坐骨神経痛の症状
坐骨神経痛の痛みは、坐骨神経にかかる圧迫の程度によって大きく異なります。
一部の女性は、坐骨神経痛の痛みを非常に強く動くことができないほどだと形容しますが、逆にわずかな不快感しか感じない女性もいます。
坐骨神経痛の一般的な症状は次のとおりです。
- 軽度の坐骨神経痛の場合、痛みは腰から臀部まで続きます。
- 激しい痛みを伴う坐骨神経痛の症例になると、痛みは脚に沿って広がり、膝とかかとにまでその影響を及ぼします。
- 咳やくしゃみをすると痛みが強まることがあります。
- しびれや筋力の低下が起こります。
- 痛みが最も深刻な場合、運動機能の低下につながる可能性があります。
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妊娠中の坐骨神経痛を予防・治療する方法
継続した運動と正しい呼吸法により、妊娠中の体を強化して坐骨神経痛を予防することができます。
また坐骨神経痛の予防や治療により、妊娠期や出産期を耐える体力を身につけたり、坐骨神経へのダメージを予防することができます。
ここからは坐骨神経痛を予防・治療するのに役立つアドバイスをご紹介します。
- 妊娠中の体重管理
- 適度に運動をする:ハイキング、水泳、ヨガ、ピラティスなどのエクササイズは、腹部の筋肉を強化するのに役立ちます。
- 温熱療法:坐骨神経痛が起こっている患部に局所に熱を加えると、痛みが和らぎます。
- 枕を活用する:横向きに寝る場合は足の間に、仰向けに寝る場合は足の下に枕を置きます。
- 骨盤ベルトを着用する:腹部の重さを分散して、適切な姿勢を維持するのに役立つ骨盤ベルトを着用してください。
- 背中の自然な湾曲に合わせた適切な靴を選びましょう。ハイヒールはお勧めできません。
- 仕事などで長時間座らなくては行けない場合は、2時間ごとに立ち上がり、歩くなどして足をストレッチしながら休憩してください。
- 痛みがひどい場合は、理学療法士などの助けを借りて筋肉をリラックスさせたり局所マッサージを行うことをお勧めします。
非ステロイド性の抗炎症薬などで、自己治療してはいけません。必ず医師に相談してください。
妊娠中の坐骨神経痛に関しては、常に医師に相談して適切な治療を受けることを忘れないでください。
妊娠中には様々な体の変化が起こりますが、それらを正しく乗り越えることで、健康で幸せな妊娠期を送ることができます。
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