強迫観念に対処する方法
強迫観念を持つことは、実はとても一般的なことです。人間は、常に何かを考えている生き物です。したがって、実に多くのとりとめのない思考を抱え込む傾向がある、という事実を、当たり前のこととして受け止める必要があります。問題は、こういった思考が強迫的になって日常生活をしばってくるときです。強迫観念に悩まされているなら、この記事で紹介する対処法を学びましょう。
強迫観念との付き合い方
強迫観念は通常、何かについて考えることにあまりにも多くの価値や重要性を置くために起こります。その結果、思考は単純な心の動きから心理的な問題へと変化していきます。
自分の思考をコントロールすることはできなくても、その思考に価値を与えるかどうかは、自分でコントロールできるものなのです。
認知的な出来事との関わり方には大きな個人差があります。中には、自分の思考に取り憑かれることを避け、思考をあるがままの姿で捉え、思考にあまり価値や重要性を置かないようにできる人もいます。
一方で、「頭に浮かぶ考えが自分という人間を映し出している」と思う人もいます。多くの場合、こういった人は完璧主義で責任感溢れるタイプです。自分の考えが実際に起こっている状況であるかのように感じてしまい、最終的には自分の思考に取り憑かれてしまうのです。しかし、思考はしばしば心の創造物に過ぎず、現実と同じではありません。
この状態の最も一般的な治療法の一つは、強迫的な思考に対処することを学ぶことです。論理的には、自分の思考にアプローチし、自分と対話し、思考との正しい関わりを持つ新しい方法を学ぶ必要があります。最終的な目標は、思考に人生を支配されないようにすることです。
考えるべきか考えないべきか、それが問題だ
強迫観念はとてつもなく厄介になり得るものです。流行りの歌が頭の中でずーっと流れていて、嫌でも頭の中でかかりっぱなしだったことってありますよね? そういう時に限って、聞かないようにしよう、鼻歌を歌わないようにしよう、とすればするほど、より強く頭の中で流れてしまわなかったでしょうか。
強迫観念でも同じようなことが起こります。「考えないようにしよう」という思いには、皮肉にもリバウンド効果があり、返って思考が強くなっていきます。したがって重要なのは、自分の心のプロセスをまるで観客であるかのように外から傍観して、自分の思考と一緒に生きることを学ぶことです。
しかしこれを実践するのは容易なことではありません。何かに執着することが非常に不快なものであることはすでにわかっていることで、不安を取り除くために頭の中から執着を排除しようとするのが自然なことです。ここで衝動が出てきます。この衝動というのは、不快感を中和して執着を出現させるほとんど無意識の行動です。
短期的にはうまくいくように見えるかもしれませんが、長期的にはこの「解決策」が本当の問題になります。私たちは、これらの衝動強迫に依存するようになり、執着を排除するために衝動強迫を使い、それが癖になるのです。
強迫観念を手なずける戦略
思考を無力化する手段として、強迫観念に陥らないようにすることです。ここでは強迫観念に対処するために最も効果がある戦略をご紹介します。
認知的衝動解離
認知的に心の出来事を解消すること(衝動解離)は、思考を現実と自分自身から分離する方法を知ることを意味します。つまり、自分=自分の思考ではないと認識する必要があります。あなたはあなたの思考よりもはるかに大きな存在です。一方で、思考があるからといって、それが必ずしも現実を映し出しているわけではないと気づくことも必要です。
思考とは、心理的な内容、イメージ、認識に過ぎません。しかし、思考は客観的で検証可能な現実ではありません。したがって、現実に対応しない考えに基づいて行動しても意味がありません。
嫌な思考が生まれても、単に嫌な存在として扱い、それが過ぎ去っていくのを見守る方がはるかに機能的です。思考が弱まり始めるまで、なんだったら嫌な思考に挨拶をしたって良いですし、いなくなるまでそこにいるのを認めましょう。
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強迫観念に対処するには、思考に重きを置くのをやめる
考えているからといって、その考えを重要視する必要はありません。考えることは夢を見ることと同じように、人間らしいことであるということは、先ほど説明した通りです。
私たちは誰でも、恥ずかしくて認めることができなかったり、口にすることができないような思考を持っています。だからといって、そんな考えが重要であるという意味ではないですし、自分を定義しているわけでも全くありません。したがって、良い方法は、自分が自分の思考に与える価値を減らすことです。
自分の思考を受け入れる
自分の思考から逃げなくても良いというだけでなく、むしろ思考を受け入れようと積極的に働きかけるのが大切です。「悪魔」を受け入れることは、例え嫌な存在であっても、それが存在することの事実にオープンであることを意味します。
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衝動強迫を抑制する
この部分が重要なのです。持っているすべての衝動強迫は、自分の考えが正しいと自分に言い聞かせている結果なのです。つまり、精神的な考えに基づいて実際の行動を行っているのです。現実と自分の心は別の世界であり、お互いにあまり関係のない世界です。だからこそ、これ以上強迫観念の餌にならないように、衝動強迫を抑制する努力が必要なのです。
強迫観念に対処する方法を知りたいと思っていましたか?
この記事でご紹介した対処法を試し、思考があなたの人生を乗っ取るのを防ぎましょう。しかし同時に、それに加えてサポートと指導を提供してくれるカウンセラーの力を借りてみるのも良いでしょう。
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