ジカウイルスにご用心!/知っておくべき基礎知識

· 9月 6, 2016
ジカウイルスに対するハイリスクグループの筆頭は妊娠中の女性。小頭症などの先天性異常を引き起こす可能性があるからです。世界中の医師にとって、このウイルスをコントロールすることがきわめて重要なのはこのためです。

世界保険機関(WHO)が重要な警告を発しています。これまでに確認されたデータによると、ネッタイシマカやヒトスジシマカ(通称ヤブ蚊)によって媒介されるジカウイルスは、中南米の15カ国以上に広がっている、というのです。

最も心配なのは、ほとんどの国立保健研究機関によると、ジカウイルスに対抗する特効薬やワクチンがまだ開発されていない、ということ。でも、適切な予防措置をとり、正しい情報をしっかり把握しておくことで、このウイルスから身を守ることが可能です。

大部分の医師の話では、ジカウイルスは通常、発疹と発熱を引き起こすといいます。死に至る危険があるのは、免疫力が落ちている人々に限られています。

現在、特に問題になっているのは、このウイルスが胎児に影響を及ぼし、深刻な先天性異常を引き起こす可能性があるということです。

今回は、ジカウイルスとその予防法についての情報をお届けします。

ジカウイルスって何?

ジカウイルス感染症の症状は、デング熱によく似ていいます。ウガンダのジカ森林に生息するアカゲザルからウイルスが発見されたのが最初で、そこからジカウイルスの名前がつけられました。

発見されたのは1947年のことでしたが、人間の間で流行したのは2007年が初めて。太平洋のミクロネシア連邦のヤップ島で、およそ8000人が感染しています。

当時、このウイルスによる最も一般的な症状は、重度の発疹・関節痛・疲労感でした。

しかし、2007年の流行がアフリカからミクロネシアへのウイルスの伝播の結果起こったとすると、当時から、中南米での流行が発生した2015年までの間に、ウイルスに何らかの変化があったと考えられます。現在、もっと深刻な影響が問題となっており、これには胎児の小頭症が含まれます。

 

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現在のジカウイルスは変化している

  • ガイアナにあるパスツール研究所ではジカウイルスの研究を行っており、中南米の大部分に広がった病原菌を分析しています。
  • 毎年何百万もの人々に感染している可能性がありますが、健康な成人が死に至るケースはまれです。その他の呼吸器系疾患・感染症・重度の心臓病・疲労などを併発している場合は、死に至ることがあります。
  • 現在ジカウイルスがこれほどまでに騒がれているのは、前述のように、ジカウイルスが胎児に感染し、小頭症を引き起こしているからです。
  • 欧州疾病予防管理センターによると、2010年から2014年までの間に、ブラジルでは150~200件の小頭症の発症例が認められたと言います。この統計結果を2015年の3895件と比べるとき、その急激な増加におどろかされます。
  • 現在のジカウイルス型は、アジア系遺伝子型からきており、ウガンダのジカ森林で発見された型とは異なっていることが判明しています。

現在中南米で流行しているウイルスの伝播過程ははっきりと把握されています。このため、まもなく治療薬とワクチンが開発されるだろうと期待されています。

ジカウイルスはどのように感染するの?

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ジカウイルスの最も一般的な感染経路は、ウイルスを持っているヤブ蚊に刺されることです。

けれども、虫除けスプレーを使ったり、長袖・長ズボンを着用するだけでは十分ではありません。現在のウイルスの型は、下記の方法でも感染する可能性があることを覚えておきましょう:

  • 性行為(ジカウイルスは精子中で長い間生存することができます)
  • 周産期感染(母親から胎児に血液をとおして感染します。ただし、母乳をとおしては感染しません)

厚生労働省の報告によると、2016年8月10日現在においては、日本国内での感染例はないようですが、海外で感染して帰国後に発症した例は2013年以降10例あるそうです。

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ジカウイルスの症状って?

ウイルスに感染した蚊に刺されたあと、最初の症状が出るまでに2~7日間かかります。けれども刺された全員が発症するわけではなく、ジカウイルス感染症(ジカ熱)にかかるのは4人に1人の割合であることを覚えておきましょう。

主な症状には以下のものが含まれます:

かゆみ・斑丘疹・軽度の発熱・結膜炎・関節痛・筋肉痛・疲労感・倦怠感・頭痛

ジカウイルスとアレルギーまたは別のタイプの皮膚疾患とを区別するカンタンな方法のひとつは、筋肉痛や疲労感があるかどうかです。

神経障害や自己免疫障害などの合併症はまれですが、最近ブラジルで発症例が報告されています。

妊婦や胎児への影響は?

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すでにご存知のように、現在ジカウイルスが大きな問題となっているのは、このウイルスが原因とされる小頭症の赤ちゃんがたくさん生まれていることです。

このため、現在ジカウイルス感染症のハイリスクグループには、感染例が報告されている国や地域に住む(あるいは滞在する)妊娠中または妊娠予定の女性が含まれます。

現在、これらの国・地域には以下が含まれています:

メキシコ・グアテマラ・エルサルバドル・ホンジュラス・ハイチ・プエルトリコ・セントマーチン島・グアドループ島・マルティニーク島・バルバドス・パナマ・エクアドル・コロンビア・ベネズエラ・ガイアナ・スリナム・仏領ギアナ・ブラジル・ボリビア・パラグアイなど。また、アメリカ合衆国フロリダ州でも国内感染例が報告されています(2016年8月19日現在)。

ブラジルの疫学報告によると、今年死亡した46件の新生児死亡例はジカウイルスと関係があると言います。

さらに、1月初めにアメリカ合衆国でも最初の新生児死亡例が報告されており、この問題は広がりつつあると見られています。

妊娠中だけど、どうしたらいいの?

ジカウイルス感染症が流行している国以外に住んでいる人へのアドバイスはこれしかありません:もし妊娠中、あるいは妊娠予定であれば、上記の国々には旅行しないことです。

でも……これらの国・地域に住んでいる妊婦さんはどうしたらよいでしょうか。

医師たちは、これらの女性たちは以下の予防措置をとるよう勧めています:

  • 長そで・長ズボンを着用し、蚊に刺されないようにする。 
  • 虫除けスプレーを使用する。  
  • 家のまわりの水たまりを排除する(植木鉢や、湿気が多く蚊が発生しやすいところを含む)。 
  • 蚊帳をつって寝る。  
  • WHOでは、妊娠中あるいは妊娠予定の女性たちに、定期的な医師の診断を受け、最新情報を常に入手するよう推奨しています。

どうしてジカウイルスは先天性異常を引き起こすの?

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前述のように、ブラジルは、新生児の小頭症を含む、ジカウイルスの深刻な副作用の大半を体験しています。このため、ブラジルでは数多くの研究がなされており、この病気の原因と治療法とを発見しようと努めています。

  • 小頭症やその他の先天性異常のリスクは、妊娠初期(最初の3ヶ月)中にジカウイルスによって引き起こされる感染症と関連があると考えられています。  
  • 小頭症は非常にまれな症状であり、遺伝または環境要因(毒素または感染症など)にさらされることが原因で起こり得ます。
  • 小頭症の子供たちは、胎内で脳の発達が遅れたり止まったりしたことにより、正常よりも頭囲がずっと小さく生まれてきます。知的発育の遅れ・けいれん発作・摂食困難などを伴うことがあり、中には生まれて数日以内に死亡する例もあります。
  • 現時点では、小頭症に対する特定の治療法はありません。

現在妊娠中。赤ちゃんが小頭症かどうか、どうしたら判るの?

小頭症は、胎児の超音波検査で診断可能です。でも正確を期すためには、妊娠後期まで待たなければならず、その時点でも100%の確証を得ることはできません。

通常、診断は出産後になされます。小頭症にもさまざまな程度があり、中には適切なサポートを受ければ、正常に近い生活を送ることができるケースもあります。

しかしほとんどのケースで、小頭症の子供たちには何らかの学習障害が見られます。

まとめ

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ジカウイルス感染および関連した警告を受けている地域は、2016年8月現在、中南米だけでも40カ所以上に及んでおり、今後さらに拡大するおそれがあります。この中には、ジャマイカやカリブ海一帯も含まれています。

医療機関では、現在のジカウイルス感染症の流行がおさまるまで極力妊娠を避け、蚊から自分たちの身を守ることを勧めています。

もしジカウイルスの症状を経験しているのではないかと心配している人は、医師の診察を受けることが大切です。また医師の勧めにはためらわずに従いましょう。現在までの研究で、ウイルスがどこに存在し、どこで発生し、どう広がっているかが明らかになっています。このため、早急なワクチンの開発が期待されています。

さらに情報が集まり、人々が生活習慣を変え、医療専門家や研究者たちの支援を受けることで、ジカウイルスの流行を克服していくことができるでしょう。

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