ハンチントン病とは?

5月 14, 2018
ハンチントン病とは、現時点では完治する治療方法のない脳障害です。

ハンチントン病とは、日本では難病に指定されている脳の障害であり、特定の運動機能や認知機能の低下および精神症状の発症を特徴とする遺伝性の進行性神経変性疾患です。通常、30代または40代の人々に起こり、死に至るまで病気が進行します。

ハンチントン病は「ハンチントン舞踏病」とも呼ばれています。これは、この病気に起因する「コレア」とも呼ばれる舞踏運動に由来します。

遺伝性の疾患であるハンチントン病

ハンチントン病は遺伝的な病気で、遺伝子の異常によって起こりますが、なぜ遺伝子の変化が起こるかはいまだに解明されていません。

常染色体優性遺伝による病気を常染色体優性遺伝病と呼びますが、ハンチントン病は常染色体優性遺伝形式という遺伝形式を現す遺伝性の疾患です。

つまり両親のどちらかがハンチントン病患者であれば、子どもは50%の確率でハンチントン病を発症する可能性があります

第4染色体の中の遺伝子での核酸配列の一部が異常に長く繰り返されることでハンチントン病を発症します。配列の長さが長くなるほど症状が強く、発症が早い傾向があります。

ハンチントン病患者の子供は?

子供は、父親と母親の健康的な遺伝子である優勢遺伝子を受け継ぐ確率も、欠損があると考えられる劣勢遺伝子を引き継ぐ取る確率もそれぞれ50%です。そして子供だけが発症することもあります。

ハンチントン病では、浸透率は95%に近いため欠陥のある対立遺伝子を持つほとんどすべての人々がこの疾患を発症することを意味します。

ハンチントン病の原因は何ですか?

ハンチントン病の原因

この疾患は、染色体4に位置するハンチントン病遺伝子のCAGトリヌクレオチド反復の拡大に起因します。ほとんどの場合、39以上が複製され、それが疾患の兆候となります。

その結果、突然変異により直接的及び間接的な神経学的損傷を引き起こすハンチントンタンパク質が発生します。

ハンチントン病の進行

通常、この疾患は30〜40歳の人々が発症しますが、子供や若者が発症することもあります。またその一方で、55歳以上の人がハンチントン病を発症したという症例もあります。

初期症状が現れる年齢には個人差があり、ゆっくりと進行しますが、一度発症すると治癒方法がないため死に向かっているという冷酷な疾患です。また症状には個人差があります。

臨床上の初期症状

ハンチントン病の初期症状

臨床上の初期症状は明確なものはありませんが、一般的には、不眠、幻覚症状、不安感、そして日常生活における小さな変化が含まれます。特に 不規則な手足の動きや揺れは、ハンチントン病患者に共通する初期段階の症状です。

 

ハンチントン病の進行

ハンチントン病が進行すると、不随意運動、精神症状、行動異常、認知障害などの症状が気づかないうちに始まり、ゆっくりと進行します。これらの症状は制御が困難であるだけではなく、徐々に悪化していきます。

運動症状は制御するのが困難であることに加えてより顕著になります。舞踏運動というのは、体が自分の意志がないのに動いてしまう運動の一つを指します。

  • 舞踏運動:不随意の運動で、体が自分の意志とは関係なく動いてしまうことを指します。まるで「ダンス」をしているように見えることもあるためこの名前がついていますが、その動きはリズミカルでも規則的でもありません。時間の経過とともに悪化し、日常生活が困難になります。
  • 寡動:患者の動作が緩慢となり、動作の開始が遅れます。
  • 運動性発話障害:神経障害が原因で、どもりや口ごもりなどの発音障害が起こります。

これらの症状に加えて考慮すべき症状は、認知能力と精神状態の大きな変化です。認知機能の変化については以下のような問題が発生します:

  • 発声問題:繰り返すこと、何かの名前を思い出していうこと、そして完全な文章として話すことが困難になります。最初は症状が起きていることに気づかない軽度から始まり、時間とともに悪化します。
  • 整理する力や仕事をやり遂げる能力の変化:これに加えて自分の感情や他者の感情の認識や処理に問題が生じます。
  • 空間認識や方向の認識問題:ハンチントン病を発症すると、比較的頻繁にテーブルの角などにぶつかるなど方向や空間の認識に苦しみます。
  • 精神障害:ほとんどの患者に精神障害が現れます。特に問題なのが不安とうつ病の症状で、ハンチントン病の進行と深い関わりがあります。また精神病を発症したり、すべてに無関心になることもあります。

病気の最終ステージ

最終ステージ

ハンチントン病の最終段階では、患者はすべての機能を喪失するため、24時間のケアが必要になります。 この段階では、一日の中で短時間だけ正気に戻る時間を除くと、患者はコミュニケーションや自発的な思考ができません。

ハンチントン病が進行すると、舞踏運動が治まる傾向がありますが、その代わりに患者は硬直と動作が緩慢となる寡動の症状が現れます。食事や日常生活でもサポートを必要とするだけではなく、尿道カテーテルの使用が必要になります。

この段階では、誤嚥性肺炎のリスクが非常に高くなり、 通常、患者の死亡原因は合併症または自殺がほとんどです。

診断方法

ハンチントン病の診断は、他の疾患の場合と同様に、詳細な神経学的検査を含む身体検査を行うことから始まります。同時に、医師は患者の病歴、特に家族の病歴を確認する必要があります。

そして精神科医による診察と検査が必要です。医師が患者の精神状態をより深く調べ、今後起こり得る問題を特定するのに役立ちます。

場合によって初期症状がすでに現れている場合は、患者は遺伝子検査を受ける必要が生じます。医師は、遺伝性であるこの疾患の影響を考慮して、検査結果を患者およびその家族に説明する必要があります。

治療方法

現在、ハンチントン病を治療する方法はありません。治療は、患者とその家族(または介護者)両者の生活の質の向上を目的として行われるため、患者の家族と患者は全員、精神的な助けとなる心理サポート受けることが推奨されています。

運動機能に生じる問題を解消するために、テトラベナジンなどの医薬品を治療に使用することがあります。これらの薬剤は舞踏運動を減少させる効果がありますが、精神障害を悪化させるリスクが高まります。ハンチントン病患者の精神面を治療する場合は、以下の薬が使用されることがよくあります。

  • 抗うつ薬
  • 抗不安薬
  • 精神安定剤

またハロペリドールなどの医薬品は、運動機能の問題を治療するための選択肢となります。

現在進行中の研究

過去20年間で、治療に49種類以上の有効成分を使用した臨床試験が100件近く行われましたが、この中で将来的に有望な結果を残したのはわずか4%でした。。

現段階で最も有望だと考えられている研究結果は、「疾患が生成する突然変異タンパク質のDNAまたはRNAを標的とする治療」です。

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