冬になるとインフルエンザの流行が広がる理由

インフルエンザは、さまざまな種類のインフルエンザウイルスによるウイルス性疾患です。一般的に、インフルエンザという感染症の症例は、冬になると増加する傾向があります。今回は、冬になるとインフルエンザが流行する理由を説明します。
冬になるとインフルエンザの流行が広がる理由

最後の更新: 09 11月, 2020

現在は、新型コロナウイルス(COVID-19)が世界中のメディアの話題を独占し、Covid-19に関する多くの研究が行われています。しかし、他のウイルスも依然として世界中に存在しており、危険性は低いとはいえ、インフルエンザが深刻な症状ややっかいな状態を引き起こす可能性があります。また、インフルエンザは冬になると流行することが多い病気です。

なぜインフルエンザは秋と冬に流行がピークになり、春に事実上消滅するのか不思議に思ったことはありませんか? 今回の記事では、これらの疑問に答えます。

1つの臨床像と複数の形態

インフルエンザは、さまざまな種類のインフルエンザウイルスによって引き起こされる感染症です。インフルエンザウイルスは一本鎖RNAウイルスで、外側が脂質層で覆われた特徴的な丸みを帯びた外観です。世界保健機関によると、季節性インフルエンザウイルスには4つのタイプがあります。

  • A型インフルエンザウイルス:表面にある2つのタンパク質の組み合わせに基づいてサブタイプに分類されます。既知のインフルエンザのパンデミックは、すべてA型ウイルスによって引き起こされています。
  • B型インフルエンザウイルス:サブタイプに分類されませんが、現在流行しているB型のウイルスは2つの系統に分けることができます。
  • C型インフルエンザウイルス:このウイルスは検出頻度が低く、通常は軽度の感染症を引き起こします。そのため、公衆衛生の面からは重要性を欠いていると考えられるウイルスです。
  • D型インフルエンザウイルス:主に牛に影響を及ぼすウイルスで、現段階では人間に感染したり病気を引き起こす症例は報告されていません。

世界におけるインフルエンザの発生率は20%と推定されています。 言い換えれば、世界人口の20%が人生のある時点で、インフルエンザに感染します。さらに、特定の集団の最大50%に影響を与える可能性があるため、病理学の観点から考えると選択的な病気だと言えます。

疫学的な重要性を持つインフルエンザは、複数の研究対象となっています。

冬になるとインフルエンザの流行が広がる理由 体調の悪い女性

インフルエンザと天候

科学誌PlosPathogensに掲載された研究では、インフルエンザと気候要因の関係、およびインフルエンザが冬に広がる理由について説明しています。

  • 研究者たちは、モルモットを使い、20の実験レプリカを使用しました。この研究では、インフルエンザに感染したモルモットをさまざまな区画に配置し、病気のモルモットに隣接する他の区画には、健康なモルモットを配置しました。
  • その後、研究者たちは、健康なモルモットと病気のモルモットを含むさまざまなサンプルグループを、さまざまな相対湿度と温度の範囲を経験させました。
  • 一定の温度では、相対湿度とインフルエンザの伝播は逆相関していることがわかりました。相対湿度20%という環境では、健康なモルモットのほとんどは、病気にかかったモルモットからの浮遊粒子に感染していました。湿度80%では、このような感染は観察されませんでした。
  • 温度が5度という環境で感染したモルモットは、20度の環境で感染したモルモットよりも、空中の粒子に多くのウイルス量を放出していることもわかりました。

この研究から、低温と乾燥がウイルスの拡散を促進すると結論付けると考えられます。

しかし、なぜなのでしょうか?

インフルエンザは相対湿度が低いと広がります

相対湿度が低いことがインフルエンザの蔓延に有利である理由を説明しようとする、様々な仮説があります。

  1. 乾燥した空気は宿主の鼻粘膜を損傷して劣化させ、インフルエンザなどのウイルス性呼吸器感染症から宿主をより保護しなくなる可能性があります。
  2. 空中に浮遊している粒子に含まれるウイルスの安定性は湿度によって変化する可能性があり、ウイルスは湿度の低い環境でより長く活性を維持します。
  3. ウイルスは湿度がより高い環境では感染力を失う可能性があります。相対湿度が高いと、宿主が放出する空中に浮遊する粒子が環境内の水分子にすばやく付着し、その体積が増加してより早く沈殿する可能性絵があります。これにより、ウイルスが移動する速度と距離が減少します。
冬になるとインフルエンザの流行が広がる理由 くしゃみが出ている女性
気温の低さは、インフルエンザを引き起こすウイルス感染が起こる環境を提供します。

インフルエンザは低温で流行します

低温の環境でインフルエンザが流行することに関しての説明は、少し簡単かもしれません。

低温では、鼻粘膜は空気を吸うと冷えます。これにより、ウイルスを助長させ、ウイルスの複製が行われやすい感染微小環境が生まれる可能性があります。そして結果として、くしゃみなど飛沫にウイルス量が増えて感染を促進します。

インフルエンザの季節がある理由

今回ご紹介したように、インフルエンザが流行する季節に関しては、明確な科学的根拠があります。 北半球では、インフルエンザウイルスが10月から流行し始めて、12月から2月の間にピークに達します。 これらのデータは、この時期が寒くて乾燥しているからだと、研究を通じて研究者たちが結論付けたものと完全に一致します。

幸いなことに、毎年インフルエンザの予防接種が供給されるため、インフルエンザの持つ潜在的な問題やリスクはほとんど解消されています。 高齢者や免疫力が低下している人には、特にインフルエンザの予防接種を強くお勧めします。

 


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