夫がいると女性の家事労働時間が/7時間増えるってホント?!

この記事のタイトルを見て、イラつく人がたくさんいるかもしれませんね。女性の家事労働時間の多寡は、「夫の存在が直接の原因じゃない」と考える人もいることでしょう。
夫がいると女性の家事労働時間が/7時間増えるってホント?!

最後の更新: 07 11月, 2018

今回話題として取り上げているのは、今だに多くの家庭で見られる男女不平等についてです。

この問題を分析すべく、米国ミシガン大学がある調査を行いました。

その結果「今日でも、家事の大部分を負担しているのは女性である」という明確な結論に達しました。

この問題に関して一般論として片付けてしまわず、きちんと対処する必要があります。

中にはまったく逆のケースもあり、「専業主夫」が家事を取り仕切っている家庭もあるでしょう。

また、しっかり平等になるべく、公平な家事分担を実行している共働き夫婦も多く存在します。

これらの事実を踏まえたうえで、この興味深い調査結果をもう少し詳しく見てゆきましょう。

夫婦間の男女不平等とは

このニュースは、まったくの最新情報ではなく、ミシガン大学は、Institute for Social Research (社会調査研究所)が1968年以来つくり上げてきた、家族の動態に関するデータベースを利用しています。

この調査の意図は、家事分担が時代の変化と共にどう変わってきたかを調べることで、 その結果は、ロイター通信社によって発表され、以下のようにまとめることができます。

家事分担の不平等

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時代の移り変わりと共に、男女平等への意識が高まり、法律上でもさまざまな改善が行われてきましたが、今でも男性の方が高い収入を得ているのが事実です。

内閣府男女共同参画局によると、男女平等に関する調査をいくつかの国を対象に行った結果「日本を含む全ての対象国で、男性の方が優遇されている(「男性の方が非常に優遇されている」と「どちらかといえば男性の方が優遇されている」の合計)と答えた者の割合が高い。」と報告されています。

  • 育児と家事に専念するため、一時的にしろ永続的にしろ、仕事と職務とをあきらめることを選ぶのは女性であることが一般的です。
  • 条件が平等の場合、つまり夫婦ともに仕事を持って外で働いている場合でも、家庭で家事と育児にかける時間が多いのは、一般的に女性の方です。
  • 世代差はあります。60歳以上の女性は、一週間に平均28時間まで家事のために費やしています。
  • 子供が3人いる女性も、夫よりもずっと多くの時間を、育児と家事とに費やしています。
  • そのほかの既婚女性が家事と育児(子供がいる場合)とにかける時間は、夫よりも平均して週7時間多い、という結果がでています。

また、これもおどろくに値しませんが、過去にはこの男女差がより明確だったと言います。

たとえば1976年には、妻が家事に費やす時間は平均で週26時間だったのに対し、夫はたったの6時間でした。

家族の世話における男女不平等

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現代社会の夫婦は、幼い子供を世話し育てることに関しては、平等のパートナーでありことが多く、育児に参加する男性の数も増えています。

しかし、高齢者あるいは身体に障害のある家族の世話に関してはどうでしょうか?

介護を女性が負っているご家庭が多いのが現状といえます。

昔から女性が担ってきた家庭内における介護者としての役割が今も生き続けており、家事とならんで、家族の世話をするのも女性であることが多いということがわかります。

繰り返しになりますが、それぞれの家族にはそれぞれの事情があります。

男性が夫あるいはパートナーとして、この役割を負っている家庭も数多くあるでしょうし、病気や高齢の妻の世話を一手に引き受けている男性も少なくありません。

今回は、ミシガン大学が行ったこの調査をベースとして、一般的な傾向として、家族の世話・介護における夫婦間の不平等は今でも続いているということをお伝えしています。

意識を変え、子供たちに平等とは何かを教える

私たちの世代は、家族の世話や家事は自分の責任であると理解していた祖母や母親の世代に比べたら、少しは前進しています。

でも、この他にも覚えておくべきことがあります:それぞれの夫婦は、自分たちの置かれた状況や特別な必要に応じて、役割分担について合意を得、実践していくことが大切です。

  • 共働きの場合、家事は夫婦両方の責任です。平等に分担しましょう。
  • 夫婦のどちらかの方の収入が多い・よい仕事についているなどの理由で、どちらかが専業主婦(あるいは主夫)として家事と育児に専念することに同意するならば、それは良い決断です。
  • 不平等とは、夫婦共に同じ状況(共働きなど)にあるのに、どちらか一方だけが自分の時間を家事・育児に費やし、どちらかがそれを「当然の役割分担」であると見なして知らん顔をしている状態を指します。。
  • 家族全員が助け合うという意識を持ち、家庭内における責任および機会の平等を進めていかなければなりません。
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家庭内での男女平等を実現するためには、家族はみんなチームの一員であるということを子供に教えていくことが大切です。

女性も男性も同じ権利を持っており、それぞれの必要と義務とを持った人間です。

お互いを思いやり助け合っていく中で、理想的な夫婦関係・家族関係が生まれてきます。

子供は親を見て育ちます。本当の男女平等は、法律ではなく、家庭から始まることを覚えておきましょう!

引用サイト:内閣府男女共同参画局


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