胸骨正中切開の合併症と回復について

12月 30, 2019
胸骨正中切開の主な合併症は感染症です。深刻に悪化した場合には、生命を脅かす可能性もあります。

現在、ほとんどの心臓手術は胸骨正中切開で行われています。1857年にこの切開方法が1番始めに提案され、1957年までには一般的に普及しました。

胸骨正中切開によって合併症になることはほとんどありません。しかし、合併症になってしまった場合には、非常に深刻であることが多いです。この切開方法による最も一般的な合併症は、縦隔炎による感染症です。

スウェーデンのカロリンスカ研究所、カナダのトロント大学、およびアメリカミゾーリ州セントルイス・ワシントン大学にて、胸骨正中切開の合併症に関する最も包括的な研究が並行して実施されました。そして、この記事の中で後ほどご紹介しますが、ほとんどの危険因子をはっきりとさせることに成功したのです。

胸骨正中切開とは?

胸骨正中切開

胸骨正中切開とは、胸骨に沿って行われる切開方法です。当時日常的に行われていた緊急開胸に代わり、1950年代からこの切開方法によって胸部外科領域の手術が一般的に行われるようになりました。

胸骨正中切開は緊急開胸よりも術後の痛みが少ないために人気となりましたが、後に感染症や離開(傷跡が開くこと)などの合併症を引き起こす可能性があることが明らかになりました。

胸骨正中切開は、胸骨に沿って縦方向に切開する手術方法です。この方法では、心臓や肺を含む胸部全体に到達することができます。また、術後の痛みが少ない、胸膜腔に到達しやすい、肩の筋肉を保護してくれるなど、いくつかの利点があります。

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胸骨正中切開の合併症

一般的に、胸骨正中切開はとても安全な方法ですが、まれに合併症を引き起こすことがあります。

最も一般的な合併症の1つは感染性合併症であり、約3%の確率で発症します。

この場合、症状は軽いこともあれば、重いこともあります。深刻な症状の場合には入院が必要となり、生命を脅かす可能性もあります。胸骨正中切開に関連する感染性合併症にかかると、4~47%の確率で亡くなると言われています。

通常、感染性合併症は胸骨骨髄炎または縦隔炎によってもたらされます。ほとんどの場合、術後1週間以内に感染し、平均して術後の7~12日に症状が現れます。

縦隔炎、および急性または慢性の縦隔(胸部の中央)の炎症は非常に深刻な感染性合併症であり、時には致命的ともなります。そのため、ほとんどの場合外科治療が必要となります。

危険要因

胸骨正中切開

この手術の主な危険は、感染症の可能性です。

胸骨正中切開による感染症は、次の3つの要因によって引き起こされます。

  1. 術前の要因
  2. 手術関連の要因
  3. 術後の要因

もう少々詳しくみてみましょう。

術前の要因:この場合、危険要因には男性であること、高齢であること、体重過多であること、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、および腎不全を患わっていること、そして喫煙していることなどです。

手術関連の要因:手術の緊急性、手術時間、手術の種類、過剰な電気メスの使用、および心原性ショックなどがあります。

術後の要因:術後の人工呼吸器、出血、強心剤の使用などがあります。

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回復

事前に危険要因を特定することができれば、回復できることが多いです。合併症のリスクを下げるだけでなく、万が一合併症になった場合でも対処が容易となるためです。体重過多、糖尿病、高齢であることは、特別な注意が必要な危険要因です。

通常感染症の治療は、排膿、洗浄、陰圧閉鎖療法、デブリードマン、感染部分の被覆、抗生物質の全身投与によって行われます。

胸骨正中切開の術後ケアとして、傷口を中性石鹸できれいにして慎重に乾かします。そして、縫合糸は数週間後に自然に溶けます。傷口を目立たなくする皮膚接合用テープは、自然に剥がれるまで貼付しておくか、1週間後に患者自身で剥がすこともできます。

間欠的および一時的な痛みを伴うことは珍しいことではありません。痛みを感じたときには、鎮痛剤を服用しましょう。また、切開部が少し腫れることもありますが、数か月後には正常に戻るでしょう。

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