友達は重荷を軽くし
幸せを倍増してくれる存在

友達は私たちが選んだ家族であるだけでなく、もっと大切な役割を果してくれます。その存在は、物理的意味にしろ心理的意味にしろ、私たちの抱えた問題を軽くしてくれることができるのです。

友達にはひどい痛みを和らげてくれる力があります。友達は私たちの守護天使のようなもの。身体的にだけではなく、心理的にも同様です。友情は私たちの苦しみをいやす天然の鎮痛剤だと言われるのはこのためです。

孤独と精神的なサポートの欠如とがもつマイナスの影響に関しては、科学的にも実証されています。これらの要素は、喫煙や高いコレステロール値、肥満、運動不足と同じくらい有害なのです。

ですから、友達を持つよう努力することはよいことです。心のつながりや付き合いなど、感情的なきずなを育てるものを大切にしなければなりません。

これらのきずなは、私たちが幸せになるための土台を提供してくれます。それと同時に、私たちの苦痛を半分にしてくれるのです。

長続きする心のきずな―堅固な土台

four-friends-hugging-500x399

私たちは自分をだまして1人になろうとすることがよくあります。自分は他の人たちから距離をおきたいのだと考えるのです。その理由として、例えば苦痛や失敗に対する怖れや、他人がつくウソなどがあげられます。こういったことが私たちを傷つけることは疑いの余地がありません。

でも、私たちの幸せにはさまざまな源があります。例えば、信頼できる人がいるということ。そばに愛する人がいるだけで、私たちは心理的にもっと強くなれるものです。

また、物事が悪い方に向かったとき、なぐさめてくれる人がいることがその打撃を和らげてくれます。いろいろな出来事がストレスを生み出します。最も顕著な例は、愛する人との死別、または離婚です。

なぐさめてくれる人、頼れる人が居るというだけで、私たちは闘う勇気が湧いてきます。彼らの存在が、最悪の状況を耐えやすくしてくれるのです。

ここでカギとなるのは、私たちが友達と過ごす時間の質と量。友達の言葉は私たちの心をしずめることができます。これは、苦しみが私たちを圧倒し始めるとき、特に重要です。

米国の社会心理学者ジェームズ・ペンベーカー博士は、この分野の権威の1人。ペンベーカー博士は、ある非常に大切なことを研究を通して科学的に実証してきました:友達といっしょに時を過ごすことは私たちの健康増進に役立つということです。

friends-giving-each-other-a-hand-500x353

友達は天然のモルヒネ

友情を大切にしようという呼びかけは、ただの言葉ではありません。このテーマについては、最近オックスフォード大学が興味深い研究結果を発表しています。

研究者たちは、質問表を使って、101名の若い人たちにそれぞれの人間関係の数と質について尋ねました。また、その人たちの人格的特徴についても質問しました。

その後、各被験者はテストを受けました。彼らはそれぞれ、居心地悪い姿勢で長時間座っているよう指示されました。このテストの目的は、被験者の足がつり、居心地わるさと苦痛とを感じさせることにありました。

friends-surrounded-by-flowers-500x334

その結果、科学者たちは興味深い事実を発見しました。友達が多い被験者は、他の被験者たちに比べ、もっと苦痛を耐えることができたのです。

データを調べると、その他の神経学的な研究でも同じ結果が出ています。人間は社会的な動物なのです。

さまざまな方法で、私たちは自分たちの脳が社会的にプログラムされていることを発見します。私たちは対人関係を司る、完ぺきな神経−化学系システムを持っています。これは内因性モルフィン様物質系といい、βエンドルフィンを用います。

friends-coffee

愛されていると知ることは素晴らしい

以下は、米国の小説家・詩人のポール・オースター著『ムーンパレス』からの抜粋です。この箇所を読めば、自分は愛されていると知ることがいかに大切かということがよく分かります[和訳は当サイトの担当者によるもの]。

「もちろんその時は気づいていなかったが、今は分かっているわけだから、友人たちに対してこみあげる懐かしさを感じずに、当時を振り返ることはできない。

「私が崖っぷちから飛び降り、まさに谷底に激突せんとしたとき、ある異常なできごとが起こった。私を愛してくれる人たちがいる、ということがわかったのだ。あのように愛されていることが、状況を一変させた。

「それは落下の恐怖を薄めてはくれないが、その恐怖が何を意味するか、新しい見方を与えてくれる。私は崖っぷちから飛び降りたが、まさに最後の瞬間に何かが手をのべ、空中で私を受け止めてくれたのだ。その何かを、私は『愛』と定義する。

「それは落ちていく男を引き止め得るただ1つのもの、重力の法則を否定し得るほどに強力な、ただ1つのものである」

私たちを守る感情的な安全綱を持っているという素晴らしい感覚は、何にも比べることができません。愛されていると知ることは、私たちに希望を与えてくれます。それはまた、私たちを強くし、元気を回復させてくれるのです。

ですから、友達を作りましょう。そうすれば世界は魔法に満ち、もっと住みよい場所となることでしょう。

出典:

Goleman, D. (2001). Inteligencia emocional. Editorial Kairós. Barcelona.[日本語訳:ダニエル・ゴールマン著『EQ こころの知能指数』講談社]

Johnson, K. & Dunbar, R. (2016) “Pain tolerance predicts human social network size”. Scientific Reports; 6: 25267.

Inagaki, T. K. et al (2015) “Blocking opioids attenuates physical warmth-induced feelings of social connection”. Emotion; 15: 494–500.

Auster, P. (1989) Moon Palace, page 50 [日本語訳:ポール・オースター著『ムーン・パレス』新潮文庫]