糖尿病の人は旅行を諦めなくてはいけない、…
”人工脊柱”で再び歩ける!?

近年、テクノロジーや薬学が発達したおかげで、かつては不治の病だと思われていた病気への治療法が見つかったケースもあります。
科学の進歩のおかげで、病に苦しむ多くの人がより長く生きられるようになり、よりよい生活を送ることができています。
かつては治療法がないと考えられていた病気に希望が見つかり、その治療もより効果的なものとなりつつあります。
最近の例で言うと、たった2.5cm程の小さな器具を発明したオーストラリアの研究者がいます。これは、体に麻痺がある人や人工の義肢を付けている人が再び歩けるようになるのを助けてくれるのです。
この小さな器具は”人工脊柱”と呼ばれ、対まひの患者の潜在的考えに基づいた動きを再生するため、脳の側面の血管に植え付けられます。
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未来を約束するテクノロジー
この技術を生み出した研究者団は、ロイヤルメルボルン病院、メルボルン大学、フローリー神経科学研究所に所属していました。
この器具は、麻痺してしまった部分に使おうとするのではなく、体の動きにリンクする様々な方法を見つけ出すことにポイントを置いて生まれました。
つまり、脳にこの器具を植え付けた人は、潜在的な考えに基づいて動くことができるのです。完全な動きをしようと意識をする必要がありません。ちょうど他の人と同じように、自分の思った通りに、願った通りに動くことが可能となるのです。
人工脊柱は、首を小さく切開しカテーテルと共に入れて植え付けます。
血管に一旦植え付けられると、器具は脳の運動皮質に移動します。運動皮質とは、筋肉の動きをコントロールする神経インパルスを統括する脳の一部分です。
カテーテルが一旦取り除かれると、人工脊柱の電極が血管の壁に付着し、運動皮質に直接シグナルを送り始めます。
このシグナルは、患者の肩に植え付けられた別の器具、そして人工義肢にも送信されます。人工義肢はBluetooth技術を利用しています。
これにより、患者はすぐさま何でもできるようになるわけではありませんが、患者はトレーニングを行うことで少しずつ動きを無意識のうちのコントロールすることができるようになると研究者たちは確信しています。
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初めて人体に試す
現在までのところ、この器具は羊にしか使用されていません。人体への利用は2017年が初となる予定です。
オースティン・ヘルス脊髄ユニットはこの器具を取り付ける3人の患者を選ぶ予定でおり、その手術はオーストラリアのビクトリアにあるメルボルンロイヤル病院にて行われます。
この病院の神経科の長、テリー・オブライアン氏は、この開発は人工技術の研究上まさに”見果てぬ夢”だと述べています。
一方、メルボルン大学の生体医工学者であり、チーフ研究者であるニコラス・オピー博士は、シンプルでありながらも、広範囲にわたる治療だと述べています。
手術後、複雑だと考えられる部分は、潜在意識を使って自然に人工義肢を動かす方法を習得することです。
この器具はダメージを受けた脳の経路を修復するものではありません。対応する四肢にシグナルを送る別のルートを使うのです。
「彼らが行っていることは、義肢を動かすのに必要なシグナルをダメージを受けた部分のバイパスに発する伝送器を植え付けること」だと医師は説明しています。
これはまひ患者の動きを改善するためにデザインされた最初の器具ではないのですが、開発チームはこの器具がもたらすであろう結果と今後の展望において大きな進歩となることを確信しています。
人体への使用がうまくいけば、てんかん、強迫性障害、パーキンソン病の患者にもこの器具を使うことができると期待されています。
この技術に関しては、ネイチャーバイオテクノロジーで紹介されています。