幸せにつながる韓国の考え方「ヌンチ」について

ヌンチとは、人間関係をより良くするために、相手の感情やニーズを読み取るという韓国の言葉です。ヌンチの考え方がどのようなもので、どんな効果があるか、詳しく解説します。

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Elena Sanz.

最後の更新： 08 4月, 2023

幸せになることは、誰もに共通する普遍的な目標です。しかし、幸福に到達するための道は一つではありません。さまざまな流派、啓蒙本、学問分野が独自の方法を提案しています。でも、それ以上に、文化的なレベルでは、それぞれの国が独自の幸福の概念を持っています。そして、幸せを実現するための解釈もまた、それぞれの国によって異なります。今回は、「ヌンチ」という韓国の視点について見てみましょう。

韓国は、国民の精神的な健康が懸念の一つとして挙げられます。実際、自殺率は人口10万人あたり約26.7人（世界平均の9.35人を大きく上回る数字）にものぼります。その点では、今回の幸福というテーマで韓国文化の要素を取り上げることは、意外に思われるかもしれません。

しかし、韓国は集団主義社会であり、社会における共通の利益と社会的関係の確立に非常に重点を置いています。その意味で、人と人とのつながりが、成功や充足への道において基本的な役割を果たすことは間違いありません。したがって、韓国の教訓から学ぶことは興味深いことかもしれません。

ヌンチとは？

ヌンチという言葉は、もともと「眼力」または「目分量」という意味ですが、わかりやすく言い換えると「相手の気持ちや行動パターンを早く読み取ること」です。

特に社会的な人間関係を対象としているので、相手の内面や思考、感情を直感、知覚、理解し、それに応じて行動する能力と解釈されます。共感や感情知能（1990年代にダニエル・ゴールマンが提唱し、普及させた概念）に非常に近い概念と言えます。

ヌンチという考え方は、韓国人の集団的想像力の中で太古の昔から存在する、先祖代々の慣習です。読み書きを学ぶのと同じくらい重要であると考えられているため、幼児期から促進される非常に価値のある資質とされます。

これは、一過性の流行りやトレンドというよりも、社会的な通念なのです。仕事や社会的な成功を収めるためには、他人の感情の世界を読み取る方法を知ることが不可欠と考えられているため、さまざまな分野でこのヌンチが重要視されています。

ヌンチの取り入れ方

ヌンチは、自分と同じように、他人にも自分の考えや意見、感情があることを常に考え、それを考慮するように促します。個人主義的、利己主義的なアプローチを避け、自分を超えて他者の視点を理解することを促します。

この他人の心理状態を推測する能力は、いわゆる「心の理論」の一部です。4歳頃に発達し、自分とは異なる他者の視点があることを理解し、思考や感情をその人に帰属させることができるようになります。「相手はこう思っていると思う」「この人はこう感じていると思う」というような読みができることです。

これは、認知の成熟が進むにつれて発達する、人間本来の能力ではありますが、それを実践することが大切なのです。多くの人が、自分の世界から一歩外に出て、相手に焦点を当て、理解する時間をいつも取っているわけではありません。したがって、このヌンチを実際に使うには、主に次の2つの注意が必要です。

非言語への注意

コミュニケーションの非言語的要素は、相手が何を考え、何を感じているのか、貴重で非常に完全な情報を提供してくれます。体の姿勢、ジェスチャー、声のトーンなど、これらすべてが、相手の内面を理解するための指針となります。これらのシグナルに注意を払う方法は、自分で学ばないといけないスキルです。

このスキルは、社会的な相互作用のあらゆる場面で役立ちますが、子供や言葉が通じない人との相互作用の際には特に有効です。言語がコミュニケーションの手段として利用できない場合、これらのサインは相手のニーズを理解し、それに応えるために重要です。

さらに、全体像を把握し、理解を深めるためには、文脈も考慮する必要があります。例えば、集団から外れて泣いている子がいたら、その子は他の子とうまくいかなかったり、拒絶されたりして辛い思いをしているのだろうと推測できます。そこから、慰めたり、集団に溶け込むように促すなど、適切な行動をとることができるのです。

アクティブリスニング

一方、聞く力を養うには、ひたむきに、そして純粋に興味をもって聞くことが不可欠です。人の話を聞けば、その人が何を感じ、何を考えているのかがよくわかります。

しかし、私たちは自分のことばかりに気を取られがちで、次に自分がどう答えるかばかりを考えてしまうものです。本当に相手の言っていることを聞き、理解する時間を取るのは実は稀です。能動的なリスニング（アクティブリスニング）は、ヌンチのメソッドを適用する際に非常に重要です。聞くことは、理解しようとしている他者の内面世界への入り口だからです。

【ヌンチメソッド】幸福のためのテクニック

でも、他人の精神的・感情的な状態を素早く正確に把握することが、どうして個人の幸せにつながるの？と疑問に思うかもしれません。ヌンチのテクニックを身につけることは、信頼の絆を作るのに役立ち、あなたにとって多くの扉を開くきっかけになります。それに、他人とよりよく関わり、不幸な状況を回避するのにも役立ちます。

他人のニーズを自分のニーズと同じレベルに置くことで、相手の感情や思考を理解することができるようになり、社会的な人間関係がうまく行きやすくなるのです。その結果、良い商談がまとまったり、昇進したり、人から好かれたり、感謝されたりすることがあるかもしれません。そして人間関係がより充実し、より満足のいくものになるのです。

つまり、ヌンチは、あなたの幸福度を大きく向上させ、目標達成に近づけるのです。さっそく実践してみてはいかがでしょうか。