心理的虐待が身体に及ぼす影響
暴力とは、意識的に相手に迷惑や損害を与える社会的・個人的やりとりの一つで、多くの種類とレベルの暴力があります。そしてその影響が気づかれないほど巧妙な暴力も存在します。身体的でなくとも、心理的暴力は私たちの体に何らかのしるしを残すのです。
今回の記事では、心理的暴力が身体に及ぼす影響と、その結果健康に起こる被害についてご説明します。
心理的暴力とは?
心理的暴力とは、加害者が自らの権力を濫用し、被害者を服従させようとすることを目的とした言語的(身体的暴力が存在しない)虐待です。侮辱、過小評価、嫌がらせ、謗言、無視など被害者の自尊心を傷つける行為を通して実行されます。
打ち身やすり傷、あざなどの身体的な証拠がなく、言葉だけであるために証明するのが難しいことも良くあります。
心理的虐待が私たちに与える影響
1. 睡眠障害
心理的虐待は良く睡眠障害につながります。多くの言葉の圧力や暴力が、不安やストレスを作り出し、それが不眠や眠りの浅さなどにつながります。
アメリカ国立科学アカデミーの学術雑誌に掲載された研究によれば、上のような緊迫した状態が続くことが睡眠障害へとつながり、それが日中に経験する不調にも影響します。
つまり、このような状況下では睡眠が被害者のストレスを緩和することが出来ず、効果的に対処することが出来ないまま被害者がどんどん衰弱していってしまうのです。
こうして悪循環に陥り、体のその他の機能まで影響を受けてしまいます。韓国のソウル大学が行った研究によれば、これは新陳代謝だけでなく心血管系にも影響が及びます。
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2. 高血圧
前述した内容に関連し、ソウル大学の研究にもみられるように、高血圧も心理的暴力が身体に及ぼす影響の一つです。継続的に緊張した状態で生活することが、血圧を上昇させます。
脳から身体へ、危険に対峙しているというサインが送られるので、身体は血液の循環を速くします。これは、紛争地帯や継続的に生命の危険があるところにいる人々に良く起こることです。そして心理的暴力に苦しむ人々は、これに似た状況に陥ります。
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3. 摂食障害
Markus J. Rantala博士のチームが行っている研究にもあるように、摂食障害は各人のストレスへの反応として現れます。
ストレスを慢性的に感じていると、食生活のような生活の基本的な習慣が影響を受けます。このせいで、心理的暴力の被害者は以下のような症状を経験することがあります。
- 食欲不振
- 食事のコントロール不足
- 食べるものについての不安や無神経さ
こういった変化が、孤独感、フラストレーション、抑圧された怒りや感情的な苦痛などにも影響します。これらの感情は被害者が経験する心理的苦痛の特徴で、すでに感じているストレスをさらに強くしてしまいます。
4. うつ症状
精神的にダメージを与える心理的暴力には以下のように多くの形があります。
- 脅迫
- コントロール不可能な嫉妬
- 自由の制限
- プライベートの侵害
- 支配と服従の関係
- 侮辱的な言葉や呼び名
- 同意のない性関係
- 怒鳴り声、過小評価、軽蔑
- 金銭、服装、人間関係のコントロール
こういった暴力を受けて、被害者はうつ病の症状を見せるようになることがあります。この状態が長期間続くと自尊心が大きく傷つき、深刻な精神的被害を引き起こすことになります。
さらには、体に傷がなくとも、あまりにひどい落ち込みを経験して、唯一の解決法として自殺を考えてしまうほどになることすらあります。
その上、一般に加害者がパートナーや近しい家族であることが多く、事態は深刻です。
心理的暴力のサインがあるときどうすべきか
心理的暴力のサインは、一見しただけではわからないことが良くあります。しかし、少し注意を払ってみると、見えていなかったものが見えてきたり、被害者の生活に大きく影響することがわかるはずです。
ですから、もしも自分がこのような状況にあると自覚出来たり、ここで紹介した症状を経験しているという場合には、まず助けを求めてください。
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