産後の赤ちゃんとのスキンシップは必須です

肌と肌が触れ合うスキンシップは、人の存在が始まってからずーっと行われてきたことです。しかし、医療化された出産ケアのせいで、スキンシップが軽視されています。この記事では、スキンシップが必要な理由とメリットを解説します。
産後の赤ちゃんとのスキンシップは必須です

最後の更新: 17 3月, 2021

「カンガルーケア」とも呼ばれる、赤ちゃんを母親のお腹や胸で抱っこするスキンシップは、出産後すぐに行う必要があります。医師の立ち会いのもと、臍帯を切る前でも抱っこは行うことができます

実際には、このスキンシップは、出産後数日後でも行うことができます。このスキンシップには赤ちゃんの健康のために、そして母親と赤ちゃんの絆のために、多くの利点があります。この記事では、このスキンシップの仕方について知っておいてほしいこと全てを説明します。

赤ちゃんとの触れ合い

出産後の母親と赤ちゃんのスキンシップは、人類が歴史の中で常に行ってきたことです。母親が生まれたばかりの赤ちゃんに愛情を示すその保護本能から、ほとんど無意識のうちに行われています。

母親のお腹の中で数ヶ月間静かに快適に過ごした状態から、外の世界へ放り出される出産は、赤ちゃんにとってガラリと環境が変わる状況です母親との最初の触れ合いは、赤ちゃんが穏やかで安全に感じるようにすることができます。したがって、このスキンシップはとても重要なのです。

このスキンシップがもたらすさまざまな利点は、実は多くの人に知られていません。利点があるからではなく、単なる母性本能のために行われていたのです。しかし、器具で分娩を補助する方法が登場するやいなや、医師がこの触れ合いを省くようになりました。

赤ちゃんと母親 産後の赤ちゃんとのスキンシップは必須
出産直後のスキンシップは、すぐ目に見える利点があるので、ぜひ行うべきです。

赤ちゃんとのスキンシップの取り方

皮膚同士の接触は、産まれたばかりの赤ちゃんを母親の胸や腹部に乗せることで行われます。医師は通常、臍帯を切る前にこれを行います。赤ちゃんは母親の胸の上に真っ直ぐ抱かれるようにします。

赤ちゃんが母親の乳首にも触れるようにできるのが理想的です。ただし、お乳を吸う必要はありません。産後直後のスキンシップは、自然分娩でも帝王切開分娩でも行われる必要があり、専門家によると、少なくとも1時間は触れ合うことを推奨しています。

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実際には、出産日に実行すれば良いので、出産後すぐに行う必要はありません。出産した日の内で、穏やかな時間を楽しむのに最適な時間を見つけることが理想的です。

母親の乳房が完全に赤ちゃんに触れられるようにして、その上に赤ちゃんを乗せてもらいましょう。また、体温の急激な変化を避けるために、母親と赤ちゃんの両方を毛布で覆う必要があります。赤ちゃんのうちは、周囲の環境への臓器適応システムがまだ発達途中だということを覚えておいてください。

このようにスキンシップを取る間、母親と赤ちゃんの両方が落ち着いたリラックス状態に入っていく場合が多いです。さて、ここからは、スキンシップの利点の多さについてご紹介していきます。そもそも、親密に触れ合うことがストレスを軽減するというのは理にかなっています。肌と肌の接触は、それ自体が恒常性の補助の働きをするので、先程触れた「温度変化」の対策にもなります。

スキンシップの利点

近年、多くの科学者により、肌同士の触れ合いの利点が研究されてきました。コクラン・ライブラリーに発表された研究によると、出産後に母親と赤ちゃんの肌が触れ合うことで、泣き声が減り、母親と赤ちゃんの関係性が良くなるとのことです。

専門家によると、このスキンシップが母親と赤ちゃんの間の感情的な繋がりを非常に強くすると述べています。例えば、母親は赤ちゃんの気持ちをより理解できるようになり、コミュニケーションがよりスムーズになります。そのため、母親が赤ちゃんのニーズに応えることができるようになるのです。

他にも、Pontifical Catholic University of Chile(チリカトリック大学)の論文によると、スキンシップが産後うつのリスクを低減するそうです。また、出産後の入院日数も短縮されるようです。

先ほども述べた利点の1つは、赤ちゃんの体温調節です。つまり、正常な発育のためにこの時期に必要不可欠な、体の恒常性を維持することができるのです。

最後に、スペインのある看護大学が行った研究では、出産後の母親と赤ちゃんのスキンシップは、母乳がよく出る結果につながったと述べています。また、子宮の回復を促進し、感染症のリスクを軽減し、産後に必要な薬の使用量を減らすことにつながるとコメントしています。

母親と赤ちゃん 産後の赤ちゃんとのスキンシップは必須
母親と赤ちゃんのスキンシップは、母子共に健康上の利点があることです。

できるだけスキンシップを行おう

カンガルーケアは、出産時に自然と本能的に行われるもので、母親にも赤ちゃんにもメリットがあります。しかし、デメリットがあるのも事実です。

Progresos de obstetricia y ginecología(「産婦人科の歩み」)に掲載された論文では、産後直後のスキンシップで、赤ちゃんの命を危険にさらすような合併症が起こる可能性があると説明されています。例えば、赤ちゃんを圧迫してしまう姿勢の可能性。リスクはありますが、医師の立ち会い途中のもと、スキンシップは奨励されるべきだと言われています。

これから出産を控えている方は、産後のスキンシップとその方法についてぜひ調べてみてください。また、出産時には、赤ちゃんとの初めての触れ合いを楽しみましょう。そうすれば、外の世界に出てきての最初の接触が赤ちゃんにとってトラウマにならないようにすることができます。


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