糖尿病がもたらす11の合併症

糖尿病は時間と共にあらゆる合併症をもたらすことがあります。これらは気付かれる事なく徐々に音もなくやってきます。もしかしたらすでに糖尿病にかかっているかも知れないのに、あなたはまだそれに気づいていないかも知れません。
糖尿病がもたらす11の合併症

最後の更新: 01 1月, 2019

糖尿病の合併症についてお話しする前に、糖尿病の症状、種類、原因、予防法について知っておきましょう。

その後で11の深刻な合併症についてお伝えします。

糖尿病ってなに?

糖尿病

糖尿病は、脾臓が体に必要な量のインスリンを産生しなくなる状態の事を言います。つまり産生量が少なすぎる、または全く産生しない状態の事です。

血糖値として知られる血中のグルコース値が上昇し高くなりすぎると糖尿病になります。血中のグルコースはエネルギーの源であり、食べ物から取り入れられます。

インスリンはグルコースがエネルギーになるために各細胞へ運ばれ、組織や筋肉が働けるようになる手伝いをします。体がインスリンを産生しなくなる、もしくは十分に産生されなくなると、グルコースは細胞に行くことが出来ず血中に留まります

もし糖尿病患者が適切な治療を施されなかった場合、組織は大きなダメージを受け合併症をおこします。血中に時間と共にグルコースが蓄積され、健康に深刻な影響を及ぼし始めるのです。

決定的な治療法のない糖尿病ですが、健康に気を使った生活を送ることで症状を抑えることが出来ます

 

糖尿病の種類

・尿崩症

・乳児糖尿病

・妊娠糖尿病

・1型糖尿病

・2型糖尿病

 

症状

疲労感

1型糖尿の症状が割とすぐ出るのに比べて、2型糖尿病は数年かけてゆるやかに症状が現れるため、なかなか気づきません。

以下が糖尿病の主な症状です:

・喉が渇きやすく、尿意を頻繁に感じる

・力が出ない、疲労感、体重減

・イライラしたり気分が変わりやすい

・胃の調子が悪く嘔吐する

・視力の低下

・傷の治りが悪い

・手足がかゆい

皮膚、歯茎や膀胱の炎症を繰り返す

 

糖尿病の原因

糖尿病の原因や合併症はどの種類の糖尿病かで異なります。ですがこの病気の一般的な要因は以下の通りです:

・免疫システムからの攻撃により、インスリン産生に不可欠な脾臓内のβ細胞が破壊される

・インスリンの産生量が極度に少ない

・ウィルスなど病気の引き金となる環境的な要因

・体重過多や運動不足

・インスリン抵抗性

・家族の病歴

・妊娠中のホルモン変化

・遺伝

・生活習慣

 

その他の原因

・遺伝子の変異

・脾臓の怪我

・特定の薬

・その他の病気

 

糖尿病の予防

エクササイズ

運動をしたり減量するなど糖尿病を予防する方法もあります。また砂糖、アルコール、たばこの摂取を控えましょう。

1型糖尿病は予防する事は出来ませんが、2型糖尿病は肥満が原因です。定期的な運動やバランスの良い食事など健康的な生活を送ることで糖尿病を予防することが出来ます。

糖尿病を予防するためのアドバイス

・薬の摂取量は常に体調に合わせるようにする

・バランスの良い食事を心がける

・運動前に適度な量の炭水化物を取る

・低血糖のサインが出たらすぐに対応できるよう、常に糖分と水分を持ち歩く

 

糖尿病による合併症

1.心臓血管のトラブル

心臓疾患

糖尿病による合併症で亡くなる主な原因は心臓血管のトラブルです。心臓発作、脳卒中など、糖尿病患者は血管が元となるトラブルを抱えやすくなります。

こちらもご覧ください 脳卒中の予防に役立つ6つのアドバイス

 

2.糖尿病性腎症

これは腎臓の血管にダメージが起きることで発症します。つまり、血液を正常に浄化することが出来なくなるのです。中には透析を必要とする人もいます。病気が進むと腎臓移植をしなければならなくなります。

 

3.糖尿病性神経障害

糖尿病性神経障害

この症状が出るのは、どれほど長く糖尿病を患っているかによって変わります。血糖値が高い事によって血管にダメージを引き起こし、酸素が必要とする細胞に届きにくくなるためです。

糖尿病患者の約半数に何かしらの神経障害の症状が出ています。腕や足と毎日チェックすることが大切です。あざや赤み、その他のサインが出ているようなら必ず受診してください。

神経障害が深刻化すると、足や足の指、脚の切断をしなければならくなる場合もあります。また、四肢の感覚が失われることもあります。

 

4.糖尿病性網膜症

これは網膜内の血管が劣化することで起きる目の合併症です。多くの患者が体液があふれたり出血するという症状を訴え、視力を失う可能性もあります。

最初に視界の変化に気づいます。網膜症はあっという間に悪化します。糖尿病によるこの合併症を完全に予防する事は出来ません。ですが、血糖値をしっかりコントロールすることでリスクを低める事は出来ます。

 

5.妊娠糖尿病

妊娠糖尿病

これは妊娠中の約18%の女性に起こる症状で、だいたい妊娠24週目あたりに現れます。妊娠中の血中グルコースが高くなります。これはホルモンの変化によりインスリンの産生がブロックされることによるもので、インスリン抵抗性を引き起こします。

適切な治療をしなければ、グルコースは赤ちゃんの体内に入り込み脂肪として蓄積されます。これは赤ちゃんの肥満や胎児マクロソームの原因となります。

 

6.高血圧

最も深刻な合併症の1つが動脈高血圧です。これは糖尿病で亡くなる主な原因の1つでもあります。高血圧の患者は2型糖尿病が進行する確率も高くなります。

 

7.皮膚への合併症

皮膚

糖尿病の合併症が最も現れやすいのが皮膚です。早目に気づけば、治療も効果的です。細菌感染、真菌感染、皮膚刺激などが良く見られます。

糖尿病患者にのみ現れる皮膚症状もあります。糖尿病性皮膚病、糖尿病性リポイド類壊死症、糖尿病性ブリスター、噴出性黄色腫症などがそうです。

 

8.足への合併症

神経にダメージが広がると足への合併症が出ます。血流が悪くなり、足の感覚が失われます。足への感覚がなくなると血管の状態は増々悪くなります。神経障害のある人は普通の人に比べて更に症状が悪化します。

糖尿病患者が足の感覚を失うと、痛みや怪我に気づくことが出来なくなります。知らず知らずのうちに出来物などが出来てしまいます。靴の中の石ころ1つでも感染症を引き起こす原因になってしまうのです。

 

9.切断

切断

糖尿病は足に合併症が出やすくなります。感染症、潰瘍形成、足の深部組織の破壊など、切断せざるを得なくなる症状が出やすくなります。

血中のグルコースの値が高かったり動脈高血圧の人によく見られます。ですので、この二つをしっかりコントロールすることが重要なのです。

 

10.非ケトン性高浸透圧高血糖症候群(HHNS)

これはとても深刻な状態で、老齢の糖尿病患者(特にⅡ型)に良く見られます。過度の血糖を尿へ流し込みます。患者が水分をしっかり摂らなかったりすると脱水症状を起こす可能性が高くなり、気を失ったり、更には昏睡状態に陥ったりします。

HHNSの症状としては、異常な喉の渇き、血糖値が600mg/dL を超える、口が乾く、汗をかきにくく肌が乾燥する、視力の低下、体温の上昇、体の片方に力が入らないなどがあります。

 

11.男性の勃起不全

インポテンス

糖尿病患者の男性の多くが勃起不全になります。血糖値の上昇が神経末端への血液循環にも影響を及ぼすため、勃起しにくくなるのです。

糖尿病の薬もまた勃起不全の原因となります。ですが健康的な生活や正しい薬を飲むことで改善することが出来ます。

こちらもお読みください:勃起不全 診断から治療まで

血糖値をコントロールするためのススメ

・定期的に血糖値を計る

処方された治療法に100%従う

・インスリンは医者の指導に従って使う

・適切な食事を心がける

・定期的にエクササイズをする

・精製砂糖を含んだものを食べない

睡眠をしっかり取りリズムを崩さない

・アルコール類、たばこ、葉巻を避ける

 

テスト

血中グルコースを図るには、食後8時間の採血が必要になります。

その他に経口ブドウ糖負荷試験と呼ばれるものもあります。これは女性の妊娠糖尿病の検査に使われます。

 

診断

糖尿病診断

血中グルコース値が高いと医者は糖尿病と診断します。一年に一回の定期的なテストともに治療を行います。

異常なのどの渇きや頻尿、空腹感などその他の症状とどのように結びついているのかを確認するテストをする場合もあります。

また家族の糖尿病歴や肥満、繰り返す感染症、その他糖尿病に関連する合併症など、その他の危険な要因をチェックする場合もあります。

 

治療

糖尿病の治療は、食事、運動、薬という3つが基本になっています。これは血糖値を平均値に出来るだけ近づけ、合併症を避ける狙いがあります。

2型糖尿病の多くの患者は薬は必要ありません。体重のコントロールと定期的なエクササイズが必要なのです。ですがインスリンと特定の薬、もしくは低血糖薬を必要とする場合もあります。

自分が糖尿病であると気付くまで長い時間がかかってしまうことが多いようです。気づかぬうちに足音もなく病状は進行します。もしかするとあなたもその1人かもしれません。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。