ボツリヌストキシン:死をもたらす毒

ボツリヌストキシンの毒性はシアン化物の毒性よりもなんと6億倍高いと言われています。しかし、医師達はこの物質を治療用に使用できるという発見をしたのです。
ボツリヌストキシン:死をもたらす毒
José Gerardo Rosciano Paganelli

によって書かれ、確認されています。 医者 José Gerardo Rosciano Paganelli.

最後の更新: 06 12月, 2022

ボツリヌストキシンは外毒素の一つで、ボツリヌス菌と呼ばれる嫌気性の細菌によって作られます。

外毒素というものは、この毒素の持ち主に大きなダメージを与える微生物によって細胞の外に分泌される分子です。

また、この分子には様々な種類があります。例えば外毒素が組織に影響を与える時、これは神経毒や心臓毒、そして肺の毒などになります。

一般的に、外毒素は持ち主の免疫システムによって抗原として認識されていますが、多くが毒として見られています(病原菌など)。そして、免疫システムが上手く反応する前に致命的なものに変化することもあるのです。

ボツリヌス菌の危険性

ボツリヌス菌の危険性

この毒は存在する毒の中でも最も致命的なものであり、人工の毒よりも強いものです。また、シアンよりも6億倍も毒性が強く、1グラムのボツリヌストキシンで1億匹のモルモットを死に至らします。

そして、この毒の危険度は大量破壊兵器として認められました。その為、ジュネーブ条約と化学兵器禁止条約によって禁じられているのです。この条約は世界のほとんどの国が(195カ国中、192カ国)合意している化学兵器の製造や保管、そして使用を金する国際兵器条約ですが、例外として北朝鮮、エジプト、南スーダンが合意していません。

また、ボツリヌスの株には7つ種類があります。全ての種類が血清学的に異なっており、A、B、C、D、E、F、Gという7つの異なるタイプのボツリヌスを生み出すのです。CとDのタイプだけが1つ以上の毒性を持っており、最も発症性の高い毒性を持っているのは、A、B、Eの3つです。

この外毒素を作る菌株のみが、人間のボツリヌス中毒を引き起こすことが出来ます。これはとても珍しい食品媒介疾患の一つで、ボツリヌスの入った食べ物を摂取することで引き起こります。

このボツリヌスの神経毒性の影響によって、筋力機能の損失が進行してしまうのです。ですので、呼吸機能に関する筋肉に影響してしまうと、死に至ることもあります。

「比較的最近まで、これによる死亡率はとても高かったですが、解毒剤が発見されてからは、死亡率が20%まで低下しました。」

こちらもご覧ください 腎臓と膀胱を保護する7つの食品

メカニズム

メカニズム

ボツリヌスは神経性の毒も含みます。これは、人間の神経システムを攻撃するという意味であり、この仕組みを理解するためには、ニューロンがどのように機能し、どのように神経インパルスが伝達されるのかを覚えておく必要があります。

ニューロンには2つの機能があります。まず、神経インパルスとして知られている活動電位の伝送と、他のニューロンや細胞への伝達です。

ニューロンの軸索に沿った活動電位の伝送は電気現象ですが、あるニューロンから別のニューロン、または細胞への神経インパルスの伝達は、特異的受容体と相互作用する特定の神経伝達物質の放出に依存しています。

そして、特定の薬物は、神経インパルスの伝達によって放出された神経伝達物質の量を変更することが出来るのです。 これは、私達が恋をしている時にも起こりますが、ボツリヌストキシンが入ってきた時、エフェクターニューロンという筋肉への神経インパルスを伝達している場所が最初にこの毒素の影響を受けてしまうのです。

ボツリヌスはコリン作動性神経終末で影響を与えるので、筋肉の収縮を取り持つ重要な伝達物資であるアセチルコリンの放出を妨げてしまうのです。これによって、筋肉が完全に機能しなくなります。

医療におけるボツリヌストキシンの大切さ

医療におけるボツリヌストキシンの大切さ

この毒素は人間に大きなダメージを与える物質ですが、数十年前に研究者があることを発見しました。それは、ごく僅かな量のボツリヌストキシンは治癒的な力があるということです。実際に、慢性不随意筋の収縮などの痙性の病気に役立つのです。

問題のある筋肉の部分に少量のボツリヌストキシンを与えると、ほぼ完全に治療することが出来るというものです。また、筋肉の病気だけでなく、膀胱の過活動や偏頭痛に効果があるとも言われています。

また、美容の分野でも人気があり、タイプAボツリヌストキシンとして知られています。ボツリヌストキシンが数か月でシワやほうれい線の軽減に効果があると言われているため、この分野でも需要が高まっています。


引用された全ての情報源は、品質、信頼性、時代性、および妥当性を確保するために、私たちのチームによって綿密に審査されました。この記事の参考文献は、学術的または科学的に正確で信頼性があると考えられています。



このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。