専門家に聞く! 高濃度乳腺の女性はマンモグラフィーを毎年受診するべきか

デンスブレスト(高濃度乳腺)とは乳腺が密集している乳腺濃度の高い乳房です。更年期後に発症することが多く、乳がんのリスクが高まります。現時点では定期的な検診や3Dマンモグラフィーが最も効果的な予防策だといわれています。
専門家に聞く!  高濃度乳腺の女性はマンモグラフィーを毎年受診するべきか

最後の更新: 05 11月, 2018

デンスブレストと診断されたからといって必要以上に心配する必要はありませんが、デンスブレストは乳腺濃度が高いため、乳がんのリスクが高まるといわれています。

ただし、デンスブレストの方が100%乳がんになる、100%の確率で腫瘍ができるといっているのではありませんが、家族に乳がんの方がいる場合は、乳がん発症リスクは高まります。

婦人科の定期検診や乳がん検診は非常に効果的です。

本記事では、乳がんのリスクが高まる要因であるデンスブレストについて学びながら、その予防についてもお話しします。

デンスブレストの特徴

デンスブレストは脂肪細胞が多く含まれるいわゆる大きな乳房を指すわけではありません。デンスブレストの定義はさまざまです。

  • 若い時期は、乳房内の脂肪細胞、腺細胞、そしてと繊維細胞のバランスが保たれています。
  • 更年期に入ると、腺細胞や繊維細胞により乳房の濃度は高まり、脂肪細胞が減少します
  • 乳腺濃度が低い人と比べて、乳腺濃度が高い人がマンモグラフィーを行うと、その診断が非常に困難です。

 

乳がん


デンスブレスト:定期的な検査と自覚が必要

  • 米国内科学界が発行する学術雑誌である「アナルズ・オブ・インターナル・メディシン」の研究やその他の様々な研究によると、乳腺濃度が高い女性は乳がんになるリスクが一般の人と比べて高くなることが明らかになりました。
  • この付加的な発症要因に注目する必要があります。必ず発症するわけではありませんが、そのリスクがあることを心に留めてください。

デンスブレストと診断された方は2−3年に一度ではなく毎年マンモグラフィーを行う可能性について医師にご相談ください。

こちらの記事もご覧ください: 乳がんを予防する食べ物

心配し過ぎは禁物:女性の4人に1人がデンスブレスト

乳房は腺細胞、繊維細胞、そして脂肪細胞の3つの細胞から成り立っています。デンスブレストと診断されるのは、脂肪細胞と腺細胞の割合が通常より高いことを示しています。

  • デンスブレストには様々な要因がありますが、もっとも強い要因は遺伝子です。
  • 母親、叔母、姉妹などの家族に乳がんの方がいないのにデンスブレストと診断された場合は、乳がんを発症するリスクは低いといわれています。

しかし油断は禁物です。毎年のマンモグラフィー検査を欠かさないことで安心した毎日を送ることができます。

デンスブレストが進行する時期

ご自分がデンスブレストかどうかご存じない方も多いでしょう。デンスブレストになる要因をご紹介します。

更年期
  • 更年期50−55歳の、更年期の代謝やホルモンバランスの変化で乳腺や脂肪細胞のバランスが崩れ、デンスブレストを引き起こします
  • 座りっぱなしの生活や体重の増加などもデンスブレストを引き起こす要因の一つです。
  • 遺伝子が将来的に乳腺濃度が高くなるかどうかを決定づけるといわれています。

デンスブレストの方の乳がん予防方法

家族に乳がんの方がいる場合

ご家族に乳がんの方がいる場合、乳がんを発症するリスクは高まります。この場合は、予防措置や検診が欠かせません。また必ず医師の診断を受け、個人の生活や状況に応じて最も適切な方法を医師の指導の元に行ってください。

  • ご家族に乳がんの方がいる場合は、更年期を迎えたときにはホルモン補充療法(HRT)が最も適切な方法です。
  • デンスブレストの方で、家族に乳がんの方がいる場合は。乳がんになるリスクが3倍上昇します

予防のためのガイドライン

マンモグラフィー
  • 禁煙をする
  • オーバーウエイトを予防する
  • 座りっぱなしの生活を改善:有酸素運動で活発に過ごす
  • 精製された脂肪、小麦粉、白砂糖を避ける食事を心がける
  • 魚、果物、野菜、オリーブオイルなどの健康的な脂肪酸を使った地中海ダイエットなどを取り入れる
  • 十分な水分を補給する

3Dマンモグラフィー:最も信頼できる検診

デンスブレストの方は、通常のマンモグラフィー検査では、乳腺の濃度が高いため正確な診断ができませんでした。しかし3次元的画像収集が可能となる断層撮影技術であるトモシンセシス (tomosynthesis)により、最も効果の高い検診が可能になりました。

これは、 1回の断層撮影で任意の高さの裁断面を再構成する撮影技術であり、専門家と患者の両方にとっても、効果的で正確な診断ができると期待されています。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。