赤い糸の伝説

赤い糸が見えたら、人生と愛についての見方はそれまでとはまったく変わってしまうでしょう。
赤い糸の伝説
Raquel Aldana

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Raquel Aldana.

最後の更新: 04 1月, 2023

「だれも自分の心からは逃げられない。だから心が言っていることに耳を傾けなさい。」  – パウロ・コエーリョ 『アルケミスト』より

古代から伝わる物語があります。どんな関係にあっても、たとえ世界が二人を隔てていても、恋人たちは常に結ばれる運命にある。彼らの恋が人生の最後に叶うととしても。運命と呼ばれる「赤い糸」は何が起こっても切れることはありません。

運命の相手に出会うのにどんなに時間がかかっても、どんなに長い間分かれて過ごしていても、相手とは反対側の世界の果てに住んでいても、その糸は常にお互いの心を繋いでいるのです。

この赤い糸は生まれたときからあなたと共にあり、生涯を通じて紡がれます。伝説では、月が毎夜、その日うまれた新生児の指に赤い糸を結い付け、それぞれの赤ん坊を結びつけると言われています。

この糸はあなたの将来を決め、この導きにより地の果てにあっても迷子にならないように、あなたの魂を生涯に渡って導きます。

恋人

伝説ではこう言われています。

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「むかしむかし、皇帝は領国に強力な魔女が住んでいることを聞き及びました。その魔女は運命の赤い糸を見る力を持っているというのです。皇帝はその魔女を召し出しました。

そして魔女が到着すると、皇帝は自分の赤い糸のもう一方の先、将来自分の妻になる者を見極めよと命令しました。魔女はその命令に従うと、皇帝の赤い糸をたどりはじめました。

糸を手繰って市場にたどり着いた魔女は、行商をしている赤ん坊を抱いた貧乏な農民の女の前にたどり着きました。魔女は彼女に立ち上がるように言いました。それから魔女は、若い皇帝を呼び寄せると「ここで貴殿の赤い糸は終わっていますよ」と言いました。皇帝はこれを聞いて激昂しました。魔女が自分を騙していると思ったからです。皇帝はその赤ん坊を抱いた女を脇に押しのけ、そのせいで子供は落下し、額に一生残る傷跡がついてしまいました。

皇帝は守衛に魔女を捉えさせ首をはねてしまいました。

矢とハート

それから何年も後のこと。その皇帝はいよいよ結婚することになりました。宮臣たちは、ある強力な将軍の娘を彼に推薦しました。皇帝は同意し、やがて婚礼の日がやってきました。

 

その日、皇帝は始めて妻の顔を見ました。彼女ははじめ宮廷に着いたとき、白いガウンとベールをかぶって顔を完全に隠していました。皇帝がそのベールを持ち上げると、なんとその額には美しい顔を台無しにする傷跡があったのです。

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この伝説はヨーロッパ文化圏では非常に有名で、赤い糸片を手首に巻いている人をたくさん見かけます。

この物語の起源については、中国なのか日本なのかはっきりしていませんが、この物語は、小指が心臓とつながっているということが分かった時から始まっているのが明らかになっています。心臓は、生命の源と、人を愛する心の宿り場として比喩的な意味を持っていました(西洋には、これを小指でなく中指とつながるものとしているものもあります)。

この糸は母親と父親、兄弟と姉妹、友達、パートナーの間をつなげることもあります。種類は多くとも、お互いを知り愛するというその目的は一緒です。

2つの運命の恋

生涯において、人は2回大きな恋に落ちると言います。1人は、結婚しあなたの子の父か母になるかもしれない相手で、生涯を共に過ごすことになる運命の相手です。

しかし、人生にはもう1人あなたが必ずその膝を屈することになる相手がいます。その相手とあなたとは生まれついた特別な絆があります。その絆は強力で理性など役にたちませんが、そのせいで決して幸せな結末を迎えることもありません。

愛

あなたはすでに私が誰のことを言っているのかわかっているはずです。この文章を読んでいるあなたの脳裏にはその2人の名前が浮かんできているはずです。ある日、あなたはその2人目の人のことを忘れて苦悩を終わらせ、平安を求めるかもしれません。その平和は訪れるかもしれません。それでも、あなたは毎日その人が再び目の前に現れること、触れ合うこと、言葉をやりとりすることを心では願っているはずです。

 

「心から愛している誰かとともに戦うことは、しばし、単に愛着を持った相手と一緒にいるよりもずっと疲れるよう思えることがある。」         – パウロ・コエーリョ

 

ある場合にはこの2つの種類の恋人は同じ人だったりします。しかしほとんどの場合、2人は別人で、それが常に悲しみを生み出す結果になります。この2種類の恋は人生にとって必須の要素であり、それを深く感じられることに感謝しなければいけません。

あなたは自分の赤い糸を意図的に操ることはできませんし断ち切ることもできません。なぜならその糸は目に見えないものですが、あなたの人生における様々な決断や方向性がその糸によって決められているからです。

運命の“赤い糸“は、あなたの人生そのものと、愛についての見方がそれ以降と以前では全く変わってしまうことを象徴しています。

偶然とは思えないほど都合よくいろいろなことが起こることもこともあります。この地球上の誰もが誰かと永遠の愛で結ばれているのです。


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  • Gloria, E. (2004). Paulo Coelho: Los senderos del peregrino. Madrid: Ojos de Papel.

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